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□標的55
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『うわー、やってるなぁ…』
目の前で繰り広げられているのは、よく見ていないと分からないほど高速で繰り出される攻撃の数々。
この修行(という名の本気とかいてマジと読む戦闘)を繰り広げているのは綱吉と雲雀さんだ。
一方僕はラル、草壁さんと壁際にて順番待ち。綱吉の額に灯る炎が消えたとたん、雲雀さんの次の相手は自動的に僕になる。
「ぐっ」
『あ、あたった(綱吉いたそうだなー…)』
しかし空中で体制を整え、そのまま雲雀さんに突っ込んでいく。
「!」
『(速度が速くなった…?)』
雲雀さんはそれをトンファーで防ぐ。そのまま空いている方のトンファーを振り上げるが、綱吉は飛んで避けた。
『空を飛べるって、やっぱり利点ですよね』
「そうでもない。空に飛んでいるということは、それだけ狙われやすくなるということだからな」
「空には障害物がありませんから。隠れるのは大変ですよ」
『ああ、確かにそうです…ね』
ラルに睨まれ、草壁さんが付け加えた。……翼出すのが嫌になりそうだ。
「……沢田は、な」
『え?』
「沢田さんはグローブから放射される死ぬ気の炎で飛行します。ですが、月城さんは背中に生える翼で飛行しますよね?」
「つまり、両手が自由になるってことだ。その分武器が持てるだろ。ま、それでも空中だからいろいろとデメリットはあるがな」
『へ、へぇ、そうなんですか…?』
「普通はそうやって飛行するお前が一番よく分かってることだろ」
『う…』
だって、そんな考えて飛んだことないんだもん僕!
「それにしても驚いた。沢田さんの動きが格段に良くなっている。ピーキーなあの炎をよりモノにしてきたようですね」
「それは違うな。奴は2種類の炎を使い分けているんだ」
「2種類?」
従来のノーマルグローブの炎は、エネルギーが常に分散するため感覚がつかみやすい。いわば柔の炎。
対するVer.VRで得た純粋な炎は扱いにくいが、爆発的にエネルギーが上昇していく剛の炎。
「柔の炎は姿勢制御やホバリング。剛の炎は直線の加速やここ一番でのパワーが必要な時に適している」
「なるほど…可変式というわけか。考えましたね、ラル・ミルチ」
「オレではない、沢田だ」
「ボンゴレの…超直感ですか?」
『何でもかんでも超直感だとは限りませんよ』
「カレンの言うとおりだ。」