疾風迅雷 本

□第6Q
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「弱点…!?」


「なんだよ。そんなのあんなら早く…」


「いや…、正直、弱点と言えるほどじゃないんですけど…。それよりも、すいません。もう一つ問題が…」


「え?」


「予想外のハイペースで、もう効力を失い始めてるんです」










「彼のミスディレクションは、40分フルには発動できないんス」


「ミスディ…何!?」


「黒子っちのカゲの薄さは、別に魔法とか使ってるわけじゃなくて…ザックリ言えば他に気をそらしてるだけ。一瞬ならオレにもできます」



そう言って黄瀬が取り出したのはバスケットボール。



「オレを見ててください」



そう言った後、そのボールを上に放った。笠松は思わず視線がそっちに行ってしまう。



「ホラ、もう見てない」


「あ!」


「黒子っちは並はずれた観察眼でそれと同じことを連続で行って、消えたと錯覚するほど自分をウスめてパスの中継役になる。
まぁ、やんなくても元からカゲはウスいんスけど…けど、使いすぎれば慣れられて、効果はどんどん薄まって行くんス」










「……そーゆー大事なことは最初に言わんか――!!」


「すいません、聞かれなかったんで…」


「気かな何もしゃべれんのかおのれは――!!」


『先輩、テツの首締ってます。窒息しちゃいますよ!』


「(でも私もウカツだった――!!こんなトンデモ技がノーリスクでやれるって方が甘いわ…!!)」


『(聞こえてませんね)』


「TO終了です!!」


「黒子君シバいて終わっちゃった――!!」



笛の音とともに、海常の選手は早くもコートに戻ってきている。



「このままマーク続けさせてくれ…ださい。もうちょいで何か掴めそうなんス」


「あっ、ちょ、待っ…、火神君!もう!…とにかくDFマンツーからゾーンにチェンジ!中固めて黄瀬君来たらヘルプ早めに!」


「黄瀬阻止優先!」


「おう!」


「あと黒子君はちょっとペースダウン。思いっきり点差引き離されない程度に。できる?」


「やってみます」



お互いコートに戻り終わり、試合が再開される。



「お?」



始まった途端、黄瀬の前には誠凛の選手がずらり。



「お、中固めてきた」


「(てかほぼボックスワンだな。火神を皆でフォローして、とにかく黄瀬を止めようってカンジか)
………やんなるぜ、全く」



そう呟いた笠松は飛び上がり、3Pを決めた。


「海常レギュラーナメてんのか?ヌリィにも程があるぜ」


「…ふぅ…ったく…しんどいね…つくづく」


『(気を付けなくてはならないのは、黄瀬君だけではないってことですね。流石海常レギュラー)』



真琴の手元にあるノートには、今までの海常の動きが全て整理され、記されていた。



「なるほど、少しずつ慣れてきたかも…」



時間がたつにつれ、追い込まれていく誠凛。黒子のミスディレクションもほとんど通用しなくなってきていた。



「クソ…ジワジワ差が開く…」


「ぐッ…」


「アウト・オブハウンズ!!白ボール!!」



ダンクをしようとしていた火神を黄瀬がブロックし、ボールが外に出た。



「…そろそろ認めたらどっスか?今のキミじゃ“キセキの世代”に挑むとか10年早ぇっスわ」


「何だと…!?」


「この試合、点差が開くとこはあっても縮まることはないっスよ」


『(うわ、嫌な言い方ですね)』



その声はベンチにまでも聞こえてきた。




  
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