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□標的53
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〜風紀財団〜



「私見ですが、クローム髑髏が黒曜ランドにいるという情報は六道骸からヴァリアーへもたらされたものかと」



豪華な和室。座布団の上に座る雲雀。その1メートルほど向こうに草壁が座る。



「笹川了平は沢田の決断後にここへ来ます。その前にクローム髑髏に会っておきますか?」


「いいよ。骸はそこにはもういないんだろう?」


「へい、おそらく…。それと恭さん、クロームとイタリアで接触していた例の男の身元が割れました」



今までほとんど反応していなかった雲雀が、ピクリと反応を示す。



「名はグイド・グレコ、17歳。イタリア人。15人を殺した凶悪犯で、1年前に脱獄したらしいです」


「ふうん、それってまるで」


「へい…かつての骸そのものです」










〜ミルフィオーレ日本支部〜



「まだ白蘭サンと連絡取れないのかい?」



長い廊下を歩く正一の質問に、傍に仕えていたチェルベッロが答える。



「ええ。つい先ほどお食事に出られたとのことです」


「……食事?なんであの人はこう……あーなんだ…。グロから目を離さないように指示してくれ」


「はっ」


「僕は少し休ませてもらう」


「……休むのでしたら」


「ここが落ち着くんだ」


「入江様、上着は」


「肌身離さず、だろ?」


「では失礼します」



2人のチェルベッロと別れ、1人研究室に閉じこもる。2人の気配が完全に消えてから、正一はパソコンの上に突っ伏した。



「は――――っ」


―「聞いた?正チャン」


「!!…なんだよ……間違って録画してるし……」



画面の中ではしゃぐ、まるで子供のような白蘭を見る。



「いつも元気だなー、白蘭サン」



別に止めるでもなく、そのまま画面を見ていた正一の目が突然見開かれた。勢いよく机に手をついたため、缶コーヒーが倒れる。



「(なんだ!?これは……!!?)」



正一の目線の先、画面の中には…










〜ボンゴレアジト〜





ボウッ





「…はぁ、体が軋む」


「スラロームのタイムはだいぶ縮まってきてはいるが、それでもノーマルグローブのほうが早い。まだ動きに無駄が多いということだ!」



ストップウォッチを持つラルが座り込んでいる綱吉に向かって大声を張り上げる。



「こんなことでは午後の修行でまた雲雀に半殺しにされて終わるぞ!」


「チッ」



ラルは一瞬何かに気を取られた後、珍しく綱吉を殴らず他の守護者の修行を見てくるよう指示した。



『(…あれ、殴らないんだ)』


「余所見とは随分と余裕そうだね、子狐」


『ッ、まさか…余裕なんてこれっぽっちもありませんよ』



トレーニングルームで綱吉とは反対側を使って修行(という名の戦闘)に勤しむカレンと雲雀。
もちろん雲雀が手加減などするはずもなく、本気の殺気で本気の戦闘を繰り広げている。



『ッ!』


「へぇ、これも避けられるのかい」


『いや、これ避けなかったら完全に頭蓋骨粉砕してましたよね!?』



迫りくるトンファーを紙一重で避け続ける。一般人から見れば、それも大したものなのだが。



『…そろそろ、こちらからも行きますよ』


「どうぞ」



目の前に振り下ろされたトンファーを刀になった腕輪で受け止め、そのまま雲の炎を吸収する。



「使い方、分かってきたみたいだね」


『まぁ、多少なりと、ですよ』



雲の特性、増殖で3本に増えた刀のうち一本を口に加えると、そのまま雲雀に向かって突っ込む。





キンッ





「…へぇ、やるね」


『まふぇふぇられはへんはら(負けてられませんから)』



雲雀の持っているトンファーにはヒビが入っていた。トンファーを匣にしまう雲雀を見てカレンも刀をしまう。



「今日はここまで。沢田綱吉とともに他の守護者を見てくればいいよ」


『分かりました。あ、ちょっと待ってください!』



今にも帰りそうな雲雀を引き留め、壁際においていた袋を掴み、雲雀に手渡す。



「何だい、これ」


『雲のリングです。すべて精度はAですよ。雲雀さん、リング使い捨てにするでしょう?』


「なんで知って……ああ、そうか。君には記憶があるんだったね」


『それもなんですが、親切にメモ書きと一緒に部屋に置いてあったんです。それと記憶で判断しました』


「大切に使わせてもらうよ。ありがとう」


『!?い、いえ!!』



頭を一撫でして帰って行った雲雀。あまりのことに手を頭に持っていき呆然と立ちすくんでいると、



「…何、浮気?」


『うぇ!?つ、綱吉!?』



後ろに綱吉がいた。



『い、いつから…』


「最初っから」


『…そうですか』


「ほら、行くよ」



乱暴にカレンの手を取ると、半ば引きずるようにして2人もトレーニングルームを出て行った。




  
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