疾風迅雷 本
□第2Q
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〜MAJIバーガー〜
「ちょっと大声出したぐらいであんな怒るかよ?」
今日も同じく大量のハンバーガーを頼んだ火神。
「未遂だったのにボクも怒られました…」
「ブフォッ!?」
そしていつもと同じように、目の前には黒子。向こうからは真琴がやって来た。
「(………店変えよーかなー)」
「…あと、困ったことになりました」
「ホントだよ……ああ!?何!?」
「いきなり約束を果たせそうにないです」
「は?」
「なんかあれから屋上厳戒態勢しかれたらしくて、入部出来なかったらどうしましょう」
「それはねーだろ。…それに一つ気になってたんだけど、そもそもお前も幻の6人目何て言われるぐらいだろ。
何で他の5人みてーに名の知れた強豪校にいかねーんだ。オマエがバスケやるには…何か理由あんじゃねーの?」
「……」
流石、鋭い。
「…ボクが居た中学校はバスケ強かったんですけど」
「知ってるよ」
「そこには唯一無二の基本理念がありました。それは…勝つことが全て」
そのために必要だったのはチームワークなどではなく、ただ“キセキの世代”が圧倒的個人技を行使するだけのバスケット。それが最強だった。
しかし……もはやそこに“チーム”などというものは無かった。
「5人は肯定してたけど、ボクには…、何か大切なものが欠落している気がしたんです」
「…で、なんだよ?そうじゃない…お前のバスケで“キセキの世代”倒しでもすんのか?」
「そう思ってたんですけど…」
「マジかよ!?」
「それよりこの学校で、ボクは…キミと先輩の言葉にシビれた。今ボクがバスケをやる一番の理由は…君とこのチームを日本一にしたいからです」
「相変わらずよくそんな恥ずかしいセリフばっか言えんな!てかどっちにしろ残りの“キセキの世代”は全員ぶっ倒すしな。
“したい”じゃねーよ、日本一にすんだよ!」
火神はそう言うと、残りの大量のハンバーガーを全て真琴達に押しつけて帰って行った。
『…これ、どうします?』
「……持って帰りましょう」
〜翌日〜
「何だ、騒がしいな」
教室に入った火神は、真琴が手招きする窓際へと寄った。
「……ハッ!」
『凄いですよね、テツが書いたんですよ。……名前書き忘れてますけど』
「……一番大事なとこ忘れてんじゃねーかよ…」
2年の教室では…
「面白いからこれもアリ、かな!」
リコの机の上には、“黒子テツヤ”と名前の記入された入部届が置いてあった。
ちなみに残りの部員は屋上宣言を当然禁止され、部活動時間の声だしとしてやり15人→6人と絞られ、
名前を書き忘れた彼の校庭文字は、謎のミステリーサークルとして誠凛高校七不思議のひとつとなった。
「エイ」
「オー」
「エイ」
放課後、無事入部を果たした部員達は部活動に参加していた。
「おい、宝城」
『なんですか、日向先輩?』
「カントクどした?練習試合申込みに行くとか言ってたけど」
『先程戻ってきたみたいですよ。スキップしてたんで、オッケーだったみたいですけど……どうかしましたか?』
“スキップ”の単語にやけに反応した日向。顔は一瞬青ざめた。
「オイ、全員覚悟しとけ。アイツがスキップしてるってことは…、次の対戦相手、相当ヤベーぞ」
『あ、帰ってきました』
噂をすればなんとやら…体育館の入口に現われたリコ先輩は、とんでもない爆弾を落としていった。
「“キセキの世代”いるトコと試合…組んじゃった……❤」
そう行って着替えに行ってしまった。
「な?」
「……!?」
『うわー、いいなぁ。羨ましいです』
「「「どこが!?」」」