リングの光T 本
□標的21
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「とりあえず飯でも食うか」
学校を早退(ていうか抜けだしてきた)獄寺は並盛商店街に来ていた。何か買おうとポケットに手を突っ込むも、入っていたのは……
「ゲッ、65円……!」
少ない小銭。100円にも達していない。
「並盛中学2−A出席番号8番………獄寺隼人」
いきなり自身の個人情報が聴こえてきた。正面を見ると、帽子を深くかぶり、頬にバーコードが描かれている男がいた。
「早く済まそう。汗……かきたくないんだ」
静かに言い放つ男からは、異様なオーラが漂っていた。
〜並盛中〜
「ええっ早退したー!?」
ツナは並中の職員室に来ていた。教室に行っても彼…“獄寺”の姿が見えなかったためだ。
早退したと聞くと、ツナは教室に戻って授業を受けるでもなく、昇降口に向かって走って行った。
「ちょっコラ沢田!!来て早々帰るな――!」
大声で叫ぶ担任の声なんて耳にも入らない。ツナはただ一心不乱に走り続けた。
「(獄寺君!!3位は君なんだ!!)」
獄寺は、あのランキングの3位のところに名前が書かれていた。
〜並盛商店街〜
「んだテメーは」
「黒曜中2年、柿本千種。お前を壊しに来た」
まさか自分が狙われているとは知らず、獄寺は自分を殺しに来たヒットマン…柿本千種と対峙していた。
「(ったく何でこう毎日他校の不良にからまれんだかな。けっこー地味に生きてんのに…)」
どこが地味に生きているんだか…。
「わーった、きやがれ。売られたケンカは買う主義だ」
そこへ騒ぎを聞きつけたのか、野次馬が二人来た。
「………見世物じゃないんで」
千種が腕をふるった途端、二人の男の額に無数の針が刺さる。額から血を噴き出して倒れる男。
「なっ、テ…テメー何しやがった!」
「急ぐよ、めんどい」
獄寺の質問に答えるわけでもなく、ポケットに手を突っ込む。柄にもなく獄寺は怯えた。
千種の武器であるヨーヨーから針が飛び出る。それが獄寺の頬を掠った。
「ちっ」
このまま正面から相手をしていてもやられるだけだ。ここはいったん距離を置くのが一番いい。
そう考えた獄寺は後ろを向いて走りだす。気付かれない様に、ボムを放つのを忘れずに。
「(ヨーヨー?)」
初めて目視した武器はただのヨーヨー。たった2個のヨーヨーでボムの火を消すスゴ技をしてみせる。
そのヨーヨーが獄寺が隠れているところで止まった。
「!!!」
さすがスモーキンボムと言われただけあって、ヘマはしない。ボムを使って放たれた針を撃ち落とす。
「くっ」
目の前の男がプロの殺し屋なのは、すぐに分かった。
そして、獄寺と千種が戦っているのを一人の少女が眺めていた。