神ノ定メ 本
□第11夜
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告白され、そのまま数分ほど抱きしめられていたレム。このままでも、なんかアレなので、アレンの肩を押して離れる。
「僕としては、もう少しあのままでいたかったんですけど…」
『む、無理ですよ!』
「意外とウブなんですね、レムって」
『いいから、早くバクさんのところに行きましょう!まだ行ってないんでしょう!?』
「……そうですね、レムも起きた事ですし、行きますか」
二人で部屋を出てバクのいる部屋へと向かう。部屋につくと、そこには大きな画面に映し出されているアレンがいた。それがいくつもある。
「“道化”…まるでそれみたいですね、僕の姿」
『確かにそんな感じですね。僕はあまり見られませんでしたが』
「そういうレムはそのまんまですよね。獣そのものです」
ただの獣といわれた事に少しイラッときたが、何とか抑えておく。会話が耳に入ったのかバクが後ろを振り向く。
「二人とも、検査は済んだのか?」
『はい、異状ナシです』
「ウォーカーの左腕と、レムの右目はどうだ?」
アレンははおっていたシャツを脱ぎ、レムは右目に巻かれていた包帯をとった。
「まだ少し感覚はボケてますが大丈夫です」
『…まだ鮮明には見えませんが、まあそのうち治ると思いますよ』
「そうか」
アレンの左腕は、前よりも完全に接合されていた。もうわけ目も何もない。バクは手元にある資料に目を落とす。
『バクさん?どうかいました?』
「いや、何でもない。“神ノ道化(クラウン・クラウン)”か…そう呼ばせてもらうよ」
『カッコイイ呼び名ですね。神ノ道化(クラウン・クラウン)ですかぁ…』
「強かったですか?僕のイノセンス」
「あ、ああ!強い対アクマ武器だったぞ、ウォーカー」
「そっか」
強いという言葉に反応したアレン。強いと知ると満面の笑みを浮かべた。
「支部長!本部との回線、復活しました!」
「あ、うむ!ではウォーカー、後でまた会おう!」
「はい。あ、そうでした…」
アレンはバクに近づき、一瞬黒オーラを放つ。
「レムはもう僕の何で、手ぇ出さないでくださいね?」
ニッコリと微笑みながら言ってはいるものの、目が、目が笑っていなかった。
「ウォ、ウォーカー?」
「あっ、それと、コムイさんが何と言おうと僕は方舟に乗りますよ」
『僕もですよ』
アレンとレムは部屋を出てフォーのもとへと向かった。
✝封印の扉前✝
{よう、ウォーカー。ヒマなのか?}
「調子はどう?フォー」
{この中で休めは元に戻るさ…………ちょっと時間がかかるのが退屈だけどな}
『それは退屈そうですね。でもしっかりと休んで、もとの姿に戻って下さいよ』
{わーってるって。ここで変人エクソシストを見送ってやらぁ}
「酷いな。僕達のどこが変人ですか?」
{はは…バーカ。ウォーカー、お前だけさ}
『僕は変人じゃないんですね。よかったぁ…』
{人間もアクマも好きなんて、大概奇天烈だぜ?}
「ははっ」
笑ったアレン。今度は黒いオーラもなく、目も本当に笑っている。
{寝るぞ。疲れた…お前みたいな奴、とっとと戦場に行っちまえ………お前みたいな奴……}
アレンは親指を突きつけると、扉に向けた。レムはふざけて敬礼のポーズをとる。
「行ってくるよ」
『行ってきます』
フォーは返事を返さなかった。二人はそのままそこを去っていった。
{生きて、帰ってこいよ…}
フォーの呟きが静かに響いた。