リングの光T 本
□標的31
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「ツナ――!!朝飯獲りに行かねーか!?」
突然部屋のドアが開いたと思ったら、入って来たのは昨日帰って来た父。手には釣竿と網を持っている。
…ちなみに、今の時刻は午前4時05分。近所迷惑もいいところだ。
「あの…学校あるし…やめとく…」
「わかったー」
それだけ言うと、彼は部屋から出て行った。
「(一体何がしたかったんだ…)」
「たかいたかーい!」
今度はその声で目が覚めた。相変わらずでかい声だ。
「(父さん…今度はランボと遊んでんのかよ…)」
眠気眼のまま、ふと窓を見る。
「なっ!?」
そこにはランボの姿。何度も上がったり降りたりを繰り返している。
…一応伝えておくが、ツナの部屋は“2階”だ。
どしーんっ
重そうな音とともに、聞こえてくるランボ特有の泣き声。
「そーだ、痛み止めの魔法の水をやろう!」
「!!」
まだ眠くて動かない体を無理やり起こし、1階へと駆け降りる。
「ランボに酒飲ますなって!!」
リビングの網戸を開け放つと、あげる寸前のところだった。
「うおーっス、ツナ〜〜!おまえ、父さんが帰ってきてからずっと寝てるんだもん。避けられてるのかと思ってブロークンハートだったぞぅ…」
「昨日一日中寝てたのはそっちだろ!」
思わずつっこむ。
「それより学校はどうだ?算数だっけ?あれ笑っちゃうだろ!?」
無理矢理会話を続けようとしているのが手に取るように分かる。というか誰が見ても分かる。
「べ……別に笑えないよ」
「そっかそっか。おぉ?何だツナ、色気づいてんな。それペンダントだろ?」
「は…?」
もしやと思い、下を剥いてみると、首にかかっていたのは昨日渡されかけたリング。
「んなあ!?こ…このリングって…!ボンゴレリングとかいうあの恐ろしい〜〜〜!?」
「何だツナ?青い顔して。何でも相談にのるぞ」
「それどころじゃないよ!」
「リボーン!」と呼びながら、先程駆け降りた階段を、今度は駆け上がる。
「お前だな!?このリング首にかけたの!!」
「オレじゃねーぞ」
「ウソつけ!お前以外いないだろ!?」
「あいつから何も聞いてねーのか?」
「あいつ……?と…とにかく、オレカンケーないから!巻き込まないでくれよ!」
あいつが誰だか気になるが、今はこの危険を回避したい。
「何言ってんだ?カンケー大アリだぞ」
「え?」
「ボンゴレリングは、次期ボンゴレボスの証だからな」
突然落とされたのは、かなり大きめの爆弾。
「それこそ冗談じゃないよ!」
「オレだってお前にそのリングはまだ早いと思うが、そうも言ってらんない緊急事態になっちまったんだ」
「緊急、事態…?」
「強大な力が手に入るボンゴレ正統後継者の証であるそのリングを、とんでもねー連中が狙いだしたからな」
それには思い当たる人物が居た。
「それって、もしかして昨日の…」
「ああ。昨日戦ったロン毛だぞ。あいつはスペルビ・スクアーロ。
ボンゴレで最強とうたわれる独立暗殺部隊ヴァリアーのメンバーだ」
「ボンゴレ最強って…」
「ヴァリアーは忠誠心が高く、あらゆるミッションをこなしてきたが、あくまで闇の部隊だからな。
今まで表舞台に出てくることはなかったんだが、ある日を境に暴走し始めたんだ。あの男が出現したときから…」
あの男…予想するに、ものすごくごつくて強い男なんだろな…と、ツナの頭の中に強面の厳ついオジサンが浮かんだ。