リングの光T 本

□標的25
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「いきますよ」



その声と共に三叉槍の柄の部分を地面に軽く置く。その部分から地面に亀裂が走り、瓦礫と化した床が浮く。



「そ、そんなぁ!!建物が!!ビアンキ、リボーン!!わわっ、うわぁああっ!」



バキッ



「ブ!!いで――――ッ」



突然頬に痛みが走る。原因はリボーン。痛さに呻き辺りを見回すと、床は普通。先ほどの面影すらない。



『さっきのは…幻覚』


「そうだぞ」


「げ…幻覚!?」


「クフフフ、やりますね。見破るとはさすが。そう、第一の道地獄道は、永遠の悪夢により精神を破壊する能力」



骸の右目の数字は一。



「カレン、幻龍は捕まえてねーのか?」


『捕まえ、ましたよ…』


「ならなんで力を使わねーんだ」


『この状態であまり使うと、僕の身体が危うい。力を制御できず、暴走する可能性が高い』



何となく左目を抑える。骸と同等に戦うには必要な力だが、自分が飲まれてしまっては意味がない。



「クフフフ、アルコバレーノはボンゴレのお目付け役ってわけですね」


「ちげーぞ。オレはツナの家庭教師だ」


「クフフ、それはユニークですね。しかし先生は攻撃してこないのですか?僕は3人を相手にしてもかまいませんよ」


「掟だからだ」


「掟ときましたか。実に正統なマフィアらしい答えですね」


「それにオレがやるまでもなく、お前はオレの生徒が倒すからな」



その生徒の中に僕も入っているのか、疑問だ。



「ほう、それは美しい信頼関係だ。面白い、いいでしょう」



骸の目が一から三に代わる。その途端、天井から落ちてくる大量の蛇。



「あ、この蛇も幻覚なんじゃ」



蛇に手を伸ばすツナ。蛇がツナに指に噛みつく直前にカレンがいまだ出している三叉槍で蛇を突き刺す。



『これは毒蛇。死にたいの?』


「幻覚じゃないの!?」


「第三の道畜生道の能力は人を死に至らしめる生物の召喚。さあ、生徒の命の危機ですよ。いいんですか?」



流石に数が多すぎる。ついでにカレンは大怪我を負っている身だ。そう身軽に動けない。
その時、骸に向かって何かが飛んできた。弾き返されたそれは……トンファー。



「10代目…!伏せて下さい!」


「え?」


『いいから伏せて、ツナ!』



飛んできたダイナマイトを見て誰なのかが分かった。言葉に従い、伏せると後ろで大きな爆発。



「ヒバリさん!!獄寺君!!」



部屋の入口には雲雀に肩を支えられている獄寺が居た。二人ともかなりの怪我を負っている。



「わかったか骸。オレはツナだけを育ててるわけじゃねーんだぞ」


『……リボーンに育てられた覚えない』



爆風で飛ばされた三叉槍を掴み、立ち上がる。向こうでは雲雀さんに獄寺が捨てられていた。



「これはこれは、外野がゾロゾロと。千種は何をしてるんですかねぇ…」


「へへ、メガネヤローならアニマルヤローと下の階で、仲良く伸びてるぜ」


「なるほど」



やれやれといった感じで溜息を吐く骸。雲雀さんはいつの間にかその骸の前でトンファーを構えて戦闘態勢に入っていた。



「覚悟はいいかい?」


「これはこれは、怖いですねぇ。だが今は、僕とボンゴレの邪魔をしないでください。
第一君は立っているのもやっとのはずだ。骨を何本も折りましたからねぇ」


「遺言はそれだけかい?」



……雲雀さんの中では骸は死亡決定のようだ。



「クフフフフ、仕方ない。君から片付けましょう」



目が四に変わり、死ぬ気の炎が漏れる。



「一瞬で終わりますよ」



そうは言ったものの、中々決着はつかない。もはや攻撃の残像ぐらいしか見えなくなってきた。



「君の一瞬って、いつまで?」



一度距離を置く両者。



「こいつらを侮るなよ骸。お前が思っているよりずっと、伸び盛りだぞ」


「なるほど、そのようですね。彼が怪我をしていなければ勝負は分からなかったかもしれない」



雲雀さんの肩から血が噴き出す。それをただ見ているだけの自分が嫌になって、手を握りしめる。



「時間の無駄です。手っ取り早くすませましょう」



目の数字が変わり、雲雀さんの頭上に桜が咲き誇る。



「クフフ、さぁ、またひざまずいてもらいましょう」



倒れ込むかのように見えた。が、雲雀は立て直し、骸の腹にトンファーを叩きこむ。



「おや?」


「へへ、甘かったな。シャマルからこいつを預かってきたのさ。サクラクラ病の処方箋だ」


「それじゃあ!」



雲雀の攻撃を受け、血を吐いて倒れる骸。三叉槍も骸の手を離れ、吹っ飛んだ。



「ついにやったな」


「お……終わったんだ…これで家に帰れるんだ!!」


「しかし、お前見事に骸戦役に立たなかったな」


「ほっとけよ!」



言い合う二人を離れ、骸を視界の端にとらえながら三叉槍を支えに雲雀さんに近づく。



『大丈夫、ですか…?』


「大丈夫に見えるかい?それにそれは君にも言える事だろ、子…狐」



倒れ込む雲雀。力を使いきったのだろう。もう雲雀には聞こえないだろうが、一応言っておく。



『僕は…平気「なワケないだろ!?」……ツナ』



後ろから肩を掴んできたのはツナ。あの、あまり強く掴まれると……腹に、響くんだけど…



「いい?カレンはしばらく動いちゃダメ」


『いや、それは無理だと「いい?」…ハイ…』



掴まれていた方を自分の方に引き寄せたツナ。力の入らないカレンは必然的にツナに寄りかかる体制になる。



『つ、ツナ…この体制は一体…』


「ん?カレンの傷に響かない様にするためだよ」



……どこぞの夢小説だ!!
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