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□標的53
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「ここは…」
『本当に日本風になってる。地下10階なのにすごいなー』
「ここにいるのは山本だよな」
『移動してなければそうだよ』
奥に進んでいくと、戦闘音が聞こえてくる部屋が一室。
「ッ!?」
『おっと…』
そっと襖を開けたとたんにこちらに向かって飛んできたた何か。それは誰にも当たることなく壁に張り付く。
『うわー…』
「…カレン!」
『え?………うぎゃっ!』
「カレン!?」
リボーンからの攻撃を避けるために襖側に来ていた山本がバランスを崩し僕の方に倒れてきた。
必然的に襖の隙間から中を覗いていた僕は山本の下敷きになることとなる。
「わりぃカレン!」
『だ、大丈夫…僕の注意が足りてなかっただけだしね』
「確かにな。それに修行中に入ってくる奴が悪いんだぞ」
「修行の調子を見に来てたんだよ」
「余裕だなツナ。とりあえずペイント弾に当たった数だけ実践では死んでるってことだ。ペイント弾の塗料は暗闇で光るからな」
そう言って部屋の電気を消した途端、
「……光まくってんじゃねぇかよ、山本」
「アハハ…」
全身発光していた山本だった。
「あ…ビアンキ。獄寺の修行はどうだ?」
「バックレたわ」
『あー、逃げたのか』
「…」
物凄い形相で砂嵐が吹き荒れる部屋を睨みつけるビアンキ。
「この調子で5日後に殴り込みなんて…」
『……』
確かにできないと思うのが普通だろう。でも…
『ちょっと抜けるね、綱吉』
「どこ行くんだ」
『トレーニングルーム』
そうとだけ答えると、綱吉の制止も聞かずに部屋を出た。
〜ミルフィオーレ〜
「お呼びですか入江様」
「見てくれ!」
いつにもなく騒がし……ではなく、慌てている様子の入江正一。手元には愛用のパソコンがある。
「これは…先ほどの白蘭様の映像ですね」
「この男は誰だ!?」
静止されている映像。笑う白蘭の後ろに映っているのは黒髪の青年。
「この部屋に普段入室できるのは許可された世話係と伝達係だけだと思います」
「確か先日伝達係のルイジが亡くなられ、代わりにFランクのレオナルド・リッピという男が配属されたと聞いております」
「ああ…その名は知っている…。レオナルド・リッピは僕が推薦したんだからね…だがレオナルドは……60歳の子男だ!!」
映像に映っている青年はとてもじゃないが60歳には見えないし、それなりの身長もある。
そうなればいえることたただ一つ。この男が、レオナルド・リッピではないということだけだ。