疾風迅雷 本

□第7Q
1ページ/2ページ






「火神でも歯が立たない黄瀬の弱点が、パス回し以外コート上で最弱の…黒子…!?」


「で?確かに黒子っちのプレイだけは見てもムリっス。けどそれで何が変わるってゆーんスか?」


「第1Q終了ー!インターバル2分です!」


「変わるさ!次の第2Qでホエズラかかせてやる!」










「ったく、もっと点差付けられたぞ!何やってんだ!」


「はい!」


「基本がなってねーんだよ!ハンズアップ!スクリーンアウト!リバウンド!」


「はい!」


「高さが勝ってんだからリバウンド押さえてくんだよ!」



海常の監督がそう檄を飛ばす中、黄瀬はただ黙ってある一点を睨んでいた。










「…なるほど……うん。行けるかも、ソレ」



一方誠凛はとある一つの作戦を思いついていた。



「火神君もやっと頭冷えたみたいね!」


「いや、オレは最初から…」


「「超ムキになってたよ!」」


「けど、黒子君と火神君二人の連携が大事よこれ。出来る?」


「…う、なん…とか…きょっ」



いい詰る火神に、黒子の手が鳩尾にヒットした。



「テメ、何いきなり…」


「黄瀬君を倒すんでしょう?」


『…協力しないことには何も始まりませんよ』



真琴も加わって火神の前に立つ。



「ったりめーだ!!」



そう言った火神の手が、今度は黒子の鳩尾にヒットした。



「んじゃま…」


「第2Q始めます」


「逆襲よろしく!」


『ホエヅラ待ってますよ。それと、さっきはすみませんでした』



その言葉に火神が振り返り、ガッツポーズをした。まるで、気にするなとでも言っているかのように。



「行けー!」


「押せー!」


「行け押せ誠凛!!」




応援の声にも熱が入る。



「(海常DFはマンツーマンのまま。…よし)」



伊月のパスが火神に渡る。火神の前にはもちろん黄瀬。



「……?何か、変わったんスよね?」



その質問には答えず、火神は走り出す。



「(……?ただのドライブ―?またフェダウェイとか…?)」



そう予測した矢先、火神がボールを床に落とした。



「?」



ボールを取ろうとした瞬間、背後にはいつの間にか黒子。黒子のパスにより、再びボールは火神の手に渡った。



「(黒子っちと連係で―――!?)」



火神のシュートにより、誠凛に2ポイント入る。



「っし!!」


「オッケ、ナイッシュー!」



その後も同じような手を使い、確実に点差を詰めていく誠凛。



「また…スか!?(同じ手は――…)」



止めようと動く黄瀬に逸早く気付いた黒子は、火神ではなく日向にパスをした。もちろん、それをはずすわけもなく――…



「来たぁ、3P―――!!」


「3点差!!」


「ちょっとは見直したかね一年二人!」



得意げに後ろを振り返るが、二人は伊月のもとにいて聞いていないどころか気付いていない。



「…いや、相当打ちこんでるぞあの4番…。後半気ィ抜くなよ」


「それよか、10番だ。抜くパターンに11番の中継パスを組み込んできやがった」


「……?」


「パス貰うだけだった10番がパスするようになっただけだろ?そこまで変わるのか?」


「えらい違いだよバカ!」



チームメイトを一喝し、笠松は黒子を睨んだ。




  
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ