魔の預言者 本

□第十二話
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ギイィィィイイ





そこら辺にあった扉を、雪男が持つ鍵で開ける。



『(日本支部ってこんなのなんだな。マンガで見るより広いな)』



キョロキョロとしているとシュラに背中を押された。その途端、またゼルが唸る。



「ここが正十字騎士団の中枢だ。日本支部は正十字学園を基地にしている。
…ヴァチカン本部もサン・ピエルパオロ大聖堂の地下にあるしな」



知ってる、見たから。



「表向きは知らされてはいないが、世界中に支部を持つ国際組織。歴史も古い。
二千年以上も大昔から世界中のバケモノ退治を担ってきたんだ」


「その通り」



突然聞こえてきた声。聞き慣れた声にそちらを向けば…



『(……メフィスト……)』



そこにいたのはメフィスト。後ろには椿先生(オカマヤロー)もいる。



「それが正十字騎士団です。お久しぶりですね〜☆シュラ」



笑いながらこちらによるメフィストに殺意がわくオレは……正常だな。うん。



「まさかまさかあなたが監察として塾に潜入していたとは!私、知る由もありませんでした」


「メフィスト。単刀直入に聞く」



メフィストの話を遮って話し始めるシュラ。



「…よくも本部に黙ってサタンの子を隠してやがったな。お前一体何を企んでいる」


「企むなど滅相もない。確かに隠してはいましたが、全ては騎士団の為を思ってのこと…
サタンの子を騎士団の武器として飼い馴らす…!この二千年防戦一方だった我々祓魔師に先手を打つ機会をもたらすのです」


「…だとしてもまず“上”にお伺いを立てるべきだろ?」


「…綺麗に仕上がってからと思っていたのでね」


「…藤本獅郎もこの件に噛んでいるのか?」



全ての質問に対し、もっともな理由を付けてかわすメフィスト。



『(オレのこと言われてねェし…いつ言おうか…)』


「ええまあ、炎が強まるまでは藤本に育ててもらっていました……その少女は別ですが」


『(うお、いきなり来やがった)』


「そうか。どちらにしろ上には報告する。その前にコイツらを尋問したいから大監房を使わせてもらうぞ」


『(あれ?オレのこと聞いてこねぇな…ってか、またオレもかよ!)』



逃げようとした途端シュラに腕を掴まれる。……逃げられねぇ…!



「ククク…彼らは結構笑えますよ」


「後でホエ面かかせてやる」


『遠慮してぇんだけど』


「駄目だ」



後ろで叫ぶ雪男の声がどんどん遠ざかっていく。…いや、まぁオレの力を使えばコイツの腕ぐらい振り払えんだけどよ…めんどくせェし










〜大監房〜





「途中から借りてきた猫みたいにおとなしかったな」


「……」


『実際そうだろ。ま、オレはお前の言いなりになるつもりはねぇけどよ』


「……それは、上司命令を断るってことだぞ?…それなりの覚悟はしてるんだろうな」



最後の方は微妙に殺気が含まれていた。



『するも何も、オレはお前よりはるかに強い。何ならオレと……殺り合ってみるか?』



オレも微妙な殺気で返し、シュラを見る。手にはいつの間にか三叉槍が握られている。



「お、おい…海?」


『……』


「…………いや、いい。先に用があるのはこっちだからな」



十分な間をとった後指さしたのは燐。



『…あっそ。ならオレは「帰るなよ?」…解ってるっての。端にいる』



部屋の隅に異動し、腰を下ろす。途端にオレを守るようにゼルが巨大化し、オレの前に横たわった。



『どうしたゼル。何か用でもあるのか?』


《…守る》


『誰を?』


《海に決まってるでしょ!?》



キレるゼル。向こうでは燐とシュラが戦い始めている。観戦させてくれねぇのかよ?いや、見せろって。




  
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