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□標的54
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ガチャッ
「カレン!クロームは…?」
『もう大丈夫』
「良かった…」
「どーやってあの状態から持ち直したんだ?」
『ボンゴレリングと、幻龍の鱗だよ。ボンゴレリングに灯った霧の炎を、幻龍の鱗で強化して、凪自身が内臓を作ってるんだ』
「そっ、そんなこと…可能なのかよ!?」
『できたんだから可能なんだよ』
開いていた席に腰を下ろす。
『…でも、まだ凪の力では、いくら幻龍の支えがあっても幻覚は不完全。生命維持がやっとだよ』
「……骸は?」
『……』
「それは、ヴァリアーにいた笹川氏の方が詳しいのでは?」
返答に困っていると、草壁さんが助け舟を出してくれた。チラリと視線を向けると、柔らかく笑ってくれた。
「骸からヴァリアーへの指示は一方的なものだったと聞いている。オレはその指示を信じ行動したが…」
骸の場所はわからない。そう言って頭を振った。
「クロームへの力が一切途絶えたのよ。最悪の事態も考えるべきだわ」
「!!」
「まさかな…」
「10代目!あのしぶとい骸です。まだ分かりませんって」
「だがどっちみち5日後にクロームは戦えそうにないな」
「…痛いな」
「心配するな。クロームの不足分はオレが不足する」
『ラル…』
当たり前のように言うラル。
「そんなこと任せられるわけねーだろ。お前、今、座ってんのもつらそうじゃねーか」
「何を言っている!!」
「無理すんな。顔を見ればお前の体調くらいわかる。お前の体は非7³線を浴び過ぎてボロボロなんだろ?」
「(ノン・トゥリニセッテ、だと?)」
「黙れ!過去から来たお前に何がわかる!」
「オレだって地上に充満してる非7³線を肌で感じたんだ。お前のやろうとしていることの無謀さぐらいわかるぞ」
「だが、非7³線を放出しているのはミルフィオーレだ!奴らを倒さなければこの世界は正常には戻らない!!」
バン、と机を強く叩き声を荒げるラル。それだけで息が荒くなってきている。
「え〜〜〜と、それについてなのですが…」
おどおどしながらそばにいたジャンニーニが話し始める。
「どうして非7³線が地上に漂っているのかまだ原因は特定できていません…。ミルフィオーレとの因果関係はあると思われるのですが…」
「いや!!奴らの仕業だ!!コロネロもバイパーもスカルも…奴らに殺されたんだ!!」
そう叫ぶと、小さく呻き声をあげてラルが倒れる。
「触るな!!たてるっ」
『ラル…』
「いい、炎を使うな!お前だって辛いのだろう!」
『ッ…』
「沢田…5日後だが、これだけ開く条件がそろっていればお前がなんというか見当がつく…」
作戦中止は伝えておこう。そう言い了平は腕を組み、目を閉じた。
「いや、やろう。敵のアジトに行けば過去に戻ることだけじゃなく、骸の手がかりもつかめると思うんだ。
それに、ノン・トゥリニセッテのこともわかるかもしれないからな…」
両手を痛々しいほど握りしめる綱吉。
「それに、こんなところに1秒でもいて欲しくない…。並盛の仲間はもちろんだし、クロームやラルだって、こんなとこ全然似合わねぇ!」
『(言うことの本筋は変わらないんだ…)』
「よく言ったぞ沢田!」
「…ガキが」
「とにかく…」
死ぬ気丸を飲み込んだ瞬間、額に灯る橙色の澄んだ炎。
「5日しか時間がない。一時も無駄にはできないぞ」
「はい!」
「だな!」
『…ですね』
ボンゴレの決断は、決まった。