リングの光T 本

□標的5
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朝になり学校に行けば、やはり球技大会の日だった。こうなると獄寺隼人に会うのも遠くは無い。










〜昼休み〜



そして時が流れるのは早いことで、球技大会が開かれる昼休みになっていた。



『(やはり二人棄権者が出てる。ん?…二人?!)』



一人うろたえていると、向こうの廊下で誘われているツナの姿が目に入った。
しばらくそれを見ていると、ツナがOKを出したのか、誘った側が嬉しそうにしていた。
するとその人と目が会い、こちらに向かって駆けてきた。



『(んな!こっち?!こっちには……僕しかいない…え、嘘)』


「おーい!優!!!突然でわりーんだけどよ、球技大会のメンバーが二人かけちまってさ。
一人はツナに頼んだんだけど、もう一人を優に頼んでもいいか?」


『(そのまさかだったー!!)』
 

「おい?どうした?…やっぱ無理だよな!ごめん。いきなり頼んで」


『ああ、引き受けますよ!バレーでしたら、少しできますし…』


「ホントか?!良かったー。あんがとな優!!!!」



落ち込むクラスメイトを放って置くほど心が狭いわけではないカレンは、その頼みを聞き入れた。
困っているのを放ってはおけないのだった。










〜体育館〜



体育館に行くと、まだツナは着いていなかった。他のメンバーは、今か今かとツナを待ちわびている。



ガラガラッ



ツナが入ってきた。



「よ!強力助っ人の登場だ!!」


「ったくじらしやがって!」


「ファイトツナ!!」


「(すんごい期待されてる――)」


『(やはり、原作通り京子さんと来ましたか…)』



ツナがコートに入ってくる。それを迎え入れ、話しかけているメンバーの男子達。
ツナが内心冷汗だらだらで焦っているのが、読心術が使えない僕でも分かった。
すると、ツナと目が合う。と、同時に視線を感じる。この視線は獄寺だろう。



『ツナ、お互い頑張りましょうね』


「アハ、アハハハ…そ、そうだね」


「それではメンバーがそろったようなので

試合開始!!!



ホイッスルとともに、試合が始まった…

    

     






「第一セット終了!」



『(ハハ、ここまでダメだとは…漫画で見るより悲惨ですね…)』



それはそれは、すごい珍プレーが続出していた。
何もないところでこけ、ボールが落ちてくる手前で転ぶ。ブロックは手の間をどのボールも抜けて行った。



「あの…ちょっといいかな」



ギロッ



メンバーのすごい睨みがツナに刺さる。
それに耐えているツナを、すごいなぁ〜と変なところで関心しているカレン。



「実は持田センパイとの戦で足をくじいてたんだけど、また痛みだしてきちゃって…」


「えっマジで?」


「だから調子悪かったのか」


『…』



ツナはこの場を逃げて行こうとしていた。
漫画で見ていても、実際にやられてみるとなんだか無性に腹が立つ。



『(原作通り進ませようとは思っていましたが、やっぱり無理です)』


「そっそれじゃ…」


『ツナ、逃げてばかりじゃ何にもできません。そんなんじゃ、皆の事を守っていけませんよ』



ツナが横を通る時に俯きながらツナにしか聞こえないぐらいの声で囁けば、一瞬体が強張ったのが分かった。
その後、ここから逃げるようにして立ち去って行った。



『(逃げてばかりではダメ。…これは自分にも言える事ですね)』



密かに心の中でつぶやいた。
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