リングの光T 本
□標的3
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意識がだんだんとはっきりしてきた。
目の前に広がるのは、白い天井。意識がなくなるまでいた暗闇の世界とは、全く違う場所だった。
ふと、机の上に紙が置いてあるのが目に入った。ベットから飛び降りると、体に違和感。
…どうやら幼児化したようだった。見た所、3・4歳程度だろうか…
慣れない体を無理やり動かし、精いっぱい背伸びをして机の上に置いてあった紙をとる。
―――カレンちゃんへ―――
お目覚めはいかがかな?
朝ごはんとお昼ご飯はメイドの人に言えば出してもらえるから。
それと、大事なお話があるの。ここに来たばかりでいろいろ混乱してるだろうけど…
質問は帰ったら聞くわ。私が帰るまで屋敷内を探検してみてもいいわよ。ああ、物は壊さないでおいてね。
―――お母さんより―――
カレンの頭の中は疑問がいくつも浮かんだ。
何で私が違う所から来たって知ってるの?
それなら今まで私、いやこの体はどうしていたの?
お母さんって、誰?
大事なお話って?
考え出すときりがなかった。
『(まっ帰ってくれば質問できるらしいし、それまでこの屋敷の探検でもするか)』
グゥウウ〜
『////(それよりもまずは朝ごはんだなぁ)』
手紙を持って(地図つき)部屋を出る。廊下に出てドアを見れば、ネームプレートが掛ってある。
どうやらここは自分の部屋のようだった。
この屋敷は無駄に大きく、迷路のようになっている。
『ここだ…』
扉をあけて、目の前の光景にカレンは唖然とした。
見上げると首が痛くなるほど高い天井。そして、そこにぶら下がる大きなシャンデリア。
そしてわきに控えているのは数人のメイドの人。
『は?』
思わず抜けた声を出してしまった。その途端メイドの一人がこっちに来た。
「朝食兼昼食は今からお召し上がりになられますか?カレンお嬢様」
『はい?えっあ…の、お願い、します…?』
またもやいきなりのことで抜けた声と、思わず敬語になる。(しかもお嬢様って何だ。お嬢様って…)
するとメイドの人(見た目ニ十代)はにっこりと笑い、
「かしこまりました。今すぐご用意いたします。お席にてお待ちくださいませ。
それに私どもに敬語を使わなくてもよろしいのですよ?」
『あ、ありがとう…』
「はいっ(笑)」
そう言ってメイドの人は扉の向こうに行ってしまった。
そのほかのメイドの人もその人に付いていってしまい、今この大広間いは誰もいない。
『っていうか、どこに座れば…』
とりあえず近くの席に座る。
数分ほど待っていると、豪華な食事を持ったメイドさんが入ってきた。
「お待たせいたしました。朝食でございます」
『……』
声が出ない。ここの人には、朝ごはんにこんなものが出るのが当たり前なのか。
『い、いただきます…』
「はい、どうぞ召し上がってください」
とても美味しかった。
食べ終わり、使っていた食器をお皿のわきに置き、手を合わせる。
『ごちそうさまでした』
「いかがでしたか?」
『あの、とても美味しかったです』
「そうですか。それは良かったです。それでしたら、奥様がお帰りになるまで、お屋敷を探索してみてはいかがでしょうか?」
『そ、そうします』
「お夕飯は奥様とご一緒にされますか?」
『そうして、下さい』
「かしこまりました」
そうして私は一礼してから大広間を出た。
『まずは庭に行ってみるか』
廊下にも所々豪華な装飾が施されている。
本当に私の親の職業は何なんだ?と改めて感じる。
ふと、鏡に映る自分の姿が目に入る。
そこに映っているのは、金色の髪の毛に蒼と紫のオッドアイの目。そして、自分の中にある力のことが頭をよぎった。
『(どうやって使うんだろ?ま、お母さん(仮)が帰ってきたら聞くか。今はこの屋敷の構造を覚えることが最優先)』
そしてカレンは両手開きの扉を開け、外に出た。