理想と真実 本

□第三話
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土煙がおさまると、そこに立っていたのは…ミジュマルだった。
ドッコラーは凍ってはいないものの瀕死になっている。



『オレの勝ちだ。そこをどけ』


「…ねえ、何でレインちゃんはそんなに強いんだい?僕は、君と同じ事をしているつもりなんだけど」



Nの横を通り過ぎようとした時、問いかけられた質問。
その問いかけに答えず、レインは博物館の中に入った。










『ここが、シッポウジムか』


《あいつの事、無視してきてよかったのか?》


『あれぐらい自分で考えてもらわないとな。何でも答えを求められちゃ困る。て言うか面倒』



博物館の中に入り、奥のジムに進む。そこに並んでいるのは大量の本棚。そこには多くの本が詰まっている。



『一日かかっても読み切らなさそうだな』


《楽しそうだな》


『本は好きだからな。ジム戦の後にでもここの神話の本、読ませてもらおうか。レグナスとラグナスの事を知る手立てになる』


《…本の虫》


『オレは昆虫じゃない。哺乳類だ』


《そーいう事を言ってんじゃねぇよ》



途中、戦いを挑んでくるトレーナーを瞬殺したり、仕掛けを解いたりしながらようやくジムリーダであるアロエのもとへとたどり着いた。



『貴方がここのジムリーダーか?』


「そう、ジムリーダーのアロエよ。よろしくねレイン」


『…何でオレの名前を知っている?』


「噂はここまで届いてるわよ。その噂が本当か、試させてもらうとするわ!!行くのよ、ハーデリア!!」


『レイキ、いけ』



フィールドに出てきたハーデリアに図鑑をかざし、情報を見る。どうやらヨーテリーの進化形らしい。それなら…



『レイキ、リベンジからの冷凍ビーム』



格闘タイプの技はノーマルには効果抜群。合わせ技で簡単に倒れた。
アロエもまさかたった一回きりの攻撃で倒れる事は無いと高をくくっていたので、倒れてしまった事に驚くばかりだ。



『ん…?』



突如、レイキを光が包み込む。突然の事に二人とも驚いている。光がおさまると、姿が代わったレイキがそこにいた。



『進化したのか』


《みたいだな》


『…フタチマルって言うのか。何か最初の姿とかけ離れた容姿だな。可愛く無くなった』


《何かひどい》


《気にするな。こいつは思いやりってのを知らないんだよ》


『少しぐらいはあるっての』


「何独り言言ってんのか知らないけど、次行くよ!行きな、ミルホッグ!!」



出てきたのは大きな目に長い尾。赤っぽい体のポケモンだ。図鑑で調べ、ミネズミの進化形という事が分かった。



『レイキ、戻れ(さて、今度はどいつを出そうかな)』



ウエストポーチを探ろうとして、ふとスイラと目があった。
この頃、スイラはバトルとご無沙汰している。このさい、出場させようか。なんかもうめんどくなってきた。てか早く本読みたい。



『スイラ、行け。さっさと終わらせる。本読みたい』


《適当な理由だな、おい。ただオメェが本読みてぇだけだろーが》


『何が悪い』


《ハァ》



渋々といった様子でスイラがフィールドに出ていく。やっと出ていったスイラを見ると、審判が始めっと手を挙げた。



『あんたの好きなよーにどーぞ、いろいろストレス溜まってんだろ?』


《いろいろと面倒な主人がいるからな》


『それオレの事か?あ?ケンカ売ってんなら買うぞ』


《ポケモンに喧嘩売ってどうする》


『…いいからさっさと戦え。もう始まってんだ』



腕を組み、スイラを睨みつける。そこんじょそこらのポケモンの睨みつけるや威嚇なんかよりも断然こっちの方のが怖い。



《わーったよ》



やれやれという様子でフィールドに進み出ていくスイラ。



《本当に勝手にやっていいんだな?》


『どーぞお好きに。オレは指示しない。勝手にしろ』



腕を組んで見下ろす。いささか気に食わなそうな顔をしているものの、スイラは前を向いた。



《ってことで、お前の相手はオレだ。なに、一瞬で終わるさ》



そう宣言すると、フェイントをかけながらミルホッグに近づく。



「(ッ!早い)」


『がんばれー』


《応援するならちゃんとしろよ》


『してるだろうが。口出しすんな』


《もういい。今は話しかけんな》



ミルホッグにアイアンテールをかますが、当たらない。



『おい、当たってない』


《うっせぇんだよ!》



怒りからか大きな氷の塊を作ると、ミルホッグに向かってアイアンテールで叩きつけた。



<ギャッ>


『お〜お〜怖い怖い』


《思ってもねぇ事いいやがって》



土煙が上がりどうなったかは伺う事は出来ない。が、あれほどの攻撃を喰らって立っていられるとは思えない。



「ミルホッグ!!」


「…ミルホッグ戦闘不能。よってチャレンジャーの勝ち!」



土煙が晴れると、そこには気絶しているミルホッグの姿。



《…どうだよ》


『別にどうもしない』


《だろうな》



傍に戻ってきたスイラが得意げに言うも、軽くあしらう。彼も特に気にする事は無かった。



「…まさかこんなに簡単に倒されるとはね。はい、ベーシックバッジだよ。それにしてもこの前の少年が言った通りだ」


『少年?誰だ』


「チェレンだっけか?あんたとは比べ物にならないけどその子も強くてね。言ったらその子が“ボクより強い子がもうすぐ来るはずですよ”ってさ」


『アイツか…ベルって女はこなかったか?』


「ああ、まだ来てなかったな」


『そうか。それと一つ頼みごとがあるんだが…ここの本、読んでいいか?』


「構わないさ!ここはもともと図書館としても開放してるからね。探してる本があるのかい?」


『ああ、イッシュの伝説のポケモンについての本はあるか?』


「確か…右から3番目の本棚の二段目にはいってるはずだよ。じゃ、あたしは戻るね」



アロエは奥に置いてあった机に座ると、書類などを読み始めた。



『勝手に読ませてもらう』



一応断りを入れてから、レインは階段を上ってアロエに言われた本棚に行き、目的の本を読み始めた。
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