理想と真実 本

□第十五話
2ページ/3ページ






《…いいのか?》


『何がだ』



橋からかなり離れた場所まで来て、唐突にスイラがそう聞いてきた。



《何がって…》


『目を見られたことか?』


《…ああ》


『お前は変なところで気を使うなぁ』



ククク、と喉を鳴らして笑うと、スイラが失礼なと言わんばかりに吠えた。



《オレはだな…!》


『ああ分かっている。ありがとな、スイラ』


《わ、分かればいいんだ…》



そっぽを向いたスイラ。



『でもよ…ま、【化け物】と言われなかっただけいいだろ』


《…》


『病気のほうがまだましさ』





その後とりあえずポケモンセンターによって手持ちの回復を待つ。



「レインさーん、回復終了いたしましたよー!」


『どーも』



ぶっきらぼうに言っても営業スマイルを外さないジョーイ。流石だ。



《んで、どこに行くんだ?》


『知んね。とりあえずテキトーに探しゃよくね?』


《テキトーって、どーすんだよ》


『あー、あそこよくねーか?』



レインが指差したのは…










『…さみっ』


《そりゃそうだろ。ここ冷凍コンテナなんだからな》


『いかにもさむそーなカッコしといて大丈夫とか…舐めてんのか』


《何をだよ》



あー寒い。そう呟きながらコンテナの奥まで入っていく。



《つーかさ、こんなところに隠れてると思ってんのか?》


『全く思わない。こんな寒いところにいるほうがおかしいだろ』


《ならなんで探す》


『何とな《正直に言え》アイツらに見つかって捜索に加えられるのが嫌だからだ』



ここは逆らっちゃいけない。本能がそう告げた。



《はぁ…こんなところにいるわけ、が…》


『どうしたスイラ』


《…いたぞ。バカが》


『……あ、ホントだ』



一つだけ開いていたコンテナの中に、寒さに震えるプラズマ団を発見した。



『…お前らバカかよ』


「うおっ!?なんでこんなところにいやがんだ!!」


『そりゃこっちのセリフだ』



手近にいた下っ端達を氷漬けにして進んでいくと…いた。



『んなとこで何やってんだよ、爺』


「う、煩いぞ!!」



叫ぶ声が震えている。周りに何人もの下っ端達を纏わり付かせ、寒さに耐えているらしい。



『んな寒いなら出りゃいいだろーよ』


「出たら捕まるだろうが!」


『そのまま捕まれよ屑』


「この…ッ!生意気な小娘が……ッ!」



あー、逆鱗に触れちゃった感じ?



「行け!私の代わりに娘を黙らせろ!!」



固まっていた下っ端達の中から出てきたのは一気に4人。



『あー、オレ持ってるやつら大体寒さに弱いんだよなー…』


《どーすんだよ》


『レイキ、ラーク』



出てきたのはダイケンキとゾロア。



『テキトーに倒せ』


《テキトーってさ、案外難しいんだよ?》


『言うようになったなラーク』


《まぁね。それほどでも》


『褒めてねーから』



なぜそこで恥ずかしがる。お前の思考回路どうにかしてるぞ?




  
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ