リングの光T 本

□標的16
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「ツナ、行ったぞ―――!!」



只今は体育の授業。今は2チームに分かれてサッカーの試合をしている。ツナはといえば……



「オ…オーライ…ぶっ」



いつもの様にダメツナっぷりを発揮中だ。皆が小声でいろいろ言う中、心配しているのは獄寺とカレンの二人だけ。



「だ、大丈夫だから!!ボール拾ってくるから他のボールで続けてて…!」



ツナはそう告げると、ボールを追いかけ校舎裏へとかけていった。



『(そういえば、もうそろそろフゥ太が来るころでしょうか)』



ボールを蹴りながら考えていると、敵チームであるクラスメイトがやってきた。彼はサッカー部の中でも期待されている人材の一人だ。



「ボールは貰ってぐぜぇ!!」


『おっと』



スライディングをしてきた彼を、ボールを宙に蹴り、自分も飛ぶことでよける。そのまま敵のサッカーゴールの中に蹴りいれる。



『はい、ゴールです』


「なっ…」



いとも簡単にゴールを決める。ちなみにボールを守っていた彼もサッカー部。ボールを見つめたまま全く動かない。



『どうかしましたか?』


「いや……なんにも…」



その後もカレンと獄寺、山本が点を決め続け(三人は同じチームです)勝った。
しかし、なぜかその後もツナが戻ってくる事はなく、結局帰ってきたのは授業が終わった後だった。
それに帰ってきても何だか様子がおかしく、終いには



「ボールって、うかないよなぁ?」



などという始末だ。放課後になると、前々から予定していた勉強会を行うため、カレンはツナについて行った。



「ただいまー」


『おじゃまします』



ツナの家に上がると、前からリボーンがやってきた。顔には芋虫が着いている。



「冬の子分達出たーー!!」


「最も幼虫じゃ情報収集できねーけどな」


「なら戻してこいよ!!」


『ていうか、言葉とか理解できるんですか?』



その質問にリボーンは答えない。



「そんなことより客が来てるぞ」


「客?」



客が誰なのかという事をリボーンが教えてくれないため、ひとまずツナの部屋へと向かった。



「おかえりツナ兄それに優兄」



僕の事を“優”と呼んだ事を不思議に思い、肩に乗ったリボーンに小声で話しかける。



『何で彼…フゥ太が僕の男装名を知ってるんです?』


「オレが話しておいた」


『なっ!あれほど僕の内情を口外するなといったのに』


「教えたのは名前の事と、ファミリーの事だけだ。安心しろ」


『それでフゥ太は何と?』


「ちゃんと理解してくれたぞ。奥の方まで追求してはこなかった」


『そうですか』



フゥ太を見ると、僕に分かる程度で笑った。その子を見た途端ツナが大声を出す。



「面白そうだからオレがあげたんだぞ」


「この子、ボールを浮かせて、そのあと大人達に追われていったんだ」


「あれはマフィアだよ」


「なっ、マフィアだって―――!!?」


『もう驚く事じゃないでしょう?リボーンが来ている時点でツナが関わるのは当然のことです』


「そんなぁ…」



落ち込んでいるツナにフゥ太は両手を合わせて頼み込む。ここに来たのは自分を狙うマフィアから守ってほしいかららしい。

…というか、何気なくカレンがマフィアに関係ありますよ?てきな発言をしたのにツナは気付かない。



「オレがマフィアなんて相手にできるわけないだろ!!!」


「それは分かってます」



フゥ太は上着からドデカイ本を取り出す。



「総合的な戦闘力も知力もマフィアのボス872人中872位で最下位だもんね。でも、頼まれたら断れないランキングでは1位!」


「何それ―――!!」


「こいつはランキングを作らせたら右に出るものがいないというランキングフゥ太って言う情報屋だ。フゥ太が作るランキングの的中率は100%だからな。
それだけにマフィアの戦略データの価値が高く、最も多くのランキングを収録しているフゥ太のランキングブックは手に入れれば世界をとれるとも言われてるんだ」


「ってことは、今回マフィアに狙われてるのも」


「はい…この本です………ツナ兄、優兄助けて…」


「ムッムリムリムリ―――!!」


『僕はいいんですけどね』


「なっ…大体オレが断るの苦手だから来るなんて間違ってるよ!!」


「それだけじゃないよ。ツナ兄と優兄は野望のないボスランキングでも1位だからランキングブックをとったりしなくて安心だろ?」


「(オレかっこわる―――!!)」



今度はフゥ太が“ボス”ランキングと言ったのに、パニックに陥っているツナはまたもや気付かない。



「優の言うとおり助けてやればいいだろ?お前は命からがら助けを求めに来た小動物をまた肉食獣のいる草原に追い払うのか?」


「なっ」



フゥ太を見れば、目をうるませて上目づかいでみあげてくる。確かにそう言われれば小動物に見えなくもない。思わずカレンは抱きあげる。



『いいじゃないですか。僕たちにできる事です。危ない目にあいそうになったら僕が助けますよ』


「わ………分かったよ…」


「わーい!」



カレンの腕の中で嬉しそうに笑った。
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