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□標的54
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〜ミルフィオーレ・日本支部〜




「やはりダメです。白蘭様への緊急回線も繋がりません!」



時を同じくして、ミルフィオーレでは何か騒然とした雰囲気が漂っていた。



「もーいいよ!イタリア本部にいる別の部隊へ繋いでくれ!」


「どうやらそれも無理のようです。本部パフィオペディラムに繋がる全ての回線が通信障害を起こしています」


「なんだよそれっ!?一体どーなって………あっ」



入江正一の脳裏を横切ったのは、先ほどの画面に映りこんでいた伝達係だった。










〜ミルフィオーレ・イタリア本部〜




「おかえりなさいませ、白蘭様。お食事いかがでしたか?」


「うん、うまかったよ。ラーメンにギョーザ」



部屋に入ってきた白蘭に恭しく頭を垂れるレオナルド・リッピ。



「ところでレオ君何してんの?とうとう世話係まで任されちゃった?」


「い…いえ…。あの…白蘭様にお仕事の話で相談が…」


「賃上げ要求とかヤだよ」


「いえ!…お給料には満足しています…。じ……実は、一身上の都合で辞めさせていただきたく…」


「お、それはびっくり。君の才能には期待してたのにな〜」


「ま…また、そんな…」


「ホントホント、なかなかできることじゃないよ。第11部隊を退け、グロ・キシニアを黒曜に向かわせるように誘導するなんてさ」



そこで今まで纏っていた雰囲気が一変した。それまでの掴み所の無い様なものから、一気に鋭いものへと豹変する。



「君はあそこで10年前のクローム髑髏を勝たせなければならなかった。だから僕に虚偽の含まれる報告をして、
勝ち目のない第11部隊ではなくグロ・キシニア率いる第8部隊を向かわせるよう操作した。
グロ君にだけ黒曜ランドにいるクロームの魅力的な情報を教えることも怠らずにね」


「白蘭様…?一体何を?」


「もういいから出ておいでよレオ君。いや、この場合グイド・グレコ君?それともボンゴレの霧の守護者かな」


「ボンゴレの…霧の守護者ですか?」


「うん。六道骸」



名を呼ぶ瞬間、今までの刺すような鋭い雰囲気がさらに鋭利なものへと変わる。



「はぁ?白蘭様…一体…それは…いつから?」



それはこちらも変わらなかった。今までの雰囲気が一変し、口調だけではなく、纏うものがガラリと変わる。



「随分前だよ。部屋にダチュラの花を飾ってもらったの覚えてる?花言葉は“変装”なんだ」


「やはり僕の予想通りだ。あのころからあなたの視線がくすぐったかった。あなたが入江正一に知らせなければ、もっと遊べたんですがね」


「よく言うなぁ。遊びを超えてボンゴレの仕事し始めちゃったの君だろ?」



その言葉を境に、レオナルドの体を霧が包み込む。



「ボンゴレ?」



その霧は徐々に晴れていき、



「彼らと一緒にされるのは心外ですね」



その特徴的な右目が露わになり、



「沢田綱吉は僕の標的でしかありませんよ」



六道骸本人が、その晴れた霧の中に佇んでいた。



「へえ、君が骸君かぁ。そのレオ君…いや、グイド・グレコは君にとって2人目のクローム髑髏という解釈でいいのかな?」


「クフフフフ、どうでしょう?」


「ふうん、企業秘密か。まぁ答えたくないもん無理やり言わせてもねぇ」



飄々とした雰囲気に戻ると、骸の手元を見た。



「わっ、レア度星5つのヘルリング!2つも持ってるんだ。骸君闘る気マンマンじゃん」


「当然ですよ。僕は楽しみにしていましたからね。ベールに包まれたあなたの力を暴けるこの日を…。そして、あなたを乗っ取るこの時を」


「食後の運動ぐらいにはなるかな」










〜ボンゴレ〜




「(どちらを選んでも、地獄か…)」



綱吉は一人、アジトの一室のソファにもたれかかっていた。カレンはクロームに用があるとかで別れた。



「ツナ見―――っけ!ツナにも落書きしてあげよっか!?」


「ランボ…。遊んでる気分じゃねぇンだ。あっち行ってろ」


「あららのら♪本当は遊びたいくせに〜〜〜!」


「…止めろ」


「ガハハ、書いちゃうもんね!」


「止めろって言ってんだろ!」



今までランボにキレた事は何度もあったが、ここまで大声で怒鳴ったことは一度もなかった。その大声を聞きつけたのか、ハルが来た。



「はひ?ランボちゃん泣いてるんですか?」


「ハル、修行中はちゃんと面倒見てろって言っただろ」


「す…すいません。でも…ランボちゃんだって遊んでるばかりじゃないんです。ちゃんとお手伝いもしてくれるんですよ。
ツナさん、何も知らないから…………」


「何も知らねぇのはお前らだろ!!」


「ッ!」



気付いた時にはもう遅い。



「ごめんなさい…。ハルはいつでも相談に乗ります……さあ行きましょうねランボちゃん…」



ハルが部屋から出て行ってから、綱吉は額に手を当てた。隠し事をしているのは、自分たちなのに…。



「ここにいたのか」


「リボーン…」


「ヘコたれてる暇はねーぞ。クロームの容体が急変した」


「なっ!?」




  
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