リングの光T 本
□標的31
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「……そうか、カレンが帰って来たのか」
「帰って来た?」
「カレンは、正式なドゥラド10代目となるため、イタリアへ行っていたんだ」
ツナに本物のボンゴレリングの片われを渡し終えたディーノは、リボーンと病室に残り、カレンのことを話していた。
「まだ早すぎないか?」
「9代目…アイラスの容体が急変したんだそうだ」
もともと体の弱かった彼女。容体が急変したとなれば、早いうちのがいいという彼女の思いで、カレンは呼ばれた。
「カレンもいろいろと複雑な思いだろうな」
「そうだな。正式に10代目となったからには、狙われることも多くなるしな」
なんせ、あのドゥラドだからな…
呟いた声が、病室に響く。
「もっと歳のいった候補もいたんじゃないのか?」
「居たらしい。が、9代目の意思により、カレンに決まったそうだ」
「ファミリーの者達の反応は?」
「そこまでは知らないぞ。ドゥラドに関しては、まだ謎が多いからな」
「そうだな」
「それに、あいつはアレを渡されている」
「ああ、“天地のボンゴレリング”か?」
先程ツナに見せた箱の中には7つのリング。今言ったリングは“8つ目”のリングの名前。
「初代から今まで、誰もその姿を見たことがないという、幻のリング…」
「そのリングは、自ら主を選ぶ。アイツを選んだってことは、それなりの意味があるんだろうな」
「そうだな…」
そのまま二人は、黙ってしまった。
一方、ボンゴレリングという訳の分からない物を渡されそうになったツナは帰路についていた。
「あぶないあぶない。いくらディーノさんの言うことでも冗談じゃないよ!そんな危険な指輪…
だいたい、もーマフィアがらみの話はたくさんだっていうの!!」
愚痴りながら、家の敷地内に入る。すると、目についたとあるもの。
それは大量に干されたつなぎ類だった。まだ干しきれてないようで、籠に入った物も多くある。
「まさか!!」
とある考えに至ったツナは、大急ぎで家の中へと入り、リビングへと急ぐ。そこに居たのは…
「(このアホ面…父さんだ…!)」
周りには食べカスとビールの瓶や缶が散らばっている。大方食べてすぐ寝たのだろう。
「(ダメオヤジ帰って来た――!絶対、生活めちゃくちゃになる……!)」
大きなため息をつきながら、自分の部屋へと戻る。途中、いつ帰って来たのか、リボーンと擦れ違った。
「来たか、沢田家光」
リビングで盛大にイビキをかいて寝るツナの父親を見て、リボーンがそう呟く。
「おまえがこのタイミングでハーフボンゴレリングを息子に託すってことは…あっちでとんでもねぇことが起こってるんだな」