リングの光T 本

□標的17
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「やったわ!」



とある休日の朝。買い物から帰ってきた奈々が急ぎ足で遅い朝食を食べていたツナのもとに来た。
かなり前に出したお茶のペットボトルの抽選プレゼントの一等、船に乗っていく南の島に当たったらしい。

最初は船酔いするからと断っていたツナだったが、奈々から話を聞くうちに、どんどんと気になってゆき…



「どーしてもって言うんなら、行ってやってもいいよ…」


「それが2名様なのよねー母さん、ランボ君とイーピンちゃん達を置いて家を空けられないでしょ?」



困ったように言う奈々のもとに、ビアンキとリボーンがやってくる。



「それなら心配ないぞ」


「チビ達の面倒なら私が見るわ。安心して」


「たまには親子水入らずで楽しんで来い」



いつものリボーンとは思えないような発言に多少驚いたが、ここは素直に甘えておく事としよう。
しかしツナはリボーンが怪しく笑っていた事に気づかなかった。










〜カレン宅〜



『………何のようなんですか?』


「だからさっきも言ったろ?マフィアランドに来い」


『行きません。第一そんな暇ないでしょう?』


「いいから来い。命令だ」



銃を突き付け、脅すリボーン。カレンはため息をつき、ソファに深く座りこむ。あそこに行ったら、あの人と会わなきゃならなくなるじゃないですか
…リボーンに隠し通すことだって苦労してるのに、それが二人になったら…

思いっきりばれそうじゃないですか。僕が“アルコバレーノ”だって…



『…何で行かなきゃいけないんですか』


「ツナとママンがが行くからだぞ」


『行きませんよ。どうせリボーンが行くんでしょう?』


「そうだが、お前もマフィアだろ?しかも、あのドゥラドだろうが。行かなくてどうする」


『ああもう!行けばいいんでしょう!?行けば!!』


「分かればいい。それと来るんだったら、何か身分を証明するもんを持ってけよ」


『分かってますよっ!』



ニヒルに笑うリボーンに、カレンは白旗を上げた。










〜出発当日〜



「それじゃあ行ってくるわね」


「達者でな」



船に乗り込む人の中に、カレンがいるのを確認したリボーンは、そのままとある手続きをしにその場から立ち去った。



「何コレ!?本当にここ船の中?」


「やっぱり凄いわ」



ツナと奈々の二人は初めて乗る豪華客船に驚きっぱなしだった。そこはまるで船の中とは思えないほどの豪華さだ。



「さっそくご飯食べに行きましょ」


「オッケー」



食堂につけば、そこもとても豪華だった。まるで一流レストランのようだ。



「沢田です」


「沢田様ですか…?ん…先ほど召し上がられたはずですけど」



ウェイターが指差す場所を見れば、散らかったテーブル。そこに置かれている名札には、確かに沢田と書いてある。



「ああ!」



テーブルの下には、なぜかこの場にいるはずのないランボが食い倒れていた。お腹がものすごく膨らんでいることから、ここで食べた物の一人だろう。



「アホ牛ったらママンがいないって言ったら泣き出してさ」


「ってか何であんたもいるんだ!!」


「もう帰ってこないって脅したら、この子まで泣きだしてさんざんよ」



傍にいるいーピンを指差し、ため息を吐くビアンキ。てか、大体はあんたのせいだろ!と心の中で思うツナ。



「ってことはまさかあいつも」



きょろきょろとあたりを見渡すツナ。探していた人物は案外近くにいた。



「ルネッサンス」


「服着ろ!!」



裸姿のリボーン。レストラン内に点々とある彫刻のマネだろう。



「つーかどっから入ってきたんだよ!」


「正面からだぞ。正々堂々ガードマンを倒してな」



おかしな単語が聴こえてくる。休暇が休暇じゃなくなってきている。レストランの入り口には、ここの船員たちらしきものが不法侵入者を探している。



「ここら辺に不審な子供を見ませんでしたか?」


「いっいいえ」



船員が去ると、テーブルクロスをめくる。そこにはリボーン達が縮こまって隠れていた。先ほど聞かれた不審な子供とはきっとリボーンの事だろう。



「やべーな。見つかったらツナとママンもろとも途中の島で降ろされちまうぞ」


「心配しないで。うまくやるわ。私達も快適なバカンスを楽しみたいもの」


「まさか島に着くまで隠れ通すつもりか?」


「何言ってんだ?俺達はヒットマンだ。ガードマンを消す」



一同声をそろえている。こういうときだけは俊敏で、団結力が出てくる厄介な人たちだ。すぐにテーブルクロスの下から飛び出て、四方八方に飛び出していく。

こんなトコで殺人事件でも起こされたら、それこそ大問題だ。そしてただ一人、奈々だけが微笑ましそうにその様子を見守っていた。
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