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□標的49
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「まさかこのような答えで切り抜けるとはな」


「とにかく、試練は終了よ、カレンちゃん」


『え、今の試練だったんですか?』


「そうよ」



これが試練だとは思いもしなかった。あまりにも簡単に終わってしまったから。



「さて、試練は終わった。お前に記憶を返そう」


『え?返してくれるんですか?T世』


「ああ。返さなければ不便だろう?お前が」


『確かに、これからのことが分からないと、行動は起こしにくいですけど…でも』


「何だ?」


『ときどき思うんです。僕だけ先のことも知っていていいのかな、と…』


「いいのだ」


『?』


「知っていなければ、お前をこちらに呼んだ意味がない」


『それは、一体どういうことで…』


「じきに分かる。今は知らなくていいことだ」



はぐらかされた。幽霊だけに掴みどころのない人だ。掴もうとしても、シュルリと抜けて行ってしまう。
故に、情報がつかめない。知りたいことが分からない。



「これからは好きにするといい」


『じゃあ、消えてしまう予定の人を救ってもいいのですか?』


「言っただろう。好きにするといいと」


『じゃあ好きにします』


「それより、綱吉君とはどう?」


『……いきなり何ですか、母さん』


「その様子だとうまくいってるみたいね」



なんなんだ、この和やかな雰囲気は。いつの間にか母さんとT世を除く皆が消えていた。



「ボンゴレ]世…ジョットの子孫か」


「呼んだか?ビブラード」


「ジョット」



そして、なんでボンゴレT世が出てくるんだ。



「久しいな、ジョット」


「そうだな。おや、この娘がドゥラド]世か。金髪はお前譲りだな」


「お前も金髪だろう」


「だな」



いや、此処で談笑し始めないでくださいよ。僕どうしたらいいんですか。



「それより、]世」


『な、なんですか、ボンゴレT世』


「ジョットでいい」


『ジョ、ジョットさん』


「何だ?」


『いや、なんだって、ジョットさんが話しかけてきたんじゃないですか』


「そうだったな」



…なんだか、雰囲気が綱吉に少し似ている。超化した綱吉の方だが。



「そうか、似ているか」


『勝手に心読まないでください。プライバシーの侵害です』


「すまない。癖でな」


「カレンちゃーん?浮気はだめよ?」


『う、浮気!?』


「オレは別にかまわんぞ」


『ジョットさん!?』


「ハハハ!ジョット、私の後継者をいじめてくれるな」


「おや、すまぬな」



この人達といると疲れる。素直にそう思った。僕の心情を察してくれたのか、アイラスが僕の前に立った。



「私の子供を困らせないでくれませんかね?」


「]世の親か」


「お初お目にかかります、ボンゴレT世」


「よろしくな、\世」



いや、此処でよろしくしないでくださいよ、母さん!僕を助けてくれるのかと思ったのに…



『…あの、ジョットさん。話とは?』


「あー、そうだったな」


『で、なんなのですか?』


「オレの後継者をよろしくな」


『なんだ、そんなことですか。まかされましたよ』



そう言えば、ジョットさんはなぜか僕の額にキスしてきた。突然のことに僕は急いでジョットさんから離れた。



『な、な、な、な!』


「いいではないか。口付けはもう]世とやっているのだろう?」


『ちょ、な、え!?…からかわないでください!』


「…案外本気なのかも知れんぞ?」



ジョットさんは問題発言を残し、消えた。



「あらあら、モテモテねぇ」


『笑い事じゃないよ、母さん!』


「]世に殺されるなよ」


『物騒なこと言わないでくださいT世!』



あーッ、と頭を抱えるカレンを見て、ビブラードとアイラスは微笑んだ。



「それでは、私らは帰る。私らが消えれば、この世界も消える。お前も現実に帰れるだろう。創造神の力もお前のものになる」


「今度は現実で会いましょうね、カレンちゃん」


『はい…』


「…もう、さっさと立ち直りなさいよ!」



頭を叩かれたと思ったら、2人は消えていた。



『…思ったより騒がしい人だったな、T世って』



その瞬間、カレンの意識も闇に沈んだ。
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