リングの光T 本
□標的34
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《おい、来たぞ》
夜遅く、闇龍の声で起こされた僕。
『……場所は?』
《ここから少し離れた場所だ。案内する》
『頼む』
すぐに服を着替え、上にあの時のマント(コート)をはおり、窓から外へと飛び立った。
『向こうの動きは?』
《雷の守護者…ランボを消そうとしているらしい》
今更だが、龍達にも前世の記憶は入れてある。いろいろと都合がいいからだ。
『……イーピンがついてるはずだから、少しは時間が稼げるはずだ。アイツはやり手だからな』
《だといいが…》
藍色の翼をはためかせ、夜の並盛上空を飛ぶ。
『バイパー…いや、マーモンが厄介だな。アイツはアルコバレーノであり、霧属性だ。普通の術師には見えないけど…』
《奴は普通じゃないからな》
『呪われし赤ん坊…4人目…僕を合わせて5人目か』
コートの下にあるおしゃぶりを握りしめる。途端、思い出したように急停止したカレン。
《どうした》
『思い出した。家光さんから合図が来るまで動けない』
《合図?》
『そ。ご丁寧に手紙で送りつけて来たよ。ケータイ』
カレンの手には、白い折り畳み式のケータイが握られていた。
《やっと買ったのか》
『僕が買ったんじゃない。向こうが勝手に買って送りつけてきたんだ』
しかも、なぜか電話帳の一番上が“綱吉”となっていた。…原作でツナは、ケータイ持ってなかったよな?
『連絡が来るまで、上空待機だって』
《ここでか?》
『そう、此処で』
結局は知らせた意味がないじゃねぇか、とぼやく闇龍。その時、ケータイが鳴った。
『………(ピッ)合図だよ、闇龍』
《…出なくて良かったのか?》
『いーんだよ。ほら、行くよ』
《どこに》
『…家光さんの家』
1人と1匹は、闇に紛れこむようにして消えた。
〜数分前〜
一方ツナはバジルとともに家路についていた。
「ただい…「おかえり〜!!」ゲッ」
玄関に居たのは、どこかへ行く準備をした家光。手にはケータイを持っている。
「どっかでかけんの?」
「ああ。招いてない客が、思ったより早く来ちまったらしい」
その言葉に反応したリボーンとバジル。
「本当か、家光」
「本国に居る、オレの影からの情報だ。間違いない」
「にしても早すぎるぞ」
「偽のリングがこうも早く見破られるとは想定外だった。考えられるとすれば、ザンザスの超直感……」
奈々の前でへらへらしている家光は、そこには居なかった。あまりの変貌ぶりと話に、ツナはついていけない。
「な…何の話…?」
「ヴァリアーが日本に上陸したらしい」
「なっ!例のおっかない連中が〜〜〜〜!?つーか、なんで?父さんが…!?」
「オレは守護者全員の安全の確認を兼ね、状況を伝えに行く。手伝え、バジル」
「はいっ!お供します、親方様!」
「ええ!?」
ツナの質問をスルーして、傍に居たバジルについてくるよう命じる家光。
「おやかたさま………?」
「はい」
一度、バジルに確認をとり、家光の方を向く。
「………父さん?」
「なんだ?」
「親方様?」
「親方様」
「うそ――――!?そんな……だって……」
まさか、父親までもがマフィアの関係者だとは思ってみなかった。
「ツナ、今は時間がない。後でゆっくり説明する。とりあえず、このことは母さんには内緒だぞ。男と男の約束だ……な!」
勝手に小指を絡められ、約束させられる。
「バジル、コレの電話帳の2番目に電話をかけてくれ」
「解りました」
バジルに投げ渡したケータイ。言われたとおり、電話帳の2番目に電話をかけるバジル。その間に、家光はツナに簡単な説明と指示をする。
「……親方様」
「どうしたバジル。アイツと電話はつながったか?」
「それが、5コールで切られてしまって」
「ああ、それでいいんだ。5コールで切れるのは、承諾の意味だからな」
バサァッ
「ほら、姫さんのご到着だ」
そう言った途端、ドアが開けられる。…いや、蹴破られた。
『おい、誰が姫さんだ、ゴラァッ!』
「ワリーワリー、ついついあの時の癖が出ちまってな!」
『嘘クセーよ!』
入口に立っていたのは、あの時ツナ達を救い、スクアーロに偽のリングを持たせてイタリアに返させた黒マントだった。