魔の預言者 本

□第十四話
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『吊り橋か…』



あれからかなり進み、今、目の前に壊れかけた吊り橋があるところに来た。



『(そういやさっき、花火上がったよな…)』



そんなことを頭の片隅で考えた。



『この吊り橋の下、虫だな』


「ぎょ、ぎょーさんおるぅ〜!も…もも、もうダメや。フフ…失禁したろか」


「もういっそ失禁すりゃスッキリすんじゃねーの?」


「奥村くん、益体なこと言うたら開かんよ。失禁だけに、したら最後、全てを失うんや」



前方でそんな会話をしている三人を見て、ゼルを呼び寄せる。



《呼んだ?》


『仕方ねぇから、廉造を向こう岸まで先に連れて行け』


《その後どうする?》


『お前も向こうに残ってろ』


《解った》



オレの横から廉造の後ろに立つと、その襟を噛む。



「な、なんや………って、うわぁああああああ!」



叫びというか、咆哮というか……そんな声をあげながら、虫の川をゼルとともにひとっ飛び。



『オレがわざわざゼルに頼んでやったんだ。お前のためを思ってな』


「よ、喜んでいいのやら……」



『……川に突き落としてやろう「あ、ありがとうございます!!!!だから、それだけはよしてェなぁああ!」…冗談だ』



睨みつければ、すごい勢いでお礼を言ってくる廉造。からかいがいのある奴。



「…し、志摩さんは除いて、この川をどう渡りましょうね…」



もう面倒だ。虫に襲われるのも面倒だ。原作ぶっ壊していいよな?いいな。じゃ、ぶっ壊しまーす。



『オレに考えがある』


「どんなですか?」


『オレの使い魔を使う』



アムドゥスキアスを呼び出し、こっちと向こう岸をつなぐ橋を、新たに作らせる。もちろん、頑丈な奴。



『この上を渡るんだが、下はすぐ虫だ。しかもこの下に何か封印されている。素早く渡れ』



燐を先頭に、リアカーを押しながら素早く橋を渡った。



『アムドゥスキアス、ありがとな。戻ってろ』


《お役に立てて、光栄です》



戻っていく彼。もちろん、橋は消させた。



『後は拠点に戻るだけだ』


「なんか簡単に終わりましたね…俺、橋渡ってもこれたんじゃ」


『突き落と「さんでええわ!」…チッ』


「いや、なんで舌打ち!?」



もう悪魔も出ないだろうということで、すでにゼルとフェンリルはオレの肩の上。










「バンザーイ!!無事帰還や〜!」


「おっ、お疲れさん。無事戻ってきたな」



ベースには既に出雲と宝の姿があった。出雲は使い魔を持っているから分かるが、宝はいったいどうやってクリアしたのか…謎だ。



『(てーか、虫に刺されたところ痛ぇんだけど。きっと要注意るんだよな、気味わりィ。炎で焼こうにも、こうも人がいちゃな…)』



首を押さえる。そこは若干腫れていた。ヤベェ、ぜってー卵生まれてんじゃねーかよ。



「ひゅ―――――…シュタッ。ゴー!ベヒモス!」


「うわっ!」



空から突然降ってきたのは、アマイモンだった。
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