疾風迅雷 本
□第12Q
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仕方なさそうに真琴は黒子の持つパンに食いついた。
「どうです?」
『い…』
「「「い?」」」
『言葉で言い表せないぐらいのおいしさですよこれは!』
興奮したように力説する真琴。
「じゃあいただきます」
『…』
黒子もパンに食いつく。そう、食いついたのだ。
真琴が食べた後のパンに←(重要だよ!)
「じゃ、じゃあオレも…」
「お、おお…」
結局それには触れなかった。
〜放課後〜
「集ごーう!!」
日向の号令で誠凛メンバーが体育館中央に集まる。
「もうすぐI.Hだ!!去年はあと一歩及ばなかったが、今年は絶対行くぞ!
強豪がひしめきあっているが…特に同地区で最強最大の敵は秀徳高校だ!!」
去年は全国ベスト8。しかも今回は海常と同じように【キセキの世代】が一人入った。
この超強豪に勝てなければ全国への切符はない!!
「黒子…どんな奴か知ってんだろ?」
「…口で言っても多分信じないですよ。…ただ、黄瀬君が最初言っていたようにほかの四人は格が違います。
それがさらに進化してたら…想像もつかないです」
「秀徳に挑むためにもまずは初戦!!気ィ引き締めていくぞ!!」
「オオ!!」
「そういえば監督は?」
「ああ…すぐ近くで1回戦の相手が練習試合してるらしくて偵察行ってるよ」
「マネージャーは?」
「なんか知り合いが合いに来たって言って少し抜けるとさ」
〜新協学園〜
「(そんな…去年と全違うじゃない…!今のウチじゃ秀徳に挑むどころか…1回戦で負ける!)」
〜誠凛高校校門〜
『…お久しぶりですね』
「おひさー真琴」
『突然どうしたんですか?』
「ん?私ココの高校なんだけど」
『いや、知ってますよ。僕が聞いているのはなんで今まで来なかったのかということです』
真琴の目の前に立っているのは水色の髪を持つ男とも女ともとれる人物。もちろん女だが。
『砂那、黙ってちゃわかりませんよ』
「あー…あれだ、諸事情ってやつだ」
『そーですか』
「なんだそのいかにも信じてませんよっていう態度は!?呆れたような目で見るな!」
彼女は真琴と中学時代からの付き合いだ。名前は水野砂那(ミズノサナ)。
『明日からは来るんですね?』
「ああ、行くとも」
『同じクラスですから、待ってますね』
「ああ」
『…バスケ部はいるんですか?』
「いーや、バイトで忙しいから入らない。真琴も入ってないんだろ?」
『…男子バスケ部のマネやってます』
「ふーん。ま、いいや。じゃあ帰るなー」
『はい。さようなら』
手を振る砂那に手を振りかえし、真琴は体育館に戻っていく。
『(新協学園…何もないといいんですが…)』