理想と真実 本
□第二話
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フィールドに入り、位置につくと残りの二人が審判のところに立っていた。
「それでは只今よりジムリーダーデントとチャレンジャーレインの公式バトルを開始ます。それでは…開始!!」
「いけっヨーテリー!!」
『レイキ』
フィールドにはヨーテリーとミジュマル。
「ヨーテリー、奮い立てる!!」
『鳴き声』
攻撃はせずに自分の能力や相手の能力を変化させる。
「噛みつく!!」
『…レイキ』
避けるのが遅れてしまい、攻撃を受けてしまう。
一度は倒れたミジュマルだが、急所には当たってない様ですぐに立ち上がる。
『シェルブレード』
「避けるんだ!」
しかもこっちから仕掛けた攻撃はよけられてしまう。やはりジムリーダーなだけあって一筋縄ではいかないようだ。
『水鉄砲』
ヨーテリーの眼に向かって水鉄砲を放たせる。目くらましをした後、至近距離でシェルブレードを決める。運良く急所に当たったようでヨーテリーは倒れた。
「よくやってくれたね。休んでいてね」
『戻れ』
両者ともポケモンを戻し、次のボールを構える。
「キミ、結構やるね」
『そっちこそ、見下してたがジムリーダーなだけあるな』
「み、見下してた!?」
『ああ。ジムリーダーのくせにジムを離れてうろちょろしててな。弱かったら他の二人もぶっ潰してやろうとしてたんだが…』
その言葉に審判をしていた二人が震え上がる。よほど怖かったのだろう。
『まあその必要も無くなった。今はお前を倒すことだけを考えとく』
「そうかい…それじゃあ行くよ!ヤナップ!!」
『ウォン』
相性的にはこっちのが有利だ。だが相手は腐ってもジムリーダー。もしかしたら逆転する手だてがあるのかもしれない。
「ヤナップ、ツルのむち」
『受け止めろ』
ウォンはヤナップの蔓の鞭を嘴で受け止める。
ヤナップもデントも今までこんな防ぎ方をした挑戦者がいなかったため驚いている。
『そのまま飛べ』
「ヤナップ!!掴まれてないほうでもう一度蔓の鞭!!」
『足で止めろ。そのまま旋回』
もう一本の蔓も受け止め、空中を旋回する。
高速で回るため、ヤナップは目を回してしまっている。もうどうする事も出来ないだろう。
『地面に叩きつけろ』
旋回を止め、地面に向かって急降下する。ギリギリのところで蔓を離し、ヤナップだけが地面に激突する。
「ヤナップ!!」
『とどめ。エアスラッシュ』
煙が悶々と立ち込める中に、とどめの攻撃をする。もう勝者は決まっていることだろう。
「…ヤナップ戦闘不能。勝者、チャレンジャーレイン」
ジムに響き渡った声は、ここに来て初めてのジム戦勝利を意味する言葉だった。
その言葉に気を良くし、寄ってきたウォンの頭を撫で、肩に乗せる。
「本当に強いんだねキミは。これはトライバッジだよ。それにこの技マシンもあげるよ。
中身は奮い立てる。どこかできっと役に立つと思うよ」
『どーも』
「あれ…もしかして、君ジョウトのチャンピオンさん?」
『ああそうだが。気付かなかったか?』
どうやら気付いていなかったらしい。それならこのまま旅をしてもばれる事は無いだろうな。
…ってかばれたならこいつらには口止めをしておかないとな…
「な、何でジョウトのチャンピオンがここに?」
『向こう(ジョウト)に飽きたからこっち(イッシュ)に逃げてきた。面白そうだからな、こっちは』
「すぐに帰らないと向こうでのチャンピオンの資格が無くなっちゃいますよ?」
『別にそんなの関係ない。もしとられてもオレは何も思わない。もとより無理矢理チャンピオンになったんだ。剥奪されるのが本望だ』
「そ、そうなんですか…」
『どうせなら伝説といわれるレッドという奴ともう一度戦いたい。
………そうだ、お前らオレがここに来た事、いた事を誰にも言うなよ』
「分かりました…(チャンピオンがこれでいいのか?)」
三人と少し話した後、ジムを出た。出た途端、目の前になぜか白衣をきた女が立ちふさがっていた。
『お前、そこをどけ』
「貴方がレインちゃん?私はマコモ。アララギ博士の知り合いよ!ちょっと家に来てもらえないかな?話があるの」
『はぁ?……って、おわっ!!おい、離しやがれ!!』
マコモと名乗る研究員に拉致される形で家に連れて行かれた。