リングの光T 本

□標的12
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「もうすぐ体育祭だねー!」


『はい、もうそんな季節になりましたね…それより早く議講室に行かないと遅れてしまいますよ』


「うわ!もうそんな時間!?早く行こう!!獄寺君、山本、京子ちゃん、優!!」



こんにちは皆さん。あの雲雀さんとの対決から早いもので数週間たちました。並中では体育祭が近づいてきています。
僕たちのクラスは縦割りでA組なんです。そうそう、了平先輩も同じ組なんです。

今はそのA組だけの集まりで議講室に来ています!あの体育関係には物凄く燃える了平先輩はといえば…



「"極限必勝!!!"」



相変わらず燃えまくっています



『京子のお兄ちゃんって相変わらず熱いですよね』


「お兄ちゃん、いつも体育祭になると物凄く燃えるんだ。特に"棒倒し"には異常にね」



話のタネになっている先輩は皆の前で熱弁している。ふと、前の方に席を見ていれば、ツナたちが見えた。相変わらず獄寺は態度が悪い。机の上に足なんかのせている。



「今年も組の勝敗を握るのはやはり棒倒しだ。例年、組の代表を棒倒しの"総大将"にするならわしだ。つまりオレがやるべきだ
…だがオレは辞退する!!!」


「お、お兄ちゃん?」


「オレは大将であるより、兵士として戦いたいんだー!!!」


『先輩、ならわし変えちゃいましたね…』



周りの人たちもあきれている。ていうか、了平先輩がやらなければ誰がやるのか?棒倒しの総大将というのは…



1.面積の小さい棒の先につかまっていなくてはならない。

2.棒倒しのルール上、敵の兵士にけられたり殴られたるするのは当たり前。

3.敵の兵士が襲ってくるため、棒は揺れる。つまりバランス感覚がなければ振り落されるのは当たり前。

4.落ちたら普通に痛い。



との理由などがあげられるため、自ら立候補する者は少ない。組の代表がならないのなら、いったい誰がやるのか?



「だが心配はいらん。オレより総大将にふさわしい男を用意してある」


『いったい誰なんでしょうね』



了平は皆が座る席のある一点を指差して大声を出した。



「1−A沢田ツナだ!!」



教室にいる全員の視線が注がれる。そしてだんだんとあたりがざわついていく。



「おおっ」


「10代目のすごさ分かってんじゃねーかボクシング野郎!!」



喜んでいる者もいれば、《ダメツナ》のあだ名を持つツナの事だから、と賛成を反対する者もいる。当の本人はといえば…



「はっえっなんで!」



一人でパニックに陥っていた。そんな様子を見ていたカレンと京子。



「ツナ君が総大将か〜。どう思う?優君」


『僕ですか…僕はいいと思いますよ。なにせツナはここのところ何かいい調子ですし、A組が勝てるかもしれませんし、ね?』


「そっか!じゃあ私も手、上げよっ!!」


『そうですね(これで京子は賛成派です)』



今のところ賛成で手を挙げているのは、
僕、京子、獄寺君、山本、了平先輩ぐらいだ。



「(この人数なら総大将にならなくて済む!!)」



嬉しそうにしていたツナだったが…



「手を挙げんか!!!!」


『(了平先輩は命令…)』


「ウチのクラスは反対の奴なんていねーよな」


「おい、おまえっ」


『(獄寺君は脅し…)』


「獄寺君の意見に賛成ーー!!」


「サンセーーーーー!!!」


『(あちらは怯えてあげている男子。此方は獄寺君のファンの方々ですか。大方影響されたのでしょう)』



こうしてたった二人の力でどんどん手は上がっていった。しかしまだ半分には足りない。



「この勢いならいずれ過半数だろう。決定!!!棒倒し大将は沢田ツナだ!!!」


「(そ、そんなーーーーー)」


『(今なら読心術を使わなくてもツナの心の中が分かるように気がします…)』










―帰り道―



「ああー総大将なんて辞退したいよ…」


『確かに総大将になったからにはケガなんかは免れませんからね』


「しかもB組は空手部主将の押切さん。C組は相撲部主将の高田さんだぜ!」


「ワクワクするな」


「ガクガクするよ!!」



いつの間にか僕の肩の上にいたリボーン(本当にいつの間にですか!?)が心底楽しそうに言った。対照的にツナは本当に嫌そうだ。本気と書いてマジと読むほどガクガク震えている。



「ツナさーん、優さーん!!」


『ハル!?何でそんなところに上っているんですか!?危ないでしょう!!』


「大丈夫ですよ!ここにいるのはリボーンちゃんから聞いたんです!ですから明日ツナさんが棒倒しの総大将をすることを祝って棒倒しのマネです!!」


「バカ!恥ずかしいからやめろよ!!(スカートで〜〜〜!)」


『(ツナ、顔が赤いですね…ああ、ハルがスカートだからですか。確かにこんな行動でこんな事をしていては迷惑ですね。下りさせましょう)』


「……………はい。ハルも途中で失敗だと気付きました…
降りられなくなっちゃったんです」



ツナと僕はずっこけた。もちろん、心の中でですが…










―数分後―



「しょっとっ、すみませんっ」



何とかしてハルを電柱から下ろすことに成功した。おろしている間、誰も通らなかったのは奇跡としか言いようがない。本当にタイミングがいい町だ。



「明日うちの学校休日なんです!ツナさんと優さんの晴れ姿を見に行きますね!!」


「い!!いいよこなくて!!」


「はひ?どーしてですか?」


「それは…(間違い無くハジをかいてカッコ悪いからだよ!!)」


「優さんはどーなんですか?」


『僕は別にどちらでもいいんですが…』


「ほら!優さんも言っている事ですし、明日必ず行きますね!!」


「ダメ!!絶対ダメ!!と…とにかく見に来ちゃダメだぞ!!優!!また明日ね!!」


「あっツナさん!」


『あ、はいまた明日…』



ハルに怒鳴りつけながらその場を去っていったツナ。必然的にその場に置き去り(?)にされた優とハルは二人っきり。しばらくそのままでいたが、はじめに口を開いたのは優だった。



『ハルはどうするんです?明日、来るんですか?』


「あ、はい!行くつもりです!!ツナさんに何と言われようとも行きます!!」



両手をグーにして、言い聞かせるように言うハル。これはどう言っても明日来るつもりらしい。



『そうですか。なら、僕たちの組、ぜひ応援して下さいね』


「はい!応援します!!では私はこれで」


『はい、さようなら』


「さようなら!」



ハルはその場からかけて行った。



『さて、僕も明日早いですしお弁当も作らなくてはいけませんから早く帰りましょう』



なぜか体育祭の放送委員になっていた優だった。
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