リングの光T 本

□標的26
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「第二の道、餓鬼道は――……技を奪い取る能力」



獄寺がダイナマイトを投げる。



「ひいいいい!!!」



爆風で吹き飛ばされるツナ。



「乗っ取った上に、前世に刻まれたという能力も使えるのか」


「クフフフ」



今度は目が六に変わり、床から火柱が上がる。



「できれば君は無傷で手に入れたい」


「降伏してくれていいんですよ」


「それに……“彼女”も堕ちた」


「それって……カレン!!」



カレンが倒れているほうに顔を向けるが、火柱が邪魔して何も見えない。



「学習しねー奴だな。これは幻覚だぞ」


「おっと君は――……自分の心配をしたほうがいい」


「!」



飛び上がったリボーンに向かって獄寺(in骸)が放ったダイナマイトが襲う。



「リ…リボーン!!!」


「こんなものではないはずだ、アルコバレーノ」



爆煙の中から飛び出してくるリボーン。そのリボーンに向かって犬が三叉槍を突き刺す。



「見つけましたよ」


「ああっ!!」



しかし、三叉槍をよく見ると、そこに刺さっているのは帽子だけ。その帽子も一瞬にして消えた。



「久々に感じる実践の空気だな」


「リボーン…!」


「オレは手ェ出せねーんだ。ツナ、早くなんとかしやがれ」



千種の針を避けながら軽々しく言い放つ。内容はツナにとって重い。



「無茶言うなよ!!!オレのなんとか出来るレベル超えてるよ!!」


「オレの教え子なら超えられるはずだぞ」


「そんなめちゃくちゃな理屈ってあるかよ!?」


「クフフ、焦っているんですよ先生は。生徒の絶体絶命の危機に…支離滅裂になっている」



ビアンキがポイズンクッキングを叩き付ける。リボーンは避けたが、ポイズンクッキングがついた床は溶けた。



「嘘じゃねーぞ。お前の兄貴分ディーノも超えてきた道だぞ」



ディーノがオレの生徒だった時も、絶体絶命のピンチの時があってな―――……
あいつはそれを乗り越えた時“へなちょこディーノ”から“跳ね馬ディーノ”になったんだ



「なった…って、意味わかんねーよ!だいたいオレはディーノさんとは「上だぞ」うぎゃ!」



爆風がツナを襲う。その爆風の向こう側に、一人の人影。



「さあ、おしゃべりはこれぐらいにして終りにしましょう」


「死ぬ気の炎!!」



目に死ぬ気の炎をともして千種が駆けてくる。が…



ガクッ



走っている途中で倒れこむ。



「なあに、よくあることです」



犬の姿の骸が千種が落とした三叉槍を拾う。



「いくら乗っ取って全身を支配したといっても、肉体が壊れてしまっていては動きませんからねぇ」


「……それって…怪我で動かない体を無理矢理に動かしてるってこと……?」


「それでヒバリには憑依しなかったんだな」


「クフフフ、千種はもう少し…いけそうですね」


「ああ…っムリヤリ起こしたら…ケガが…!」



フラフラと揺れ、血を流しながらも立つ千種。まるで痛みを感じていないような表情だ。



「クフフフ、平気ですよ。僕は痛みを、感じませんからね」


「な…!何言ってんの!!!仲間の体なんだろ!?」


「違いますよ。憑依したら僕の体です。壊れようが息絶えようが僕の勝手だ」


「そんなの…おかしいよ」


「他人の心配をしているヒマがあるんですか?」



奥からやってきたのはビアンキと獄寺。ビアンキはお腹から、獄寺は胸から血を流している。



「頼む!!やめてくれ!!このままじゃ死んじゃうよ!!」


「クフフ、思い出しました。君はバーズとの戦いでガールフレンドのために自分にナイフを突き立てようとしたんですね。
―――……それでいきましょう。君はその甘さゆえ、僕に乗っ取られる」



カツ、カツ、カツ…



聞こえてくる足音。暗闇に映える金色の髪。色の違う双眼。



「いいですか?君の仲間をこれ以上傷つけられたくなければ」


「逃げずにおとなしく契約してください」


『逃げるのならば、お仲間が一人ずつ……死にますよ』



カレンの首元に突きつけられる三叉槍の切っ先。それは皮を突き破り、血が流れ出る。



「やめろぉおおおお!」



その瞬間、一瞬ではあったがツナの雰囲気が変わった。骸はそれに押され、三叉槍を落してしまった。



『(先ほどのは…いったい)』


「(何だ?さっきオレは何を…)」


『(まあいい。今の彼は普通だ)どのみち君のような人間はこの世界では生き残れない。
ボンゴレ10代目には不適切です。さあ、体を明け渡してもらいましょう』



カレンは、その顔には似合わない笑みを浮かべた。
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