リングの光T 本

□標的21
1ページ/4ページ






「とりあえず飯でも食うか」



学校を早退(ていうか抜けだしてきた)獄寺は並盛商店街に来ていた。何か買おうとポケットに手を突っ込むも、入っていたのは……



「ゲッ、65円……!」



少ない小銭。100円にも達していない。



「並盛中学2−A出席番号8番………獄寺隼人」



いきなり自身の個人情報が聴こえてきた。正面を見ると、帽子を深くかぶり、頬にバーコードが描かれている男がいた。



「早く済まそう。汗……かきたくないんだ」



静かに言い放つ男からは、異様なオーラが漂っていた。










〜並盛中〜



「ええっ早退したー!?」



ツナは並中の職員室に来ていた。教室に行っても彼…“獄寺”の姿が見えなかったためだ。
早退したと聞くと、ツナは教室に戻って授業を受けるでもなく、昇降口に向かって走って行った。



「ちょっコラ沢田!!来て早々帰るな――!」



大声で叫ぶ担任の声なんて耳にも入らない。ツナはただ一心不乱に走り続けた。



「(獄寺君!!3位は君なんだ!!)」



獄寺は、あのランキングの3位のところに名前が書かれていた。










〜並盛商店街〜



「んだテメーは」


「黒曜中2年、柿本千種。お前を壊しに来た」



まさか自分が狙われているとは知らず、獄寺は自分を殺しに来たヒットマン…柿本千種と対峙していた。



「(ったく何でこう毎日他校の不良にからまれんだかな。けっこー地味に生きてんのに…)」



どこが地味に生きているんだか…。



「わーった、きやがれ。売られたケンカは買う主義だ」



そこへ騒ぎを聞きつけたのか、野次馬が二人来た。



「………見世物じゃないんで」



千種が腕をふるった途端、二人の男の額に無数の針が刺さる。額から血を噴き出して倒れる男。



「なっ、テ…テメー何しやがった!」


「急ぐよ、めんどい」



獄寺の質問に答えるわけでもなく、ポケットに手を突っ込む。柄にもなく獄寺は怯えた。
千種の武器であるヨーヨーから針が飛び出る。それが獄寺の頬を掠った。



「ちっ」



このまま正面から相手をしていてもやられるだけだ。ここはいったん距離を置くのが一番いい。
そう考えた獄寺は後ろを向いて走りだす。気付かれない様に、ボムを放つのを忘れずに。



「(ヨーヨー?)」



初めて目視した武器はただのヨーヨー。たった2個のヨーヨーでボムの火を消すスゴ技をしてみせる。
そのヨーヨーが獄寺が隠れているところで止まった。



「!!!」



さすがスモーキンボムと言われただけあって、ヘマはしない。ボムを使って放たれた針を撃ち落とす。



「くっ」



目の前の男がプロの殺し屋なのは、すぐに分かった。
そして、獄寺と千種が戦っているのを一人の少女が眺めていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ