リングの光T 本

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「なぁ!?オレ以外にも指輪配られたの!?」


「そうだぞ。ボンゴレの伝統だからな」



ボンゴレリングは初代ボンゴレファミリーの中核だった7人が残した証。
そして、ファミリーは代々7人の中心メンバーがリングを受け継ぐ掟がある。
8つ目は、その7つのリングから生み出された、まだ誰も見たことのない幻のリングだ。



「10代目!ありがたき幸せっス!身の引き締まる思いっス!!」



その話を聞いた獄寺が、涙を流すほど喜んでいる。…幻覚か、星が見える。



「獄寺のリングは“嵐のリング”山本のは“雨のリング”だな」


「そーいや違うな」


「何だ…?嵐とか、雨とか……天気予報……?」


「初代ボンゴレメンバーは個性豊かなメンバーでな。その特徴がリングにも刻まれているんだ」



初代ボスは、全てに染まりつつ全てを飲みこみ包容する大空のようだと言われている。ゆえにリングは“大空のリング”だ。



「そして、守護者となる部下たちは、大空を染め上げる天候になぞらえられたんだ」



全てを洗い流す恵みの村雨 雨のリング


荒々しく吹き荒れる疾風 嵐のリング


何物にもとらわれず我が道をいく 雲のリング


明るく大空を照らす日輪 晴のリング


実態のつかめぬ幻影 霧のリング


激しい一撃を秘めた雷電 雷のリング


そして…


全てを翼で包み込み全てを両手で支え染まる 天地のリング



「つっても、お前たちの持ってるリングだけじゃまだ…」


「チョッ、ストーップ!とにかくオレはいらないから!」



リボーンの話を遮り、慌てたようにリングが通されている鎖を掴むツナ。



「あの…わりーんだけどさ…オレも野球やるから指輪はつけねーなー」



話わかんねーし、と付け足す山本。そんな山本を安心した顔で見るツナと、睨む獄寺。



「それに…そんなの持ってたら大変なんだって!!昨日のロン毛がまた狙ってくるんだよ!?」



そのツナの言葉に、二人の顔色が変わった。それに気づかず、話を続けるツナ。



「ヤバいでしょ!?しかも下手したらたった10日だよ!!」


「あいつ…来んのか…」


「10日…」


「どーしたの、二人とも…」


「これ、オレんだよな。やっぱもらってくわ」


「えっ!?」


「負けたまんまじゃいられねー質みてーだな、オレ」


「オレも10日でこのリングに恥じないように生まれ変わって見せます!!次は奴をぶっ飛ばします!!」



そう言うと、二人は病院から走って出て行ってしまった。取り残されたのは…ツナ達だけ。



「やるなーツナ。獄寺と山本は鍛える気満々になったみたいだぜ」


「え"―――!!そんな〜〜!シャレになんないって!!」



にっこりと笑うディーノに、頭を抱えるツナ。



「10日間で残りの4人の守護者達も鍛えねーと、ヴァリアーには勝てねーぞ」


「ま…待てって!つーか誰なんだよ、残りの5人は…ん?5人だよな?」


「そうだぞ」



きぐるみ……パオパオ老師に着替えながら、ツナの質問に答える。



「でも、鍛えるのは4人って言ってなかった?」


「ああ…天地の守護者は鍛えなくても、お前らよりはるかに強いからな」


「(うわ…何かごつい男かなんかかな…?嫌だぁー…)」


「ちなみに天地の守護者は女だぞ。そいつも他の守護者の奴らも、お前がよく知る人物だぞ」



心を読まれたらしい。



「パオパオ老師!!」



ちょうどリボーンが着替え終わったとき、病院のドアを蹴破る勢いで入って来たのは笹川了平。



「オレを鍛えなおしてくれるというのは、まことか!?」



ちゃっかりリングまでつけてきている。



「待ってください、お兄さん!!状況分かってるんですか!?」


「敵を迎え撃つのだろ!?相当緊迫しているらしいな!!昨日の出来事も、10日後のこと。指輪の話も聞いたぞ…」


「え…」



ちゃんと分かってる…などと、少しばかり失礼なことを考えているツナ。



「全部忘れたがな!!」


「たちまち意味ね―――!!」



そんな思いも、この一言によってかき消された。



「何でよりによって京子ちゃんのお兄さんなの!?京子ちゃん心配するよ!!」


「こいつにはファミリーに欠かせない重要な役割があるからな」


「極限任せろ!!」


「(確かに晴れだよ…どっピーカンだよ…)」



後ろにまぶしい太陽が見える気がする…



「ところでパオパオ老師。今日はオレのために幼馴染を呼んでいただいたとか」


「腐れ縁だぞ」



途端に、リボーンの下げている黄色のおしゃぶりが光りだす。それから間もなく、獣の羽音が聞こえてきた。



「久しぶりだな、コラ!!」


「この声…まさか!!コロネロ!!」


「元気そうだな、コラ!」



突然ツナを蹴り飛ばすコロネロ。会ってそうそう酷いものだ。



「なっ、なんでコロネロがここに?」


「リボーンの奴が泣きついてきたからな」


「泣きついてねーぞ。今回は時間がねーからオレ一人じゃ全員鍛えられねーんだ。
だからリングを持つ奴それぞれに、専属の家庭教師を付けることにしたんだ」


「か…家庭教師!?」


「話にあったボクサー小僧はどいつだコラ!」


「オレだ!!」



了平を見ると、コロネロは背に背負っていたライフルをとり、体を叩く。



「コイツ、そんなに弱いのか?コラ!」


「ああ。選ばれたファミリー8人の中じゃ今、最弱の部類だな」


「………プクク」



その話を聞いたコロネロが、抑え込むように笑う。



「こいつは面白い奴を見つけたなコラ!もし10日間オレのトレーニングについてこれれば、他の6人…いや7人なんてぶち抜くぜ、コラ!」


「?」


「その代わり厳しいぜ。やるか?コラ」


「望むところだ!オレは負けん!」



了平はコロネロから渡された迷彩色の鉢巻きを付け、病院から風のように去って行った。



「だっ…大丈夫なのか?あの二人…」


「心配すんな。コロネロは何千という生徒を見てきたんだ。そのコロネロを唸らせたってことは、うまくいけば了平は何倍も強くなるぞ」



あんな赤ん坊で、どうやって生徒を見てきたのか、今のツナには分からなかった。



「んじゃ、オレもそろそろ鍛えに行くかな」


「え!?ディーノさんも家庭教師!?」


「ああ。さすがに今回の件では同盟の問題でオレは手を出せねーからな。今やってやれることはこれくらいしかねーんだ」


「そんな〜!!頼りにしてたのに…あ、もしかして獄寺君と山本のカテキョーですか?」


「いいや…更なる問題児らしいぜ」


「!?」


「それに――…獄寺と山本は自分でぴったりの家庭教師を見つけるはずだ」


「?」



二人が話していることがいまいちわからず、ツナは頭を抱えた。
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