リングの光T 本
□標的36
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「いい加減、ツナの前にちゃんと姿を現せ。それに、あいつがあんなに黒かったなんて知らなかったぞ」
『うん、あの時のリボーンの顔、笑えたよ』
ジャキッ
「いいから、さっさとツナのとこに行け。アイツの機嫌が最悪なんだ」
『最強と謳われたヒットマンが、生徒の機嫌取りに手間取ってるの?』
「ちげーよ。生徒の調子を整えるのも、家庭教師の役目だ。分かったらさっさと行け」
こめかみに黒光りするアレを突き付け、不機嫌そうに言ってくるリボーン。
ちなみに、此処は僕の家だ。リボーンがどうやって入って来たかなんて、知る由もない。
『だから、何度も言ってる。僕は、行かないって』
「未来を知ってるなら、悪い方に行かないよう食い止めることだってできんだろ?守護者対決は全て見るのが原則のはずだ」
『見には行くよ。ただ、見るだけ。もうツナの前には姿を現さない。いや、あと一回は出ていくかな』
スクアーロ…助けないとな
「ハァ…ツナはお前を拒絶してはいない。むしろ、受け止めようとしてるんだぞ?」
『でも、約束のことはどうした?』
「まだそれに縋りついてるのか」
『煩い!僕にとっては…生きる希望になったんだよ』
あの頃は、何度も死のうとしてたんだからね。リボーンにそう言えば、黙った。
『やっと、温かい家庭に生まれたと思ったら、すぐに離れなきゃいけなくなって…ボンゴレで少し生活することが決まって…
9代目は優しかったけど、僕が求めていた優しさじゃなかった。僕は……家族からの優しさが欲しかったんだよ』
「なら、オレと作るか?」
『遠慮する』
またそれか…額に手を当てながら、大きなため息をつく。
「今夜は、雷の守護者対決だぞ」
『ああ…あの気味悪いオジサンか…』
「そうだ」
『アレ、気を付けた方がいい。見かけによらず、強い』
「そうには見えないが…」
『人を見かけで判断しちゃいけないよ』
「マフィアを見かけで判断しないで、どう判断しろってんだよ」
『さぁ?とにかく、レヴィには細心の注意を払うようランボに……言っても意味ないか』
どうせ、ツナが助けにいくんだろうけど…うーん、止めるわけにはいかないね。
『ねぇ』
「なんだ?」
『ボンゴレにはさ、チェルベッロ機関ってのは存在するの?』
「いや、オレも初めて聞いた」
『そっか…(探り入れようにも、原作でも詳しくは取り扱われていないしなぁ)』
「怪しい感じはするんだかな。調べても全く情報が出てこねェんだ」
『セキュリティが頑丈なんだよね。ハッキングできない』
パソコンでハッキングできないのは、チェルベッロとヴィンディチェぐらいだよ、きっと。
「お前、本当に何でもできるんだな」
『なわけない。人間だれでも得意不得意はあるよ』
あははー、なんて笑って誤魔化すけど。実はこれの仕方、母さんから習ったんだよねー。情報の仕入れ方として。
『後、早めに家光さんをイタリアへ帰した方がいい』
「何故だ?」
『詳しくは言えないけど…遅いより早い方がいい』
9代目…もう、本物はいないけどさ。気付くのは早い方がいいでしょ?
「…お前が言うのなら…解った。家光にはオレから言っておく」
『ありがと。それと、雲雀さんはどうなの?』
「ああ、ヒバリか。アイツならディーノとあっちこっちで戦ってるぞ。本気で」
『やっぱり』
もし、自分が雲雀さんの相手をしろと言われたらと思うと………冷や汗が流れる。
こう考えると、守護者全員の試合を観戦しなくてはいけないということが苦にならない。
『ま、見には行くから。見つけられないだろうけど』
「それはどうだろうな」
リボーンはニヒルに笑うと、窓から飛び降りていった。
『いつも思うんだけどさ、普通、赤ん坊が窓から飛び降りてるとこ目撃されたら、幼児虐待とかで通報されかねないよね』
今更だ。