疾風迅雷 本
□第3Q
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爆弾発言の翌日。
「あれ?これって…この号黒子が帝光いた頃のじゃん?」
「おー、一人一人特集組まれてるよ“キセキの世代”黒子は記事ねーな」
「6人目なのに…取材来なかったの?」
「来たけど、忘れられました」
「「「(切ね―――!!)」」」
「……ん?これ、マネージャーじゃね?」
「あ、ホントだ。えっと……“キセキの世代と同格、またはそれ以上の力を持つ100年に1度と言われる天才児”…だって」
「その次は?」
「“弱小校を全国一にし、全世界から注目を浴びている。我々は取材を試みたが、取材拒否のため詳細は明らかではない”…って。
弱小校を全国一に…!?確かに桜嵜は弱小校として有名だったけど、数年前から優勝常連校になってなかった?」
『それ、ちょうど僕が一度辞めて戻った時に来た取材ですね。優勝常連校になったのは僕が入部した代からです』
「おわっ!」
「一度辞めた…?」
『はい。テツ達にもう一度入れられましたけど』
「何で取材断ったの?」
『何でって…そう簡単に手の内は明かせませんから。僕、キセキの世代みたいに強くないですし』
「何言ってるんですか…」
『それに、キセキの世代が本物の天才ですから』
その時、携帯が鳴った。マナーモードにし忘れていたらしい。
「…なんて書いてあるんですか?」
『……ちょっと野暮用です。出てきますね』
怪しがる黒子に謝り、携帯を閉じると、呼ばれた場所へと急いだ。
「おー、此処が誠凛。さすが新設校。キレーっスねー」
『…お待たせしました』
「別に待ってないっスよ、真琴っち」
校門付近に立っていた男子に駆け寄る。男子の顔を見た周りの生徒はキャーキャー言っている。
『……視線が痛いです』
「気にしない、気にしない」
『…なんで僕呼んだんですか。テツ呼べばよかったじゃないですか』
「黒子っちのことは嫌いじゃないっスけど…男に案内されるのも…ねぇ?」
『僕は女子に嫌われたくありません』
女子からの視線はもはや殺気に酷似してきた。しかし、そんな中こんな声が、
「なんかお似合いじゃない?」
「美男美女カップル…憧れるわー❤」
聞こえてきたのだ。…何てことを思っているんだ…!
「〜♪」
『…何嬉しがってるんですか……ちょ、抱きつかないでください!体育館はすぐそこですよ!!』
「もうこのまま行ってもよくないっスか」
『な、お、降ろしてくださっ(テ、テツに殺される!)』
真琴の主張もむなしく、抱え上げられたまま(正確には姫抱き)彼……黄瀬涼太は体育館の中へと入っていった。
そして体育館に入ると目の前で繰り広げられている5対5。そんな中、彼は火神のプレーを見てしまった。
『あ……(ヤバ、見ちゃ……)』
「(いーの見させてもらったっスね)」
『…いい加減降ろしてください(本当に殺されちゃいます!)』
「ダメっスよ」
『ファ、ファンが…!ファン付いて来てますから!見られてますから!恥ずかしいんですッ!』
「……真琴?」
『ッ!』
「久しぶりっスね、黒子っち!」
「真琴、何で黄瀬君に抱えられてるんですか」
『(す、既に疑問符がない…!)』
「答えろ」
『ヒッ!あ、え、と…、です、ね…』
「オレが案内頼んだんっスよ。何もヤマシイことしてないっス」
「…ならいいですが」
『(怒ってる怒ってる怒ってる…!こ、怖い…!)』
「「「「(く、黒子があからさまに起こってる…!あの黒子が…!)」」」」
黒子の新しい面が発見された。黒子はその名の通り、稀に(主に真琴に関して)黒くなる。