リングの光T 本

□標的33
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「んな"ぁ〜〜〜〜!?ここどこ―――!?」



ツナが崖の中腹でそんなことを叫んでいる声が聞こえてくる。



『相変わらずのスパルタだな…』


「じゃなきゃ、ヴァリアーに殺されるだろ?」


『解ってますって』



あの後、僕はリボーンと別れ、家光さんと合流した。



『あれが本当に、初代ボンゴレボスが行った修業なんですか?』


「ああ、そうだ」


『(嘘臭い…)』



目の前では、死ぬ気になって崖を登ろうとするツナ。いや、もう解けて落ちたが。



「アイツ、ツナにあの技をマスターさせるつもりだな」


『ああ、零地点突破ですか。初代が習得するのに半年かかったという技』


「確かにそうだが…なぜ知っている?」


『(ヤバッ、家光さんにはまだ言ってなかったんだっけ…たぶん)いや、文献で見まして』


「アレが載ってる文献なんてあったのか?」


『あ、いや、イタリアに帰った時、ドゥラドファミリーの金庫室にあったんですよ』



出まかせを言ってみれば、何とか信じてもらえた。



「さて、並中に行くぞ!」


『…どうやって?』


「そりゃ勿論……お前で」


『言うと思いましたよ…』



ハァ…、とため息をつくと、一瞬にして背中から藍色の翼が生える。



「やはり、天地の守護者にして正解だったな…」


『何してんですか、置いて行きますよ』


「お、わりィわりィ!」



流石に大の大人を背中に乗せるのは無理なので、両手をつないで宙釣りにして行く。もちろん、姿が見えるなんてヘマはしていない。










〜並中〜



『……着きましたよ…』



並中の屋上。そこで雲雀さんとディーノさんが戦っていた。二人に気付かれないよう、物陰にそっと降りる。



「お前はまだ、井の中の蛙だ。こんなレベルで満足してもらっちゃ困る」


「……」


「もっと強くなってもらうぜ、恭弥」


「やだ」


「なっ!…(バキッ)…って!てめーなぁ!」



ちょうど説得している場面に立ち会った。



『さすがディーノさん。雲雀さんのトンファーの直撃を避けるとは』


「フフ…それでいい。お前たちはどんどん戦え。よし、次行くぞ」


『早っ!』


「次は山本武だ」


『はいはい…』



藍色の翼を広げ、家光さんの手を掴むと、一瞬にして2人は姿を消した。










〜道場〜



『……着きました。まさかこんな山奥にあるとは…』


「しっ!静かにしてろ。こちらの存在に気付かれては困る」


『…家光さんの方が煩いですよ』



翼をたたみ、“あさり組”と書かれた提灯のついた道場の窓による。



「ごっこじゃねぇんだぁ!!!」


『うおっ!?』



窓に寄った途端、聞こえてきた怒声。思わず驚き、窓から一歩遠ざかる。



「ん?ビビったのか?」


『…驚いただけですよ』



窓から中をのぞけば、防具を付けていない山本父が、防具を付けている山本を竹刀ではっ倒していた。



『すごい気迫…』


「山本武…お前の剣に一番足らないのは、そのすさまじき気迫よ」


『雲雀さんのところで思ったんですけど、その最後の一言、いらなくないですか?』


「……次行くぞ、次」


『(スルーした…)』



早くしろと言わんばかりに睨んでくるので、仕方なく指定された場所へと連れて行くことにした。










〜谷〜



『…本当にここでいいんですか?』


「間違いない。笹川了平とコロネロはここで修業をしている」


『そう言っておいて、もう30分は探しまわってますよ』


「………」



ここに着いてから早30分。一向に2人の姿はおろか、人の気配さえしない。



『しょうがない…』



その場で止まると、微妙な風を送り始める。



「何をしている?」


『…………見つけた』



家光さんの質問には答えず、人の気配を感じ取った方へと急ぐ。



『……居た…』



近くの岩に家光さんを下し、2人を観察する。…寝ている?



「“晴のリング”にふさわしい資質に気付くとは、さすがアルコバレーノ…。奴が開花すれば大きな戦力になる」


『……』


「さて、最後行くぞ」



家光さんが言った“戦力”。少し引っ掛かったが、無視して飛び去った。
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