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□標的51
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「まさか、幻覚ごときに匣を傷つけられるとは」
「落胆することはありませんよ、グロ・キシニア。君が目の当たりにしているのはただの幻覚ではありませんからね。
僕とカレンの能力を核とし、ボンゴレリングにより究極にまで高められたクロームノ幻術で肉付けした形ある実態。いわば、有幻覚」
「ホンモノらと思った方がいいぞ。分かったかメガネカッパ!そのもっさい組み合わせは柿ピー一人で十分らっての」
「カッパ…」
「…怒るよ、犬」
「クフフフ、今も昔も変わりませんね。犬と千種は」
この場面だけ切りだしたら、何とも穏やかな風景となることだろう。
「幻覚共が…今一度植え付けてやろう。お前を完璧なまでに叩きのめした、グロ・キシニアの恐怖を!!」
『グ…間違えた。カッパなんかに恐怖を感じるほど、僕ら落ちぶれてないし』
グ………河童の米神の血管がピクッ、と動いた。途端、イカの触手に水に各自した炎がまとわりつく。
「死ぬ気の炎を帯びた竜巻だびょん」
「そのようですね」
『ねぇ、破壊しちゃダメ?』
「それじゃあ面白くないでしょう?」
「消えて静まれ、まやかしが!!」
まず触手が狙ったのは、なんの武器も持たないクローム。えげつない。
「………あ」
「なぁ!?」
「コングチャンネル!!!!」
そこにはコングチャンネルを発動した犬が居た。一気に3つもの触手の軌道をはずしている。
「ぐっ」
「…! そーうか。なぜかは分からんが、確かにその有幻覚とやらは実在していると認めた方がいいらしい。
だが、リアルすぎる故に実物以上の力を持ち合わせていないという、致命的な弱点を抱えているようだがな」
「君の常識に縛られない対応能力には驚くばかりですよ、グロ・キシニア」
「はなから常識など持ち合わせていないのだ。えエロとグロにおいて快感を妨げるゴミにしかならんからな」
『うわ!こいつ真面目に気持ち悪い!!今更だけど出てこなきゃよかった!ゲスだ、カッパだ、常識持ち合わせてないオッサンだ!』
「…月城カレン、お前はもう一度私に食されたいようだな」
『お前なんかに食われんなら復讐者につかまった方がまし(ホラ、僕が気を引き付けている間に)』
攻撃力を集中させ、一気に叩きます
「OKびょん」
「…はい」
「行くよ」
先に行動を起こしたのは千種。ヘッジホッグから針を放つも、簡単に止められてしまう。
「やはりたやすい」
「それはどうでしょう」
「そーだった。この格闘能力も自慢の一つだったな。だが貴様が5人できばったところで、雨巨大イカの足は10本だ。お釣りがくる」
「おっと」
骸は軽く飛んで避けた。しかし、クロームはそこまで身体能力がいいとは言えない。
「行ったよ、クローム!」
「!!」
『はーい、ストップ』
〜ボンゴレアジト〜
カレンがクロームだと言い張るのだが、今だリング反応が本当にクロームなのか信用しきっていないアジト。
ヴーッヴーッ
いきなり響いた警報音。モニターに表示されたのは、大量のコンマ。
「緊急暗号通信です」
「コードにコンマが並んでるってことは」
「我々の隠語でコンマとは切り落とした首…つまり殺し屋の暗号。暗殺部隊のコードです!」
暗殺部隊。それで綱吉が思いつくのは一つしかなかった。
〜黒曜ランド〜
『よし、間に合った』
「…カレン」
『怪我ない?』
「だい、じょうぶ…」
クロームの前に立つカレン。前にはターコイスブルーに輝く一体の龍。氷龍だ。氷龍の前には、凍らされた触手が一本。
《久々だな》
『ありがと、助かったよ』
《礼には及ばん。だが、しかし…》
『分かってる。本来の力の半分も出ないんでしょ?触手が一本しか凍らせなかった』
こっちに来たのは二本。一本は氷龍が凍らせた。残りの一本は、僕が体を呈して軌道をそらした。おかげで右肩がズル剥けだ。
「血が…!皆…!」
おやおや、このあたりが限界のようですね
徐々に僕らの体が、消え始めていた。