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□標的52
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「…まぁいい、何かあったら言えよ」
『分かってるって』
「分かりやすい指示ってなんなんスかね、10代目」
「どーやらあの方のことのようですよ。イタリア帰りの」
ジャンニーニが入り口を見たため、皆がそろって入口を見る。するとそこには…
「笹川了平、推参!!!」
この時代の笹川了平がクロームを抱えてそこに立っていた。
〜ミルフィオーレアジト〜
「グロ・キシニアの容体はどうですか?」
「ちょうど今意識を取り戻しました」
「よし、会わせてくれ」
「お…お待ちください。グロ様は…」
「邪魔しないでくれないか?忙しいんだ!!」
「きゃ」
止める看護士を脇に跳ねのけ、正一はグロの病室へと向かっていく。
コンコン
「失礼します、ホワイトスペル第2ローザ隊隊長、入江正一です」
礼儀正しく一応ノックをし、名乗る。病室の中には全身を包帯で巻かれ、とても話せる状態ではないグロが横たわっていた。
「あ………」
「グロ様はアゴの骨を折っていて、話せる状態ではないのです。他の外傷もひどく、指も動かせない状態です…」
「なんだって?」
「これでは仕方ありませんね…」
諦めたように、後ろにいるチェルベッロが呟いた。
「(待て入江!!お前に伝えなきゃならんことが、2つあるんだ!!)」
そんな中、はなせないグロは必死に目でそう訴えていた。
「話せるまでにどれくらい?」
「見ての通り、当分は無理です!」
「(諦めるなよ!言葉も文字も書けずとも、意志を聞く方法はあるだろうが!!)」
しかし、それが正一に伝わるはずもない。
「貴方がどこで黒曜の情報を得たのかはいずれわかります。我々に背いた反逆罪の覚悟はしていてください」
「(バカか!バカか!!バーカかお前は!!!はめられたのはオレだ!組織内に裏切り者が居るんだ!
それだけではない!!もう一つ、この失敗がチャラになるほどの土産があるのだ!!感づけ、入江!!)」
しかし、正一は一度も後ろを振り返らずに病室を出ていった。
〜ボンゴレアジト〜
「やっぱり、黒曜ランドの反応はクロームだったんだな…」
『だから言ってたでしょ、僕が』
「悪いな、信じてやれなくて」
『……信じた信じなかったはいいとして、公衆の面前でそう簡単に抱き付くなァ!!』
「照れてるのか?」
『これで照れない奴が居るんだったら見てみたいっての!!』
綱吉の腕の中で精一杯暴れるも、そこは男と女。力の差がありすぎる。
「お兄ちゃん!!よかった、無事で!!」
「見てみろ。京子は照れてないだろ?」
『あれは違う!!感動の再会って言うんだよ!!しかも兄妹だろ!!』
「カレンちゃん嫌がってるでしょ、ツナくん」
『京子!!』
「違う、これは照れてるだけだ」
『いらんこと言うなぁッ!!』
どうにかこうにかしてやっと這い出てきた。すぐに向かい側に居た京子の背に隠れる。
「……つか、なんでお前がここに来るってヴァリアーが知ってたんだよ!」
思い出したかのように獄寺が言った。
「もちろん、オレもそこにいたからだ!そして伝言を持ち帰った!極限に忘れたがな!!だが心配はいらん!ちゃんとメモしてある!」
「10年で一つ覚えたな」
リボーンの言う通りだ。
「……イタリアには出張相撲大会があっていったのだった!楽しかったぞ、京子!!ハル!!」
『(流石に無理があるんじゃ…イタリアで相撲なんか…)』
『京子達、ご飯作りに行ってくれましたよ』
「では、話そう…」
別な部屋に移動した笹川先輩、僕、綱吉、獄寺、ラル、草壁さん、ビアンキ、リボーンの8人。
「オレはある案件についてボンゴレ10代目の使者としてヴァリアーに出向いていた。その最中、ボンゴレ狩りが始まったんだ。
10年前からお前達が来たことは、ある情報筋によりヴァリアーに伝えられ、そこでオレも知った。
このことを知るのはボンゴレの同盟ファミリーのトップのみ……。信じぬものも多いがな」
「同盟ファミリーって、ディーノさんのキャバッローネも?」
「ああ、健在だ」
「よかった……」
心底安心したように胸をなでおろす綱吉。やはり兄貴分のことは心配になるようだ。
「そしてお前達が居ると仮定し、ファミリー首脳により大規模作戦が計画された。
ここにいる10代目ファミリーへの師事は、5日後にミルフィオーレ日本支部の主要施設を破壊することだ」
「…急だな」
こんなにも早く急な展開を迎えるとは、カレン以外誰もが思いもしなかった。