リングの光T 本
□標的35
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《今日は晴の守護者対決らしいね、カレン》
『原作通りだ』
カレンと風龍が今居るのは並中の屋上。風龍には声を運んでもらうため、小さくなってもらっている。
《傍で見なくていいんですか?》
『行ったら行ったで面倒なことになるからね』
ごたごたするのは嫌だ。それに…
『今日は、チェルベッロから説明があるって言うからね』
昨日、あの場所で突然現れたチェルベッロ達に
「貴方の存在については、こちらでもう一度審議いたします。明日の明夜11時に、並中へお越しください」
と、言われていたのだった。チェルベッロがなぜ、僕が異質だと見抜いたか…。それだけが引っ掛かっていた。
『(過去でも意味わかんない機関だし…面倒な奴らだよ)』
チェルベッロが去った後、カレンはツナから黒いオーラをあてられ、帰るにも帰れなかった。
「何で、カレンが居るのかな?」
「それはカレンが、天地の守護者だからだぞ」
そのあとのツナのリアクションは…ウケた。あの、真っ黒に染まりつつある(染まってるかもしれないけど)ツナが、驚愕で目を見開いたのだ。
それよりも驚いたのが、リボーンがツナが黒いということに気付いていなかったこと。少なからず、彼は動揺していた。
「お待たせいたしました」
『で、どうなった?』
「審議の結果、貴方には、このリング戦で勝った側に付いてもらうこととします」
『じゃ、僕の出番はなしってこと?』
「今のところはそういうことになります」
音も立てずに現れたチェルベッロ。別に驚くこともなく、審議の結果を聞いた。…予想通りの結果だな。
「しかし、全ての戦いは見おさめてもらいます。貴方は創造神ですから」
『意味が分からない。僕が関わらないのなら見なくても結果だけ聞けばいいだろ。それに…なぜ僕の内情を知っている』
ドスの利いた、殺気を放ちながらチェルベッロを睨みつける。彼女は一瞬たじろいだが、立て直して続けた。
「貴方は知らなくていいことです。では」
『おいっ!…クソっ』
登場したときと同じく、音も立てずに消えたチェルベッロ。そこが憎たらしい。肝心なことは、はなさねぇってか。
『掴みどころのねぇ奴らが…』
《カレン、口調が荒れてる》
『しらねぇよ。怒るとこうなるのはいつものことだろ』
風龍の注意も聞かず、フェンスに肘をつく。
『…始まって数分立つが、了平の方が圧倒的に不利だな』
用意されていたフィールドは、晴の守護者らしく疑似太陽に照らされたリングだ。あまりの眩しさに、目を開けることすらできないだろう。
《相手…ルッスーリアはサングラスを付けてるし》
勝負が始まったら、外からの干渉は認められない。サングラスを渡すことすら、出来ないのだ。
『風龍、暇なんだけど』
《試合を見てなくてはいけないでしょ?》
『結果知ってるから、つまらないの』
駄々をこねてる幼児と同じだ。フィールドから目をそらし、完全に背を向けて座りこむ。
《ルッスーリアを助けるんじゃなかったの?》
『…助けるさ。ザンザスは人を道具扱いしすぎだ』
フェンスに寄りかかり、フェンスに絡みついている風龍を見上げる。
《確かに、彼は人を人と見ていない。あ、笹川さんが反撃し始めましたよ》
その言葉に立ちあがり、フェンスから身を乗り出す。
『体の表面に浮かぶ塩で照明を割り、絶体絶命のピンチに陥っても諦めない根性。…京子が来たからパワーが上がったっていうのもあるね』
フィールドに倒れこむルッスーリア。
『もうそろそろか。風龍』
《解ってますって》
合図しただけで頷く風龍。それに微妙に微笑むと、背中に翼を作る。今回も闇龍の翼だ。
翼を作ったと同時に、風龍が本来の大きさに戻る。それに気付くものはいない。
《風壁!》
ルッスーリアの背後に迫っていた、ゴーラ・モスカが放った銃弾を、風龍が風壁で防ぐ。驚いたのはヴァリアー側全員。
『ルッスーリアを始末しようとしてたみたいだけど、そうはいかないよ』
突然聞こえてきた声に、そこに居る全員が声の降って来た上を向く。しかし、そこには誰もいない。
『風龍、彼はどう?』
《膝の損傷だけ。癒龍の力で何とかなる》
『そうか。…癒龍、そういうことだから』
《わーってるっての。こいつの怪我なおしゃいいんだろ?》
2つ目と3つ目の声はフィールドの上から聞こえてきた。そこに居たのは、薄黄緑色と薄緑色の龍の2体だった。