リングの光T 本

□標的18
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今日は並盛神社の夏祭り。もちろん、カレンも来ていた。



『本当に、にぎやかな祭りですね…イタリアではこんなのめったにないですし…』



屋台を見ながら歩いていると、前方から走ってきた人とぶつかった。



『…っ!すみません…大丈夫ですか?』


「ちゃんと前見て歩けボケ!!」



文句を言ってきた人が見当たらず、下を見れば、牛がらの服を着た赤ん坊がいた。



『本当にすみませんでしたね。怪我、してませんか?』


「ランボさんは強いから怪我なんてしないんだもんね!」


『そうですか』



ランボを抱き上げ、道の端による。きっともうすぐこの子を探してつんが来るだろう。
案の状、ツナはすぐに来た。



「すみません、ランボが迷惑かけませんでしたかっ…て、優!?」


『こんばんは、ツナ』



傍にはリボーンとイーピンもいる。



「お前も来てたんだな」


『はい。お祭りというものがどういうものかに興味がわきまして』


「お祭り、来るの初めてなの?」


『まぁ、イタリアにいたころはお祭りには行けませんでしたから』



ツナと一緒に歩いていくと、チョコバナナを売る人の声が聴こえてきた。
かなりこだわりの店のようで、外国のチョコを塗っているらしい。



『チョコバナナ、買っていきません?』


「いいよ、行こうか」



近づいていくにつれて、何だか聞いた事のある声が聴こえてくる。



「獄寺君と山本!!?」



店番をしていたのは獄寺と山本だった。相変わらず獄寺はタバコを咥えている。
気難しそうな顔をしていたのだが、ツナを見た途端表情が一変する。



「じゅっ10代目〜!!」


「よぉツナ」


『確か、公民館の壁の修理費を稼いでるんですよね?』


「そうだが、何で知ってんだ?」


『いろいろとありましてね』



ドゥラドの情報網と、過去の記憶のせいだなんて言えない。苦笑いで返せば、獄寺も怪訝そうな顔をしてはいたが、納得してくれたようだ。



「目標は売上バナナ500本です。がんばりましょう、10代目!!」


「え……オレも!!?」


「あちゃー、請求書はツナあてになってるぞ」


「どうせお前がしたんだろ!!」



リボーンの手元を見れば、確かにツナあてになっている。この歳で借金とは…
下準備を手伝っていると、周りの人が騒がしくなってきた。



「君達もショバ代用意しとけよ」


「ショバ代!?」


「ここらを取り締まってる連中に金を払うのが並盛の伝統らしいっす。ここはスジを通して払うつもりっす」



裏社会がのぞいているような気がしなくもない。そして、店の前で立ち止まったのは…



『雲雀さんじゃないですか』


「何だ子狐、来てたのかい」


『はい、まぁ』



ショバ代をとっているのは並中風紀委員らしい。こんな事があっていいのやら…



『で、5万でしたっけ』


「…それ、君が戦ってくれれば払わなくてもいいよ、子狐」


『僕がですか?』



後ろに視線を向ければ、獄寺が近づいてきて耳打ちされる。



「戦え。5万なんか払ったら修理費が無くなっちまう」


『…でしょうね。分かりました、いいですよ。その代り、今まで取って来たショバ代、返してくることが条件です』


「……考えておくよ」



雲雀に了承の返事を言えば、さっそくトンファーを構えてきた。



『いや、場所を変えましょうよ』


「そうだね。ここじゃできない。草壁、後は頼んだよ」


「はっ」



直角にお辞儀をする風紀委員を見ると、そのまま森の奥に雲雀は歩いて行った。



「ごめんね、優…何か犠牲みたいになっちゃって」


『別にかまいませんよ。あっそうでした、山本、ちょっといいですか?』



手招きをして山本を呼び寄せる。皆と少し離れたところに呼び出すと、小さな声で告げた。



『今日、優衣さんが来ているらしいですよ』



呟けば赤く染まる山本の頬。ニヤリと笑うと、その場を後にし、雲雀の後を追った。
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