理想と真実 本
□第八話
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『…さて、うるせぇ観客も黙らせたし、続きをするとしようか』
レイキをボールに戻すと、フィールドがまたもや動き始めた。
『一回一回変わんのか』
「ええ。一回ごとにフィールドは変化するわ」
次に現れたのは岩が突き出ているフィールド。
『岩のフィールドか。なら…オウガ』
「バーチお願い!」
レインはオウガことキバゴを。ラグはバーチことバンギラスを出した。
「またちっちゃいの?バーチの攻撃一発で終わるわね!」
『オマエも十分うっせェな。黙ってろよマジで。それとこの後の5戦全ての先攻お前に譲ってやる』
「何よそれ。負けない自信でもあるの?」
『ああ。負けるどころかお前に攻撃をくらうこともねぇと思ってる。それほどお前は弱ぇ』
「何よッ!いい気になっちゃって…!そんなこと言えるのも今の内よ!最後に勝つのはこの私ッ!バーチ、破壊光線!!」
『ハァ…ホントバカだよ、オマエは』
感情にまかせた攻撃は当たらない。お前と会った時最初に言わなかったか?
「な、当たらない…!?」
『一発で終わりにしてやる。オウガ、げきりん』
《俺の主をバカにした分、威力倍にしといてやる!》
ドガァアアアン。立ち込める煙から出てきたのは無傷のキバゴ。煙の中には倒れたバンギラスが目を回して倒れていた。
「バンギラス戦闘不能。なn『キバゴ』…の勝ち」
《違う、キバゴじゃない!オノンド!!》
『…いつの間に進化しやがった』
《さっきの間に》
『…はぁ』
オノンドをボールの戻し、ラグを見据える。アイツはまだオレを睨んでいた。
「つ、次のフィールドはマグマよ!」
『見りゃわかるっての』
目の前には煮えたぎるマグマ。こんなのどっから出てくるんだか。
「ぶーちゃん!!」
『ぶ、ぶーちゃ…ククッ…ハハハッ!ムリだ、ドゥ、ラ…』
笑いを堪えきれず思わず噴き出した。後ろに居るグリーンも、同様に噴き出していた。心なしかレッドの肩が震えているように見える。
「よくも笑ってくれたわね………行けぶーちゃん、フレアドライブ!」
『(あのブーバーン可哀想だな。ぶーちゃんなんて見たまんまじゃねぇか。むしろ焼き豚の方が…あー駄目だ、また笑えてきた)』
《レイン!始まってるってば!って、おわ!》
何とかよけながらドゥラが訴えるも、レインは片手で顔を覆い、笑いを堪えることで精一杯のようだ。
「(今がチャンスね!)ぶーちゃん、今度は炎の渦でモノズの周りを囲んで!」
《わ、ちょ!あち!!》
一瞬にしてモノズの周りを炎で取り囲む。
「もう一度フレアドライブ!」
《レイン―――ッ!》
『悪ぃ、待たせたな。ドゥラ、ハイパーボイスで打ち破れ』
漸く笑いが収まったようだ。ドゥラに向かい指示を出す。
「チッ!(あのまま笑っててくれればよかったのに…)」
『ドラゴンダイブ』
ハイパーボイスで炎を打ち破り、フレアドライブで突っ込んでくるエンブオーに、ドラゴンダイブで立ち向かう。
対格差的に不利なのはモノズのはずなのだが、威力の差でモノズが勝った。あー、龍のウロコ持たせて正解だったな。
「やk……ブーバーン戦闘不能。『モノズ』の勝利」
レッドの声に合わせる。レッドの射殺すような視線が痛い。つーかさっき、ブーバーンのこと焼き豚って言おうとしてたよな、アイツ。
『どーする?もう後がねぇぞ?』
「クッ……」
今のところ3勝0敗。あと1勝してしまえばレインの勝ちだ。
「まだ……分からないわよ!」
フィールドが変わる。次のフィールドは…
「電流が流れるフィールドよ。いつ電流が流れるのかは予測不可能。行け、リーブ!」
《……》
ラグはエレキブルのリーブを出してきた。
『アイツ、しゃべらねェな。無口なのか?』
《さぁな。つーかどーすんだ?オマエ、電気タイプ持ってねぇだろ》
『持ってるには持ってるだろ』
《アイツは使えねぇだろ》
『……』
今ここでラグナスを出したら大騒ぎされる。スイラの目はそう言っていた。
『でもよ、カイレとフロウとディールを出した時点でもうアウトじゃねぇか?』
《……確かにな》
『なら今更だろ』
《でもよ、あいつらは意味わかんねェプラズマ団とかいう奴らが狙ってんだろ?狙われたらどうする》
『オレ自身がもう狙われてっから問題無い。来たら凍らして逃げりゃいいだけだ』
《……凍らすのはオレなんだぞ》
『何ならオレが凍らしてもいいんだぞ』
《…分かった。オマエの好きにしろ。オレはどうなってもしらねぇ》
『ハイハイ』
ボールを掴んで宙に放る……前にラグナスは出てきた。