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□標的51
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「骸様!カレン!!どこ!?」
その声を聞いたクロームはバッ、と立ち上がり、部屋の奥へと小走りに行くが、骸とカレンの姿はどこにもない。
「いい声だ!だが奴らは来ないぞ。来れればとっくにお前の体に実体化している。お前が傷ついてていて放って置くわけないだろう?」
いいえ 此処に居ますよ
凪の後ろにね
「え………」
クロームは後ろを振り返った。
〜ボンゴレアジト〜
「これが骸!?」
「これも骸の何かです。雲雀はイタリア滞在中にコレの視線を何度か感じ、確信したらしいです。
運よく我々のカメラに一枚だけ写りましてね。我々はこれに骸をもじって名前を付けました」
『ムクロウ』
草壁以外の者がカレンを見る。そこには目を閉じたままのカレン。綱吉が肩に手を置こうとすると、それをリボーンが遮った。
「…カレンさん……そう、その通りです」
〜黒曜ランド〜
「さぁ、どう料理してほしい?」
グロの後ろに居るのは、相変わらず青い炎を灯したフクロウが羽ばたいているだけ。しかし、カレンは後ろと言った。
「…!」
突然、フクロウの右目が割れた。そこから現れたのは、“六”の文字が入った赤い瞳。
「………ムク……ロウ?」
「どーした?恐怖で呂律が回らぬか?」
さぁ 行きますよクローム
確かに、その声はフクロウから聞こえてきた。
「んん?」
いきなり上を向いたまま反応を示さなくなったクロームにグロも異変に気付いた。
「なにぃ!?」
後ろを振り返ってみると、そこに居たのは青い炎を灯した雨属性のフクロウではなく、藍色の炎を灯した霧属性のフクロウだった。
しかも、その瞳は闇のような黒ではなく、青空のような青と、血のような赤。赤い瞳には六という数字が刻まれている。
そうなれば、思いつく人物はたった一人しかいない。
「き、貴様!!六道骸か!!」
「…フ……クフフフフ、君の状況把握の速さは一目置くに値しますよ。グロ・キシニア」
『僕には到底及ばないだろうけれどね』
部屋の奥から姿を現したのは一匹の虎。真っ白な、ホワイトタイガーと呼ばれるものだった。
「もしや、前回のあの戦闘で…」
「クフフフフ、そうです。貴方の雨フクロウに少し細工をさせていただきましたよ」
「匣に憑依するなど聞いたことがないぞ!」
「クフフフ、出来てしまっては仕方がありませんね。それとも、夢…ということにしましょうか?」
『ただの現実逃避じゃん』
カレンの声で話す虎はクロームの傍に跳び、グロとの間に優雅に着地した。その背にとまるフクロウ。
「……それほどあの娘が大事か」
『さすが6弔花の一人と言ったところか。冷静さを取り戻すのが早い』
「六道骸は私の匣に憑依したが、月城カレン、貴様は誰の匣に憑依した。私は虎の匣など持ってはいないぞ」
『これは僕が作りだしたもの。この世に存在しない匣だよ』
即席の匣。しかも、作りだしているのがここからかなり離れたところのため、そう力は出せないのが本音だ。
それに、戦うのは凪。僕らに出来ることは、その手助け。
「(…溶けてく…)」
ボンゴレリングを覆っていたものが溶けた。
途端、アジトに居る綱吉達にところのレーダーに、それが表示された。
「敵じゃない。ボンゴレリングを持った……クロームだ」
『そのとーり』
「カレン!」
『今、僕が作りだした匣がそこに居る』
やってみたら何か出来た。そう言えば、何でもありなんだな、とリボーンが言ってきた。
『グロ・キシニア。ミルフィオーレの幹部格と対峙してる』
「なっ!」
『でも大丈夫。凪は、勝つよ』
一体何を信じているのか、周りの者にはわけが分からなかった。ただ、絶対な絆。それが二人を繋いでいるのは確かだった。