リングの光T 本

□標的2
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キーンコーンカーンコーン……



「土日を挟むがみんな気を付けて生活する様になぁ〜」


「ああ、終わったなぁ」


「帰ろうぜ〜」


「ねえねえ、明日あいてる?」



彼女…カレンはこの学校の中で一番モテる人の一人だ。モテる、と言っても彼女と言うのだから女なのだが…
彼女の隣にいる人物、眞鍋 薫(マナベ カオル)は、彼女にただ一人近づける人だ。



「カレンちゃーん!土日、開いてない〜?」


『…別にあいてるけど、何?』


「久しぶりにショッピングに行こうよ!」


『行く必要がないから、いい』


「ええ!お願い!!本屋でカレンちゃんの好きなリボーンの漫画見てもいいから!」


『…やっぱり行く。どっち?』


「え〜と、じゃ明日の午前十時にMARINE(マリン)デパートに集合ね!」


『分かった』



薫が出て行った後、カレンも帰りの準備を再開した。教室にはもうほとんど人が残っていない。
時刻は下校時間の午後五時を過ぎている。季節はもう冬なので、外はもう真っ暗だ。



『(早く帰るにこしたことはないな…)帰ろ』



どうせ家に帰っても、両親はいるにはいるが一緒に住んではいないので平気だ。
理由は彼らからの家庭内暴力だった。毎日学校から帰ると、平手や物が飛んできた。
彼女には出来のいい姉がいて、テストの点が満点でないと、それはもう酷かった。



『(何で、こんなこと思い出してるんだろ…)』



姉と自分を比べられ、蹴る殴るはの暴力を夜を徹して二人から受け続けた。
そんな毎日を繰り返すうちに、近所の人が家庭裁判所に通報し、彼らとカレンは引き離された。
昔のことを思い出しながら歩いていると、いつの間にか家の前(と言ってもマンション)に着いていた。



『…ただいま』



誰もいない空間に向かってあいさつをする。もちろん、返事が返ってくることは無い。
余計なものは一切なく、置いてある物は机、ベット、タンス、本棚。それ位の物だった。
準備したものをバックの中に詰め込み、一足先に用意をすませる。



『ご飯、どうしようか』



そんなことをつぶやきつつ、夕ご飯の準備に取り掛かる。
冷蔵庫内の食料も底を尽きかけていたので、明日の帰りにでもスーパーに寄ろうか、と考えていた。










ご飯も出来上がり、きちんと挨拶をしてから食事を始める。
食事も終わり、あとかたずけを済ませ、お風呂にも入り、後は寝るだけとなった。



ガチャ…



少し湿った髪をそのままにし、自分の部屋へと戻る。ドアを開け中に入る。
時計を見ると、まだ寝るには早い時間帯。どうしようかと思っているとふと目に止まった本棚。
そこには所狭しと並べられた少年漫画……リボーンだった。



『久しぶりに読もうかな』



カレンはその漫画を手に取ると、時間を忘れて読むことに没頭した。










ふと時計を見ると、時刻は午後の十一時半。漫画を読み始めたのが八時過ぎなので、結構な時間読んでいたことになる。
漫画を本棚に戻し、急いでベットの中に潜り込む。
ひんやりとした感触に、少し身を震わせると、そのままカレンは夢の中へと旅立っていった。
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