リングの光T 本
□標的14
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※舞姫(優衣)登場!
ディーノさんに転校生が来ると言われてから三日がたった今日、本当に転校生が来る事になった。
『(転校生…どんな人でしょうね?それにツナたちはどこに行ったのでしょうか?獄寺はまだしも、山本まで学校に連絡なしで休みなんて、珍しい)』
「はい、席つけー。今日は転校生が来るぞ。さ、入ってきなさい」
前の方のドアが開く。入ってきたのはディーノさんとは違い、ロングの茶色い髪で緩く巻いてある。
「うわぁー可愛いー」
「小動物みたいだねー」
「ファンクラブつくんね?」
クラスの反応も様々だ。じーっと見ていると、彼女と目があった。頭を軽く下げ、会釈すると、向こうもし返してくれた。
「姫川優衣です。最近引っ越して来たばかりで分からない事が多いのですが、これからよろしくお願いします!」
「みんなよろしく頼むぞー」
「よろしくー」
「よろしくねー」
自己紹介も終わり、席は僕の斜め後ろになった。席に座り、先生の長い話が始まった。
(トントン)
『?』
後ろから肩をたたかれた。先生に見つからない様に後ろを向けば、姫川さんが紙を持っていた。受け取って前を向き、中身をみれば、手紙のようなものだった。
〔貴方が優君?大体の事はお兄ちゃんから聞いてるんで、よかったらお友達にならないかな?〕
可愛らしい内容に、思わず笑みがこぼれる。それに、どうやら彼女はどうやらディーノさんにマフィア関係の事を聞いていないようだ。
彼女からそれらしき気配は感じられない。それにディーノ本人が“優衣にはマフィアの事は話してない”と言っていたのだから本当の事だろう。
その事を考えると、僕が必要以上にかかわり過ぎると彼女が危なくなってしまう事だろう。
でも、お友達になりたいなあと悩み、数分後に書いた手紙の返事は"YES"だった。
先生の話も終わり、次の授業まで自由時間になると、早速姫川さんがやってきた。
「お返事ありがとう!!これからよろしくね、優くん!!」
『こちらこそよろしくお願いします、姫川さん』
「優衣でいいよ!それに敬語も止めてよ」
『分かりました優衣さん。それと、この敬語はもとから何で、治せないんです。気にしないでください』
「そっか。じゃあ、私他の皆にも挨拶してくるね!」
『はい、頑張ってきてください』
優衣はそのまま他の席にいるグループのもとに行った。
『(優衣さんって、京子とはまた違う雰囲気というか…京子が子犬なら、優衣さんはリスみたいな感じ?
二人とも小動物って感じですよね…ていうか、小動物って雲雀さんがいいそう)』
一人頭の中で考えていると、カレンの前に影がさした。
『?』
「おはよう優君!」
「はよ、月城」
『ああ、京子に黒川さんでしたか。おはようございます』
「そういえば、ツナ君達今日はいないね」
『そうなんですよね。登校中も見かけなかったですし…なにかあったのでしょうか?』
やはり二人もいないツナたちを心配していたのだろう。特に京子は友達をとても大事にする。
たとえばこの教室にいるたとえ面識のない生徒でも誰かが連絡もなく休むと、必ず人一倍心配する性格なのだ。
『今日帰ったら家に行ってみます』
「ありがとう優君。あ、話変わるけどさっき話してたのって姫川さん?」
『?そうですが…なにか?』
「私…その、お友達になりたくて。優君姫川さんと親しそうだから私の事紹介してくれないかな?」
モジモジしながら僕に対してお願いする京子。なんだか頭に子犬の耳が見えるのは気のせいか。
『それ位の事でしたらいいですよ。今日、一緒にお昼を食べようと誘ってみます。その時に紹介しますよ』
「そんなら私も頼むよ月城。私も興味があるんだよね」
『分かりました。授業の始まる前にでも誘っておきますから、安心して下さい』
「本当にありがとう!!」
『御礼を言われるまでもありませんよ』
そのあと少し雑談をしていたら先生が入ってきたので、その場で解散した。後ろの席に優衣さんが着いたのを確認し、今度は僕から手紙を渡す。
〔今日、よろしければ僕の友達と一緒にお昼を食べませんか?〕
しばらくして手紙が返ってきた。
〔良かった、私、まだあんまり仲良くなれた子がいなくて…お昼どうしようかと思ってたの!それで、そのお友達って?〕
授業のノートを取りながら、何気なく手紙を回す。今日、僕と優衣さんの隣の子が運良く休みで助かったぁ…
〔笹川京子って言う事、黒川花っていう人です。二人ともいい人なので、大丈夫ですよ〕
そこで授業は終わった。先生にばれる事も無く。
次の授業の用意をしていると、後ろから肩をたたかれた。
「あの、さっきの手紙の事なんだけど…本当にいいの?私が一緒に行っちゃって」
『むしろ大歓迎ですよ。もとはといえば、あの二人が誘って下さいと言ってきたんです』
「それなら、いいかな?」
『分かりました。そう伝えておきますね』
優衣さんの説得に成功したという意味を込めて、心配そうな目で見ていた京子に向けて小さくピースサインを送る。
それで二人は感づいてくれたようで、嬉しそうに笑った。