疾風迅雷 本
□第6Q
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「チームとしての陣形や戦略以前に、まずバスケは“体格のスポーツ”キミらとウチじゃ5人の基本性能が違いすぎる。
唯一対抗できる可能性があったのはキミっスけど、大体実力は分かったっス。潜在能力は認める。けどオレには及ばない。
キミがどんな技をやろうと、見ればオレはすぐ倍返しできる。どうあがいてもオレには勝てねェスよ。ま…現実は甘くないってことスよ」
「く…っ、クックック…ハッハ…ハハハハハ……!!」
『フフ、ハハハッ!』
「真琴ちゃん!?」
突然狂ったように笑いだした火神と真琴。その笑いに思わず誰もが振り返る。
「ワリーワリー、ちょっと嬉しくてさァ…。そーゆーこと言ってくれる奴久しぶりだったから」
『まさか黄瀬君が……そんな一丁前なことを言うとも思いませんでしたよ』
「……!?」
ベンチから立ち上がり、その場に立って話し始めた真琴。誰も止めはしない。
『体格で負けている?そんなの関係ない。たとえ負けていようが誠凛はチームワークで切り抜く』
怒っているのか、口調が完全に変わっている。
「チームワーク?そんなのでオレらに勝てるわけが……」
『まだ分かんないのか?チームワークの大切さが。キセキの世代にはそれが欠落している。それさえ備えれば本当の意味で最強になれた。
ボク達桜嵜に負けることも無かったのかもしれないんだぞ?いい加減分かれ』
睨み、吐き捨てるように言う真琴。
『それと……誠凛をなめるなよ。まだ入ったばっかりで全てを知っているわけではないが……誠凛は強い。
たとえ、黄瀬、お前が相手だとしても、誠凛を侮辱するようならば………』
まとう雰囲気が一気に重くなる。
『二度とバスケをやろうという気が起きなくなるまで、徹底的に潰してやる。……じゃ、後は火神君、よろしくお願いします』
「お、おお………」
言い終えたのか、真琴はそのまま何事もなかったのかのようにベンチに座った。
「……アメリカじゃそれがフツーだったんだけどな」
「……え!?アメリカ居たの!?」
黄瀬も火神も真琴のあまりの変わりように驚いたのか、反応が一拍遅れていた。
「日本帰ってバスケから離れたのは早トチリだったわ。ハリ出るぜマジで。やっぱ人生挑戦してナンボじゃん。
強ぇ奴がいねーと生きがいになんねーじゃん。勝てねェぐらいがちょうどいい。…おかげで分かったぜ、お前の弱点」
その言葉に隣にいたリコ先輩が反応した。
「見ればできる?見えなかったら?そもそも元から薄いのが前提じゃやれって方が無理な話だろ。
いくら身体能力が優れているお前でも、影を極限まで薄めるバスケスタイルだけはできない」
近くにいた黒子を隣に引っ張り出し、頭の上に手を置いた。
「…つまり、黒子だろ!」