リングの光T 本
□標的27
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『クフフ…君にこの体を傷つけられますかね…?』
「くっ…」
先程より意識を保っていられるようになったため、二人の会話が聞こえるし、状況も見える。
目の前には獄寺とビアンキが倒れている。
『(ツナ、なんで僕だけ…神経をマヒさせてくれればこっちもやりやすいのに)』
相変わらずお腹の傷からは血が垂れ流しにされている。このまま失血死させるつもりか!
『(早く押さえないとな…)』
意識を集中させて、骸の精神を抑え込んだ。途端、カレン(in骸)が顔を抑え込んで片膝をついた。
『なっ!まだこんな力が…!くそ、少し見縊っていましたね…』
「…?」
「カレンが持ち直し始めたんだな。精神力で骸の精神を追い出そうとしてるんだ」
中々骸もしぶとく、そう簡単に大人しくしてくれない。
(さっさと僕の体から出て行け!)
『く……っ!……………』
(お、収まった…創龍、今だ!)
骸の精神を抑え込むことに成功し、創龍を呼ぶ。体の奥底から声が聞こえてきた。
―外に出るのは、久しぶりだ…―
「誰だ!!」
―お前が次期ボンゴレ…]世か?―
「…なぜ知っている。お前は何者だ」
どうやら創龍の声はツナとリボーンにも聞こえているらしい。
ツナがボンゴレだと知っていることに警戒するリボーン。
創龍はククッと笑うと、続けた。空中には、創龍の体が現れ始めていた。
―俺は創龍。ドゥラドに伝わる“天地”の力を守護する獣―
「ドゥラド…カレンのファミリーか」
「カレン…本当に…」
―今はカレンの中に眠っている。今回は俺の主が呼んだためここにいる―
「初代以外扱えなかったという力を…コイツが?」
―そうだ―
「…漸く謎が解けたぞ。あのリングが眠りから覚めたのは、こーういうことだったのか」
―今、あのリングはカレンが持っている―
創龍の形がはっきりとし、カレンの真上に浮いた。その姿は神々しく、見入ってしまう。
―俺は俺の仕事をさせてもらう―
そう言うとカレンの体にともる白い炎。量は少ないものの、澄んだ綺麗な炎だ。
「その炎も」
―ああ、そうだ。この炎は本来、この世には存在しない―
「それはどーいう意味だ?」
―おっと、こっから先は、コイツが自ら話すまで待っていろ。俺が話していいことじゃない。ただ一つだけ言っておく―
カレンの体に灯っていた炎が消え、創龍の形がぼやけてきた。
―コイツは、心に大きな闇を持っている。それを取り除けるのは…ボンゴレ、お前だけだ―
「俺、が?」
―お前がどうするかによって、この世の未来は変わる。選択によってはこの世は破滅。終焉に進む―
「破滅…終焉…?」
「この世の終わりってことだ」
―それほどの力をコイツは持っている。ボンゴレ、よく考えて行動することだ―
その言葉を最後に、創龍はきえた。同時にカレンの体が前方に傾く。
「…!」
寸でのところでツナが支え、床にぶつかることはなかった。
「(破滅に終焉…カレンはいったい何を隠しているんだ)」
リボーンはカレンを見ながらただ、先程創龍に言われたことについて考えていた。
「(全てが終わった後に、聞いてみるか)」
ひと先ずその考えで落ち着いた。
『つ……な…?』
「カレン!」
『創龍は…白くて、大きな龍が、来た?』
「ああ…」
『そ、か…』
目が覚めたカレンは一度使っていた幻龍の力をしまった。そのままツナの肩を借りて起き上る。
『…骸、お前まだいるんだろ…出てこい』
「クフフ…君の体を乗っ取り損ねたのは残念でしたよ」
『僕は助かったけどね』
ツナの肩から手を離し、骸の前に立つ。
『お前は僕の仲間を傷つけすぎた』
「それがどうしましたか?僕にはまだ君を乗っ取る方法がある」
『第五の道、人間道で?』
「そう。僕が持つ中で一番大きな力。これで君を痛めつけて乗っ取りますよ」
『そー簡単には、いかないよ』
頭で考えれば、前のように唱えなくとも手に考えていたソレが出来上がる。
「…!それは」
「前と比べて格段に威力が大きくなってやがる。一体何があった」
『僕だってただやられっぱなしな訳じゃない』
炎の剣を構え、骸を睨んだ。