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□標的42
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あの戦いの数日後。ザンザス達はイタリアへと返され、ランチアさんとバジルも供に帰っていった。
僕はと言えば、無断欠席を雲雀さんに謝り、獄寺達に僕の事情を話した。
ツナとは……そのですね、ハイ、こ、恋人…に、なりました…まさか、そんなことになるとは思いませんでしたよ。



『…もーそろそろ未来編かな?リボーン、消えたみたいだし』



原作の記憶は徐々に薄れつつある。仕方がない、もう13年は見ていないのだから。



『ん………?(体が、動かない…?)』



道を歩いていた時、突然体が動かなくなった。前に進もうとしても、体が言うことを聞かない。



『(ああ、来たんだ…)』



何となく分かった。向こうから音もする。これはアレだ。バズーカが飛んでくる音だ。




ドカンッ




そんな音とともに、僕の視界は真っ白になった……―――




















『ん…?ここ、は………?』



着いたのはどこかの……いや、並盛のどこかの森。傍には4つの匣(ボックス)と黒いマント。…ホント、マント好きだなぁ、僕。
いや、自分自身なのだけど。そのマントには金糸の装飾が施されていた。見るからに高そうだ。



『…ツナの、ところに行かないと』



と言っても、現在位置も分からなければツナが居る場所すら分からない。



『…風龍』


《なぁに?》


『ツナ達が居るのならその気配を探して。いないのなら…獄寺の気配を探してくれ』


《…………あったよ。どうするの、行く?》



『ああ、送っていって』


《了解》



風龍の背に乗り、森の中を飛びぬけていく。数十秒もすれば、目の前には3つの影。間違ってないよ?ちゃんと3つあるんだから。



『ああ、ラル・ミルチか…早いなぁ』


《ボンゴレ、やられてる》


『しょうがない、助けるか』



手元にあった1つの匣を取り出す。そこには赤と青の羽根が描かれている。



『開匣』



属性は色的に嵐と雨だと思われたので、その2つを同時にリング(ドゥラドリング)に灯し、開匣した。




ピュアァアアアアッ




赤い体で、青の瞳を持つ不死鳥がそこに現れた。目で指示すると、彼はそのままラルとツナの間に立ち塞がるように羽ばたいた。



「なっ、何者だっ!出てこい!!」


『出てきたけど?』


「カレン…?」


『やぁツナ。かなりやられてるようだね』



草むらから風龍(ミニ)を肩に乗せたまま出る。ラルの目は見開き、ツナは驚いたような表情をした。



「お前……本当にカレンなのか?」


『そうだけど?何か?』


「……いや、なんでもない。俺の名前はラル・ミルチ」



獄寺を捉えていた網のようなものが消え去る。ツナは立ち上がり土を払い落した。



「これをボンゴレリングに巻き付けろ。マモンチェーンといって指輪の力を封印するものだ」


『へー、これが実物…』



2つのリングに巻き付け、不死鳥を匣に戻すとマントの裏側にしまった。マントの裏側には、匣を付けるためのフックのようなものがついていた。
そのまま歩きだしていくラルを、ツナ、獄寺の後ろから追いかける。置いていかれるのだけは御免だ。



『(…やっぱ、なんか、体調が悪い気がするなぁ…これが、ノントゥリニセッテか)』



額に手を当てて、先を歩いていくツナを見失ってしまわないように早歩きで追いかける。しかし、差はどんどんと開いていくばかりだ。



『(あー、動きづらい…)』


「大丈夫か?顔が真っ青だぞ」


『ダメ、無理……って、え?ツナ?先行ってたんじゃ…』


「ツナじゃなくて、綱吉ね?(黒)」


『ア、ハイ……(汗)』



なぜか目の前にツナ…じゃなくて綱吉がいた。今の僕には、その真っ黒い笑顔も辛いです。



『体調最悪』


「おぶってく。ほら、乗っかれ。早くしないアイツらにマジで置いてかれる」



背中を向ける綱吉の背に、遠慮がちに乗っかる。漸く乗っかったカレンを抱え上げ、綱吉はスタスタと前に歩って行く。



「10代目!突然消えたので心配したんですよ……って、月城!何10代目のお手を煩わせてんだ!」


『黙って、頭に響く』


「…(やはりな)ここで野宿しようとも思ったが、それではカレンが危ない。早急にアジトを目指すぞ」


『…でも、綱吉達は夜目が……あ、そうだ。闇龍』


《何だ》


『周りの様子を随時知らせて』



出てきた闇龍に当たりの偵察を任せると、再び綱吉の背に顔を埋める。ヤバい、なんかもうヤバい。



《…っ!なんか居るぞ!さっさと隠れろっ》



闇龍に押され、岩陰に身をひそめる。




ズウン…ズウン…ズウン…




重そうな音が響いてきた。モスカの登場だ。



「こっち向いたぜ!」


「見つかりっこない。アイツはリングの力を感知しない限り何もしない」



そんなことを言っていてもストゥラオ・モスカはこっちへ近づいてくる。そして、目元のセンサーが僕らを捉えた。



「バカな!お前達、ボンゴレリング以外のリングは持っていないな!?」


「ああ、さっき見せたので全部だ」


「あっ!ランチアさんから貰ったリングが」


「それは…!なぜ話さなかった!アレは4人でも倒せる相手じゃない!」


『いーや、僕になら出来るさ』



ツナの背から顔だけを出し、地龍の名を呼ぶ。



《どうした》


『あそこに居るゴツイの止めて』


《ああ、アレか…いいだろう。岩の中に閉じ込めてやる》



地龍が地面を尻尾で強く叩く。すると地面が盛り上がり、モスカを包み込んだ。



《止めだ》



勢いをつけた地龍が、尻尾を盛大に岩の塊に打ち付ける。粉々になった機械の破片が、こちらにまで飛んできた。
壊れたモスカを満足そうに見つめると、地龍はシュンッ、と消えていった。
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