魔の預言者 本
□第十二話
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「上一級祓魔師…監査官…!?」
「あ〜あとコレ免許と、階級証(バッチ)ね」
確かに免許証には“上一級祓魔 霧隠シュラ”と書かれている。…格好から見るとそうには見えないが。
「ヤヤ…これは確かに。私は中級祓魔師の椿薫です」
「あ―――いいよ。堅っ苦しいの苦手だからさ。とりあえずこいつらを日本支部基地に連行する」
『オレもか?』
「ああ、そうだ」
メフィストめ…オレの存在を本部に言ってなかったな…。
「あと支部長のメフィストと話したいから引きずってでも連れて来い。それ以外の訓練生は皆寮に変えしちゃってー」
「はは!」
上の命令は絶対。逆らう事は…許されない。
『チッ…、めんどくせェな。行きたくねェんだけど』
「…じゃあ気絶させて連れて行こうか?」
『そっちの方が楽なんだけど、気絶すると後が大変だからやめとく』
「そうか。…オラ立て!お前にも話を聞くぞ」
「う?うも"ぉおお!」
腕に抱えられて口をふさがれ、なにを言っているのかわからない。
「あ…あの!燐…怪我してるんです…手当してからでも…」
「んー?ああ…コイツはこのままでも平気だ。まだ乳臭い子はひっこんでな?」
しえみの頭の中にミルクや赤ん坊の映像が流れた。
「先生!」
「皆さん、今日の任務はひとまず解散です。寮に戻ってください…」
出口に行けば待機している竜士達。そこへやってきたのがシュラに抱えられた燐と、その横を眠そうに歩く海。
「どうしたんアイツ…」
「なんあれ、うらやましい!」
『(イラッ)』
ビュンッ
「いだぁッ!海ちゃん何するんや!…もしかして嫉妬『んな訳あるかあッ!』ガハァッ!」
廉造に投げた石が顔面にクリーンヒットした。それに対して勘違いした廉造に、今度はアッパーを喰らわせる。
『変な勘違いすんじゃねぇよ』
「容赦ないなぁ…」
廉造はその場に蹲っているが、そのままにしておいた。
『(オレかんけぇねぇはずなんだけど…)』
「おい、ぼさっとしてるな」
『イテッ……今行くっての……』
シュラに叩かれ、頭を押さえる。その瞬間ゼルが唸るが片手を出して止めさせた。
《何で止めるの!?》
『(いいから、黙ってな)』
《でも、あの女…!》
『(いい。上の命だ)』
《…ムカつくっ!あいつ、何時か絶対噛み殺す!!》
『(…勝手にしてろ)』
何とか唸るのをやめたゼルの頭を撫で、先を歩くシュラと雪男、燐について行った。