神ノ定メ 本
□第5夜
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ラビと一緒にクロウリーに攻撃をしていた時だった。突然クロウリーの攻撃が止まった。彼は頭を抱えて苦しそうにし、震えている。
「うあ"あ"あ"あ"あ"あ"…ぐががががが…?」
「はれ?おうい、どうしたぁ?」
問いかけても変な呻き声上げるだけ。ようやく話し始めたと思ったら口調までもが代わっていた。
『ラビ、クロウリーさんには悪いですが、ここはチャンスですよ』
「だな。クロちゃん、恨まないでね」
―イノセンス第二開放…判 火!! ―
―光の銃第二開放……弓矢!―
「劫火灰燼 火判」
『《風の矢》』
ラビが作り出した火の蛇に、レムがはなった風の矢が突き刺さる。風の力も付いて、火の蛇がより一層大きく強大になる。
「うわああああああああ!!」
クロウリーはそのまま勢い良く城の壁の中に突っ込んでいった。
『ラビ、火加減は…?』
「そりゃ勿論したさ」
城の中ではクロウリーが突っ込んだ方とは逆の方からアレンとアクマとなったエリアーデが同じく突っ込んできた。
「ぐッおのれぇ……!!!(アレイスター!転換!!!)」
エリアーデはクロウリーを視界に捉えると、アレントの戦いを放棄し、もう一度人の皮をかぶりクロウリーのもとへと向かった。
エリアーデが人型になったことで、その上に乗っかっていたアレンは落ちそうになるが、タイミングよく飛んでいたレムに助けられた。
『大丈夫ですか?アレン』
「レム!!無事だったんですか!!」
『まあ、怪我は少し負いましたが、噛まれてはいませんよ』
「あれ?お前左目治ったんか」
よく見れば確かにアレンの左目は開いている。
「!おいアレン。あの女…!?」
ラビの指さす方を見れば、エリアーデに抱えられたクロウリーがいた。彼女の背後には内蔵された魂が見えた。やはりエリアーデはアクマだったのだ。
しかし、その魂はいつもと違った。なぜか自分がいつも見ている魂よりも醜く見えた。いつもレムが見ている魂はもとの人間の姿。
だが、今の魂はただ人の屍が包帯に包まれているだけのもの。
「アレイスター様」
「エエ…エリアーデなんであるかそれは…おお、お前のその…体から出ているものは………」
その言葉を聞いて確信した。この魂はいつも自分が見ているものではない。これは、呪いが強くなったアレンが見せているものだと。
『冥界から呼び戻され、兵器のエネルギー源として拘束された"アクマの魂"です。いつも、僕とアレンが見ているものです。
もっとも、僕がいつも見ているような魂より、醜く見えますがね』
「そうなんか…?お前のその左目のせいか?」
「(マナの呪いが強くなった?この左目が写し取ったアクマの魂が僕以外の人にも見えるようになったのか!?)」
アレンは左目を抑える。
「クロちゃんその姉ちゃんはアクマさ!!説明したろさっき!あんたとオレらの敵さ!!」
「エリアーデ…?お前は何か知っているのか…?」
アレンに攻撃された時着いた傷から血が垂れる。
それと同時にエリアーデはアクマの姿へと転換した。そのままクロウリーを柱にぶつける。
「うまく飼い慣らして利用してやるつもりだったが、もういいわ!!お前をエクソシストにするわけにはいかないんだ。殺してやる!!!」
「ヤベえさ!クロちゃんさっきオレとレムとバトッてヘロヘロだった!!助けねえと……ッ」
『?なんか地面から音が………っ!!!』
地面から食人花が床を貫いて出てきた。それもかなりの量でアレン達とクロウリーを分断した。これでアレン達はクロウリーのもとに加勢にいけない。
「この花をなんとかしねぇと、クロウリーのもとにいけないさ!」
『アレン!!クロス元帥といるときにこれと同じような花育てた事ありませんか!!』
「そういえば……」
ラビは足をすでに噛まれている。どうにかできないかと思いを巡らせているとき、向こう側から戦闘音が聞こえてきた。
きっと、クロウリーとエリアーデが戦っているのだろう。
『戦ってる…』
戦闘音に気を取られ、ラビが抵抗を止めたため食人花に食べられた。食人花の中で暴れまわるラビにアレンは言う通りにしろと言うが、ラビは聞く耳を持たない。
そんなラビにキレたのか、花の中にいるラビに向かって黒いオーラを放つアレン。おもわず食人花までもがあまりの黒さに停止する。
『(やっぱり僕の知ってるアレンより、何か黒い)』
「レムに言われて思い出したんですけど、師匠といたときこれと同種の花を世話した事があるんです」
「マジで!?じゃあこいつら止められるん?」
「はい。だから言う事聞け(黒)」
「……」
「この花は好意を持つ人間には噛みつきません。だから心をこめて花に愛情表現して下さい」
『は、花に…?』
「はい」
「I LOVE YOU―――!!」
ラビは大声で叫んだ。
「ほら、レムも言わないと、そこにある花にかまれますよ!!」
『僕も…言うの…?』
ためらっていたが、すぐそこにはもう大口を開けた花。レム腹をくくって口を開いた。
『あ、ああ、あ、愛してます…っ!!』
その一言で花は噛みつかず、それどころか傷をいたわるかのように怪我をしていないところに蔓を巻き付け、一つの大きな食人花の上に下ろした。
『あの、できれば仲間の二人も放してほしいんですが…』
そうは何言えば、素直に言う事を聞き入れ、アレンとラビも同じように食人花の上に下ろした。