理想と真実 本
□第十話
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《…着いたぞ。ヒウンの次、ライモンシティだ》
『分かった。ありがとな』
《別に…》
クウをしまい、ライモンの入口に向かう。
《…何か聞こえねぇか?》
『なんか揉めてるみてぇだな』
一歩街に足を踏み入れれば、目の前には一人の老人にたかるプラズマ団がいた。
「我々に痛めつけられたくなければ、さっさとポケモンを放つんだな」
「そんなこと、できるわけがないだろう!旅のトレーナーから預かった大切なポケモンだ!!」
「威勢だけはいいな。でも、それがいつまで続くかしら?」
リーダー格らしい女のボールから出てきたのはミルホッグとヤブクロン。
「…おお!そこのトレーナーさん!ワシを助けてくれ!!」
《目ェ付けられたな》
『チッ』
そそくさと通り過ぎようとしたら、爺さんに捕まった。腕を掴まれてしまったら逃げようがない。
『あー、メンド』
そうは言いながらもボールを放るのだから、そこまでひどい性格をしていない………と思う。
「そんなちいさいワシボンで私のポケモンに敵うと思っているのかしら小娘!」
『思ってるから出したんだろ、単細胞女』
小娘と言われたのが気に食わないらしい。確かに、相手の女はかなり発育がいいともいえる体系だ。ボンッキュッボンだ。
「た、単細胞女ですって……!」
『流石単細胞。煽っただけで乗って来やがる』
「〜〜〜〜〜ッ!」
《…おい、いいのか?逆に煽っちまって》
《僕、ちょっと怖くなってきたんですけど…》
『大丈夫、心配ない』
ムキーッ、とか言いながら2体に一斉攻撃を命じる女。
『ウォン、岩なだれ』
「え……」
『はい、戦闘不能だ』
目を回して倒れているミルホッグとヤブクロン。その一瞬の出来事に、女は眼を見開く。
『ちっさいからってバカにすんじゃねぇよ、単細胞』
「〜〜〜〜〜ッ!お、覚えてないさい!」
『覚えてるわけねーだろ』
逃げていくプラズマ団にため息を吐き、ウォンを飛ばす。オレが自ら探しに行くわけがないだろ。
《ここです》
数分後、帰って来たウォンが案内したのは遊園地。流石電気の街というべきか。乗り物を動かしているのは全て電気だ。
『人が多くてどこに行ったんだか分かんねぇ…』
一応隅々を見て回った。残すは観覧車のみだ。
《いたぞ》
『ああ』
いた。観覧車の前にNと共に立っている。オレの姿を見た途端、目つきが変わった。
「やあ、また会ったね」
『…』
「無視かい?」
『(んでこいつはオレの行く先々にいんだよ)』
《(お前、なんか気に入られるようなことした覚えねぇのか?)》
『(ねぇよ)』
つーかオレが人に気に入られるとかあり得ねぇ。
「相手はボクがするから、君達は逃げな」
「あ、ありがとうございます!」
単細胞女達はその場から去って行った。それに続こうとすると、Nに腕を掴まれ、無理矢理観覧車に乗せられた。