疾風迅雷 本
□第12Q
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「やっぱいつもより人多いみてーだな」
火神達が中庭に出ると、そこには
「……!」
人、人、人、人…の大群。
「パン買うだけって…マジかよ!?」
「ほとんど全校生徒いねぇ!?」
先頭に出てもパンを買える人は少なく、後ろの人に押しつぶされているのがほとんどだ。
「とにかく行くしかねー。筋トレフットワーク3倍は…死ぬ!!」
「よし…まずはオレが行く。火神ほどじゃねーが、パワーには自信があるぜ…」
4人の前に出た福田は大声を張り上げて大群に突っ込んだが、
パーン
「歯ァたたなすぎだろっっっっ!!」
物の見事に弾かれた福田。
「ってゆーかよく見たらこれ…半端な力じゃ無理だぞ…。ラグビーのフォワード、アメフトのライン組、相撲にウェイトリフティング」
「奴らのブロックをかいくぐるのかよ…」
「面白れぇ…やってやろーじゃん」
「火神!」
こちらも大声を上げて突っ込む。福田とは違い途中までは行くが、やはり押し返されて出てきた。
「(これが日本のラッシュ…!)」
「火神ィイイイイイイ!!?」
「やっぱ全員でいくしかねぇ!!」
「誠凛ーファイ!!」
「「オオ!!」」
各自がおのおのの場所から突っ込んでいく。そりゃまあ吹っ飛ばされたりもみくちゃにされたり…
「あの…」
イライラが募り始めたころ、控えめな声がかかった。
「買えました」
「………」
出てきたのは黒子。持っているのは幻のパン。
「なっ…オマ…どうやって…!?」
「人ごみに流されてたら、先頭に出ちゃったんで、パンとって、お金置いてきました」
なんとも簡単な説明である。
「どうしたんですか?」
「いや…なんでもねぇよ」
「流石幻のシックスマンはちげーな…」
ヨレヨレの2人。まぁ……かわいそうだ。
〜屋上〜
「買ってきま…した…」
「おつかれーありがとっ」
ボロボロになりながら(黒子省く)の帰還。リコは彼らにジュースを手渡す。
「こ…これ…例の…」
「あーいーよ。買ってきたお前らで食べな」
「え?いいんですか?」
「いいって。遠慮するなよ」
『日向さん』
「…?なんだ?」
『今までで一番格好良く見えます』
「そ、そうか?」
手を頭に持っていき、まんざらでもない様子の日向。そこへ、
「真琴?」
『すいません!!』
黒ーいオーラに当てられた真琴はすぐさま謝る。
「じゃ、順番に…誰から行く?」
「いやー今回はやっぱ黒子だろ」
「…じゃあ…」
パンを口元に運ぶ黒子を、真琴は食い入るように見つめ、申し訳なさそうに口を開いた。
『あの…テツ?』
「なんですか?」
『そのパン一口くれませんか?』
「どうぞ」
口元にパンが差し出される。真琴やリコ達はえ、という声を上げる。
「どうかしましたか?食べないんですか?」
『いや、あの…え?』
「食べないんですか」
「(疑問符がなくなってるー!!)」