リングの光T 本
□標的11
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「プリントにあるように、これが2学期の委員会の部屋割です」
並中のとある会議室では只今委員会の部屋割の真っ最中だった。どの委員会も代表一人ずつ出席し、静かに生徒会長の話を聞いている。
…ただ一つの委員会を除いて。
「え――っ何コレ!?応接室使う委員会ある。ずるい!どこよ!」
ここにはプリントを良く見ずに発言した女子生徒が。周りにいた者はハッと息をのむ。
隣にいた男子生徒が小声で耳打ちをする。どの生徒もみな顔が青かった。…やはりただ一つの委員会を除いて。
「何か文句ある?」
『(あー、ご愁傷様です。名も知らない先輩)』
「いえ!ありません!すっすみませんヒバリさん!!」
会議室の窓枠に腰掛け、先ほど発言をした女子生徒に向けて言葉をかける。
カレンは心の中でため息を漏らした。実を言うと彼女、委員会などには所属していない。
なぜか自分があの雲雀さんと知り合いだという噂が学校全体に広まり、たまたま一学期に所属していた委員会の先輩に呼び出され、
「委員長がちょうど休みでさ…悪いけど委員会会議行って来てくんね?」
と言われたのだ。副委員長は?と尋ねると、腹痛で保健室のようだ。
『(絶対に仮病だ…むかつきますね、この先輩)』
ホントは行きたくなかったのだが、まあ、相手はあの雲雀さんだ。自分がここで断ったりした事がばれたら正体をばらされかねない。
そして今、ここにいるという事だ。もちろん一人で。
「でもおかしくね?応接室を委員会で使うってのは」
「のっちもそー思う?」
「インボー感じちゃうよ」
『(ああ、彼らも雲雀さんの餌食になる人たちですか。自ら身をささげているようにしか見えませんよ…)』
「君達は仲良し委員会?代表はかく委員会一人のはずだけど…」
『(ただでさえこの会議室には人がいっぱいいて雲雀さんにとってはただの群れ。そんな中にいるのでさえ嫌なのにとどめにこれですか…この人たち¨咬み殺され¨ますね)』
そうは思ったが、助ける気も起きなかったので放っておいた。
「ヒバリにたてついたのが悪いんじゃない」
そこにはぼこぼこにされた緑化委員会の三人組。
先ほど雲雀に対し発言をしたあの三人組の姿だった。
「ヒバリの前で群れたからこうなったんだ」
しかし今、その姿は見るも無残な姿だった。全身打撲。顔じゅうがはれ上がり、立つ事すら困難な状態にまで追い詰められていた。
しかし制裁を加えたのは彼の部下の風紀委員の者たち。当の本人は応接室の窓枠に腰掛けその様子を見ていた。
しかしその彼を見ている者がいた。リボーンだ。
双眼鏡を使い屋上からその姿を眺めていた。その口元はリボーンにしては珍しく弧を描いていた。
「もー秋か〜〜」
「夏休みもあっという間に終わって何かさみしーなー」
「補習ばっかだったしな」
「アホ牛がブドウ×2って最近うざくねースか?」
『確かにブドウがおいしい季節になりましたねー。後は梨や栗でしょうか?』
「そうだな。栗はうまいぞ」
その声とともに現れたのは栗のコスプレをしたリボーン。その栗の棘がツナにささっていて痛そうだ。それはものすごーく。
しかもリボーンはツナが自分に気付いた事を多少なりとも驚いているようだ。カモフラージュスーツなんていってのけている。
「百人が百人振り返るぞ!」
その通りだ。声には出せないが絶対そうだと断言できる。まだパオパオ師匠の方がましだ。
こんなのが町中をうろついていたら迷惑で仕方がないだろう。(主に棘が)
「それより、ファミリーのアジトを作るぞ」
「はぁ!?」
いつの間にか着替えを済ませていたリボーンが急に案、いやもう決定事項だろうから決定事項を言い出す。
「へー面白そうだな。秘密基地か」
「子供かおめーは!…アジトいーじゃないスか!ファミリーにアジトは絶対必要っスよ!」
以外と乗り気な二人。
『それより、何処に作るんです?場所が決まっていなければ作ろうにも作れません(まあ、知ってはいますが)』
「学校の応接室だ。応接室はほとんど使われてねーんだ。家具も見晴らしもいいし立地条件は最高だぞ」
「まずは机の配置替えからだな」
「オレ10代目から見て右手の席な」
「まっマジで〜〜〜!?」
『あの、応接室はもう…「いいからついて来い」はぁ…』
応接室にいる並中最強の風紀委員長の事を知らせようとしたが、リボーンな邪魔されあえなく失敗。仕方なくそのままついていくことにした。
これから起こる事を思い、ため息をつきながら。