神ノ定メ 本

□第11夜
1ページ/6ページ






告白され、そのまま数分ほど抱きしめられていたレム。このままでも、なんかアレなので、アレンの肩を押して離れる。



「僕としては、もう少しあのままでいたかったんですけど…」


『む、無理ですよ!』


「意外とウブなんですね、レムって」


『いいから、早くバクさんのところに行きましょう!まだ行ってないんでしょう!?』


「……そうですね、レムも起きた事ですし、行きますか」



二人で部屋を出てバクのいる部屋へと向かう。部屋につくと、そこには大きな画面に映し出されているアレンがいた。それがいくつもある。



「“道化”…まるでそれみたいですね、僕の姿」


『確かにそんな感じですね。僕はあまり見られませんでしたが』


「そういうレムはそのまんまですよね。獣そのものです」



ただの獣といわれた事に少しイラッときたが、何とか抑えておく。会話が耳に入ったのかバクが後ろを振り向く。



「二人とも、検査は済んだのか?」


『はい、異状ナシです』


「ウォーカーの左腕と、レムの右目はどうだ?」



アレンははおっていたシャツを脱ぎ、レムは右目に巻かれていた包帯をとった。



「まだ少し感覚はボケてますが大丈夫です」


『…まだ鮮明には見えませんが、まあそのうち治ると思いますよ』


「そうか」



アレンの左腕は、前よりも完全に接合されていた。もうわけ目も何もない。バクは手元にある資料に目を落とす。



『バクさん?どうかいました?』


「いや、何でもない。“神ノ道化(クラウン・クラウン)”か…そう呼ばせてもらうよ」


『カッコイイ呼び名ですね。神ノ道化(クラウン・クラウン)ですかぁ…』


「強かったですか?僕のイノセンス」


「あ、ああ!強い対アクマ武器だったぞ、ウォーカー」


「そっか」



強いという言葉に反応したアレン。強いと知ると満面の笑みを浮かべた。



「支部長!本部との回線、復活しました!」


「あ、うむ!ではウォーカー、後でまた会おう!」


「はい。あ、そうでした…」



アレンはバクに近づき、一瞬黒オーラを放つ。



「レムはもう僕の何で、手ぇ出さないでくださいね?」



ニッコリと微笑みながら言ってはいるものの、目が、目が笑っていなかった。



「ウォ、ウォーカー?」


「あっ、それと、コムイさんが何と言おうと僕は方舟に乗りますよ」


『僕もですよ』



アレンとレムは部屋を出てフォーのもとへと向かった。










✝封印の扉前✝





{よう、ウォーカー。ヒマなのか?}


「調子はどう?フォー」


{この中で休めは元に戻るさ…………ちょっと時間がかかるのが退屈だけどな}


『それは退屈そうですね。でもしっかりと休んで、もとの姿に戻って下さいよ』


{わーってるって。ここで変人エクソシストを見送ってやらぁ}


「酷いな。僕達のどこが変人ですか?」


{はは…バーカ。ウォーカー、お前だけさ}


『僕は変人じゃないんですね。よかったぁ…』


{人間もアクマも好きなんて、大概奇天烈だぜ?}


「ははっ」



笑ったアレン。今度は黒いオーラもなく、目も本当に笑っている。



{寝るぞ。疲れた…お前みたいな奴、とっとと戦場に行っちまえ………お前みたいな奴……}



アレンは親指を突きつけると、扉に向けた。レムはふざけて敬礼のポーズをとる。



「行ってくるよ」


『行ってきます』



フォーは返事を返さなかった。二人はそのままそこを去っていった。



{生きて、帰ってこいよ…}



フォーの呟きが静かに響いた。




  
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ