リングの光T 本
□標的30
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カレンが日本に着き、数日たったころ、ツナ達は京子達とともにデパートに来ていた。
補修をさぼってまで来たが、時間の半分はランボの暴走によって消え去った。
今は疲れをとるために休憩中である。
「私、ツナくん達が黒曜から帰ってきたとき、ホッとしたんだ」
ツナにジュースを渡し、隣に座る京子。
「ツナくんはいつものツナくんで、なんかホッとしちゃった……優くんは消えちゃったけど」
「あ……」
そう、京子達はまだ知らない。優とは存在しない人物だということを。
「あの、さ…優はね…その…」
「……何の音だろ?」
ツナが大事なことを言いかけた時、突然近くの建物が爆発した。
「な…何!?」
そして、ツナに向かって飛んでくる影。
「ぎゃああっ」
影…人間は、ツナと見事にぶつかった。
「す…すみませ…っおぬし……!!」
「いててて…21世紀に…おぬし…?」
落ちてきた少年は、現代に似合わない話し方をしていた。
「う"お"ぉい!なんだぁ?外野がぞろぞろとぉ。邪魔するカスはたたっ斬るぞぉ!」
「ひいっ、何なのあの人〜!?すんげーヤバいよ!!」
爆発した建物の上に立っている、銀髪ロン毛の男。左手についている刀が日の光を浴びて鈍く光る。女子供はそれに恐怖する。
「女子供は避難するぞ」
「リボーン君………!」
煙の中から現れたリボーンの誘導によって、京子達はその場から離れていく。一安心だ。
しかし、それにツナが気付く訳もない。
「すみません沢田殿。つけられてしまいました」
「…あ!!頭にあるのって…」
上から落ちてきた少年の頭にあったのは、ツナが額に灯すそれと酷似した炎。しかし色が違う。
ツナがオレンジ色の炎を灯すが、少年は透き通った水色の炎を灯していた。
「せっかく会えたのに……こんな危険な状態に巻きこんでしまうとは…」
「あ…あの…誰でしたっけ!?」
記憶が正しければ、こんな炎を灯し、変なしゃべり方の少年と会った覚えはない。
「来てください!」
そんな彼はいきなり手を掴み、走り出した。手を掴まれているため、ツナも走るしかない。
「ちょっ、何なの!?」
「安全な場所へ!!おぬしに伝えたいことが!!」
質問の答えになっていない。しかも横にあのヤバそうな銀髪ロン毛の青年が落ちてきた。
「もう鬼ごっこは終わりにしようや」
「ひい!でた―――ッ!!」
ツナがあわあわしているうちに、銀髪青年がこっちに突っ込んできた。
それをすかさず炎を灯す少年が三角定規のような武器でガードする。
「がっ」
しかし、防げたのもほんの一瞬で、銀髪青年の刀の一撃をくらってしまう。
その勢いを保ったまま、少年は近くの店のショーウィンドウに突っ込んだ。
「うお"ぉい、お前、このガキとどーゆー関係だぁ?ゲロっちまわねーとお前を斬るぜ」
銀髪青年の言葉にウソはないようで、刀をちらつかせながら、ツナに向かって迫ってくる。
「ひいっ、そんなぁッ!えと…あの…!!!」
ドガガガッ
突然辺りが爆発した。しかし、この爆発の仕方には見覚えがあった。
「その方に手をあげてみろ。ただじゃおかねぇぞ」
「ま、そんなとこだ。相手になるぜ」
煙の中から現れたのは、獄寺と山本。二人とも手にダイナマイトと山本のバットを持っている。
「てめーらもカンケーあんのか。よくわかんねーが、一つだけ確かなことを教えてやんぜ。オレにたてつくと、死ぬぞぉ」
「その言葉、そのまま返すぜ」
「ありゃ剣だろ?オレから行くぜ」
銀髪青年の言葉には確かな自信がこもっていたが、それをものともしない二人。
「止めてください!おぬしらのかなう相手ではありません!」
少年が止めようとするも、山本には聞き入れられなかった。
「後悔してもおせぇぞぉ」
「行くぜっ」
二人の件が、鋭い音を立ててぶつかり合う。
「貴様の太刀筋、剣技を習得していないな」
「だったら何だよ」
「軽いぞぉ!!」
銀髪青年が剣を山本の剣に叩き付けた瞬間、その剣から何かが飛び出してきた。
「!!」
ドゴッ
「火薬!?」
「山本ぉ!!」
煙が晴れた地面には、傷だらけで倒れ伏す山本の姿があった。