魔の預言者 本

□第五話
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「…村くん。奥村くん」


「スキヤキ!?」


「…起きなさい」


「…ス、スンマセン」



授業中に居眠りしていた燐。先生に起こされた途端、なぜかスキヤキという単語が出てきた。どんな夢を見ていたんだか…



「なんやアイツ…何しに来てん。帰れや!」


『(お〜来た来た。勝呂竜士)』



後ろを振り向けばガンを飛ばす男子生徒が一人。



「(昔だったらここで睨み返して後でケンカするパターン。でも俺もうはあーゆー輩にはかかわらねーぜ?)」



自分がカッコいい祓魔師となった姿を妄想していたら、またもや眠気が…



「フフフ………」


「奥村くーん!しっかり!」


「チッ」


『(はぁ…何でこう燐は人を煽るって言うのか…竜士も相手にしないで黙ってればいいのにさぁ…真面目くんには無理か)』



後ろの方でノートをとりながら、その後も二人の様子を観察していった。










〜悪魔学〜





「“腐の王”アスタロトの眷属で、最下級の悪魔の名前は?奥村!」


「えっ、あ―――…え―――…と、見たことないもんで、その」


「魍魎(コールタール)だ!そこらに浮いてるだろ!」


『(悪魔学は凡ミス連発)』










〜グリモア学〜





「グリモアとは15世紀から18世紀にかけ生み出された……………で、悪魔召喚や使役などの魔術に関する文書を著す…
教えるものは“ソロモンの鍵”と“ラジエルの書”…」


『(グリモア学は眠りかけてる)』










〜悪魔薬学〜





「それではこの間の小テストを返します。志摩くん」


「ほぉい」



次々と名前を呼ばれていく。海は相変わらず後ろの方で二人の様子を見ていた。
もちろん、今までの授業のノートは取り、内容はすべて頭に入っている。



「私、自信あるよ!得意分野だもん」


「杜山さん」


「は、はいっ」



とうとうしえみの番だ。雪男のもとにより、テスト用紙を受け取ると…



「植物にオリジナルの名前をつけるのはいいですが、テストでは正確な名前を覚えて書いて下さいね。それがなければ多分満点だったかも」


「!!!…」


「ぶっ、ははは!?得意分野なのにな!」



人の点数を笑うのは最低だ。それに燐の点数は…



「奥村くん。胃が痛いよ……」


「……スンマセン」



容姿に書かれていた点数は2点。たった一問しか正解していない。



「勝呂くん」


「はい!」



例のガン飛ばし少年だ。燐の席の近くまで来ると、小さく呟いた。



「2点とか狙ってもようとれんわ。女とチャラチャラしとるからや。ムナクソ悪い…!」


「は!?」



どうせこいつもチャラチャラしてるし、俺とおんなじくらいの点数なのだろう… そう、思っていた。が…



「よく頑張りましたね。勝呂くん」



見せられたテスト用紙には、でかでかと98点の文字。



「如月さん」


『ん…』



海の番は一番最後だった。席から立ち上がり、雪男の元へ行く。



「よくできました。これからも日々努力して頑張ってくださいね。…それと、返事はちゃんとしましょうね?」


『めんどくせーんだよ。返事とか。で、結果は?』


「満点」



渡された答案用紙にはでかでかと100点と書かれていた。



「え?うそ!!海ちゃん100点!?」


『ん』


「すごーい!さすが海ちゃん!」


『ありがと、しえみ』



手元を覗かれて騒ぐしえみ。うん、あんまり大声ださいないでほしーな。出雲からの視線がささって痛い。
そして隣でケンカすんのも止めろ!燐、竜士!このやろォ…



『うっせェんだよ!隣でギャーギャーケンカすんな!』



新たなケンカには発展したくはねーが、オレだって燐とケンカしてるからっていつまでもしんみりしてるわけねーんだよ。
…肩でゼルがため息をついているが、無視だ無視。



「うおっ!」


「んだよテメェ!」


『それはこっちのセリフだ!競うんなら次の体育の授業で競え!ケンカすんならここから出てしてろ!』


「そうですね。おっと、今日の授業はここまで」



今日の悪魔薬学の授業は何倍もつかれた気がした。




  
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