疾風迅雷 本

□第7Q
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『今まではテツのパスと火神君の1on1はただの二択にすぎませんでした』



パスするか、勝負を挑むか。二択しかなければ、当然相手も次の動きへの対処もしやすい。手の内を明かしているも同然。



『ですが、そこにパスが加わった。たかがパスでもお互いの選択肢が増え前より一段階上の攻撃力になります』



パスして仲間に繋ぐか、そのまま勝負を挑むか、再びボールを戻してもらうか、後ろに戻すか。
たかがパス。されどパス。二択が三択、四択に増えるにつれ、あいても次の行動を予測しにくくなる。



「しかもその要である黒子君は黄瀬君が動きをコピーできない。いわば天敵!火神君と黒子君…この二人なら…」



そう言い合う二人の前で火神がパスミス。リコと真琴は顔を見合わせる。



「『まぁ、多分…ギリでいける/いけます』」


「「「(ギリっていいのか!?)」」」


それを聞いていたベンチメンバーは、不安そうに火神を見つめた。










「黒子っち…」


「……黄瀬君は強いです。ボクはおろか、火神君でも歯が立たない。…けど、力を合わせれば…二人でなら戦える」


「……やっぱ黒子っち変わったっすね…。帝光時代にこんなバスケは無かった…。
…けど、そっちもオレを止められない!そして勝つのはオレっスよ!」



黄瀬を動かしているのは、勝利への執着。“アレ”以来一度も負けたことがない、それ故の執着。



「黒子っちの連携をお反しすんのはできないっスけど…黒子っちが40分フルに持たない以上、結局後半ジリ貧になるだけじゃないスか」



仲間からのパスを受け、走り出そうとする黄瀬の前に、人影。



「…そうでもねーぜ!」



黄瀬の目の前に立つ人物。誠凛の11番の背番号を背負う……



「なっ…」


「黒子が…黄瀬のマーク!?」









『何が起こるか分からない……。それが勝負ですよ、黄瀬君』



リコの隣で、真琴は小さく呟いた。
 



  
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