リングの光T 本

□標的35
1ページ/2ページ




《今日は晴の守護者対決らしいね、カレン》


『原作通りだ』



カレンと風龍が今居るのは並中の屋上。風龍には声を運んでもらうため、小さくなってもらっている。



《傍で見なくていいんですか?》


『行ったら行ったで面倒なことになるからね』



ごたごたするのは嫌だ。それに…



『今日は、チェルベッロから説明があるって言うからね』



昨日、あの場所で突然現れたチェルベッロ達に



「貴方の存在については、こちらでもう一度審議いたします。明日の明夜11時に、並中へお越しください」



と、言われていたのだった。チェルベッロがなぜ、僕が異質だと見抜いたか…。それだけが引っ掛かっていた。



『(過去でも意味わかんない機関だし…面倒な奴らだよ)』



チェルベッロが去った後、カレンはツナから黒いオーラをあてられ、帰るにも帰れなかった。



「何で、カレンが居るのかな?」


「それはカレンが、天地の守護者だからだぞ」




そのあとのツナのリアクションは…ウケた。あの、真っ黒に染まりつつある(染まってるかもしれないけど)ツナが、驚愕で目を見開いたのだ。
それよりも驚いたのが、リボーンがツナが黒いということに気付いていなかったこと。少なからず、彼は動揺していた。



「お待たせいたしました」


『で、どうなった?』


「審議の結果、貴方には、このリング戦で勝った側に付いてもらうこととします」


『じゃ、僕の出番はなしってこと?』


「今のところはそういうことになります」



音も立てずに現れたチェルベッロ。別に驚くこともなく、審議の結果を聞いた。…予想通りの結果だな。



「しかし、全ての戦いは見おさめてもらいます。貴方は創造神ですから」


『意味が分からない。僕が関わらないのなら見なくても結果だけ聞けばいいだろ。それに…なぜ僕の内情を知っている』



ドスの利いた、殺気を放ちながらチェルベッロを睨みつける。彼女は一瞬たじろいだが、立て直して続けた。



「貴方は知らなくていいことです。では」


『おいっ!…クソっ』



登場したときと同じく、音も立てずに消えたチェルベッロ。そこが憎たらしい。肝心なことは、はなさねぇってか。



『掴みどころのねぇ奴らが…』


《カレン、口調が荒れてる》


『しらねぇよ。怒るとこうなるのはいつものことだろ』



風龍の注意も聞かず、フェンスに肘をつく。



『…始まって数分立つが、了平の方が圧倒的に不利だな』



用意されていたフィールドは、晴の守護者らしく疑似太陽に照らされたリングだ。あまりの眩しさに、目を開けることすらできないだろう。



《相手…ルッスーリアはサングラスを付けてるし》



勝負が始まったら、外からの干渉は認められない。サングラスを渡すことすら、出来ないのだ。



『風龍、暇なんだけど』


《試合を見てなくてはいけないでしょ?》


『結果知ってるから、つまらないの』



駄々をこねてる幼児と同じだ。フィールドから目をそらし、完全に背を向けて座りこむ。



《ルッスーリアを助けるんじゃなかったの?》


『…助けるさ。ザンザスは人を道具扱いしすぎだ』



フェンスに寄りかかり、フェンスに絡みついている風龍を見上げる。



《確かに、彼は人を人と見ていない。あ、笹川さんが反撃し始めましたよ》



その言葉に立ちあがり、フェンスから身を乗り出す。



『体の表面に浮かぶ塩で照明を割り、絶体絶命のピンチに陥っても諦めない根性。…京子が来たからパワーが上がったっていうのもあるね』



フィールドに倒れこむルッスーリア。



『もうそろそろか。風龍』


《解ってますって》



合図しただけで頷く風龍。それに微妙に微笑むと、背中に翼を作る。今回も闇龍の翼だ。
翼を作ったと同時に、風龍が本来の大きさに戻る。それに気付くものはいない。


《風壁!》



ルッスーリアの背後に迫っていた、ゴーラ・モスカが放った銃弾を、風龍が風壁で防ぐ。驚いたのはヴァリアー側全員。



『ルッスーリアを始末しようとしてたみたいだけど、そうはいかないよ』



突然聞こえてきた声に、そこに居る全員が声の降って来た上を向く。しかし、そこには誰もいない。



『風龍、彼はどう?』


《膝の損傷だけ。癒龍の力で何とかなる》


『そうか。…癒龍、そういうことだから』


《わーってるっての。こいつの怪我なおしゃいいんだろ?》



2つ目と3つ目の声はフィールドの上から聞こえてきた。そこに居たのは、薄黄緑色と薄緑色の龍の2体だった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ